IIP知財塾 成果報告会

開催のお知らせ

 財団法人知的財産研究所におきましては、知的財産活動の現場を踏まえつつ、社会、国家、国際関係といった大所高所から知的財産制度・運用等の在り方について提言できる人材の育成を目指して、平成17年度より、第一期「IIP知財塾」を2年間に亘って開講してまいりました。この「IIP知財塾」は、企業、法曹、行政、裁判等の実務の最前線にかかわる方々に塾生及びオブザーバーとして参加いただき、中山信弘会長(東京大学教授)をはじめとする知財分野における学識経験者、有識者等を講師として、研修会を実施する形式にて活動してまいりました。
 この度、以下の要領で、「IIP知財塾」第一期塾生の二年目の活動成果を公表する運びとなりましたので、ここにご案内申し上げます。
 皆様、奮ってご参加ください。

――――――――――――― 開  催  内  容 ―――――――――――――

日 時 平成19年5月30日(水)10:00〜17:00  (9:30 受付開始)
場 所 主婦会館プラザエフ 地下2階(クラルテ) (TEL 03-3265-8111)
住所:千代田区六番町15番地
<JR線>四ッ谷駅 麹町口より徒歩1分
<東京メトロ南北線/丸の内線>四ツ谷駅 3番出口より徒歩3分
参加費 無料
◆定 員 100名
◆プログラム
(※1テーマ40分(発表:35分、質疑:5分) (プログラムの印刷はこちら(PDF)
   9:30〜 受付開始
  10:00〜10:10 開会挨拶
(1) 10:10〜10:50 技術の適切な保護について 〜進歩性を巡る問題〜
(2) 10:50〜11:30 進歩性判断のあるべき姿 〜「進歩性」を巡る議論と客観性・納得性〜
(3) 11:30〜12:10 特許制度における出願人倫理について
昼休み(70分)
(4) 13:20〜14:00 特許出願における架空実験結果の記載について
(5) 14:00〜14:40 一事不再理のあり方について −特許無効審判の基本構造と蒸返し防止−
休憩(20分)
(6) 15:00〜15:40 オープンソースと特許権の権利行使
(7) 15:40〜16:20 サウンドロゴ(音の商標)の保護について
(8) 16:20〜17:00 企業から見た『知財人材育成』

◆申込手続
(1) 定員に達しましたので申込みを終了いたしました。
(2) 申込期限 平成19年5月25日(金) 終了いたしました。
(3) 参加予定者のご都合が悪い場合には、代理の方が出席可能です。
(4) お申込みは先着順とさせていただきます。お申込みを受領いたしましたら、IIP知財塾事務局より、お申込みを受付けた旨のメールをお送りいたします。また、定員を超えた場合には、IIP知財塾事務局よりお断りのメールにてご連絡させていただきます。
 
問合せ先 (財)知的財産研究所 IIP知財塾 報告会担当 按田(あんだ)、板垣(いたがき)
〒102-0083 東京都千代田区麹町3-4 トラスティ麹町ビル3階
TEL:03-5275-5281

調査研究概要
(1)技術の適切な保護について 〜進歩性を巡る問題〜
 近年、産業界から我が国特許庁や裁判所での進歩性判断が厳しくなり、欧米と比べても厳しすぎるのではないかとの指摘が寄せられ、政府知的財産推進計画2006にも、「知的財産権の安定性を高めるために、「特許性の判断基準、特に進歩性の判断基準についての一層の客観化と明確化」が必要と指摘されているところである。 
 他方、日本国際知的財産保護協会により進歩性等に関する各国運用等の委託研究の調査報告がまとめられ、特に日米間には判断水準に明らかに相違があること、その元となる考え方の相違点が浮き彫りとなった。
 こうした状況を踏まえ、進歩性の観点からの技術の適切な保護のあるべき姿、具体的には、これら異なった考え方の導入が、進歩性の判断基準についての一層の客観化と明確化をもたらすかという論点を含めて検討を行った。
(2)進歩性判断のあるべき姿 〜「進歩性」を巡る議論と客観性・納得性〜
 日本においては特許性の判断基準統一の要請が知的財産推進計画のテーマとなり、また米国においては伝統的な非自明性判断手法が最高裁判所にて争われる等、昨年来、進歩性を巡る動きがとみに活発化している。言うまでもなく進歩性は特許要件の中でも極めて中核的な位置をなすものである。本テーマ研究においては進歩性を巡りいったい今何が起こっているのかを起点としてまず客観的事実の把握を行い、日本における進歩性判断手法の変遷及び諸外国との比較により、それらが進歩性判断にどのように影響を与え得るのかを考察する。さらに昨今発行された進歩性に関する各種報告書等の分析を通して、日本及び諸外国における進歩性に関するユーザー認識を考察し、進歩性議論の根底にあるもののひとつとして、客観性・納得性の観点から、進歩性判断のあるべき姿について考えてみたい。
(3)特許制度における出願人倫理について
 現在、適正な内容の特許権を早期に権利設定し、知的財産立国の実現に資することが国家目標となっている。その一方で、昨年、捏造データを含む特許出願の問題が大きく報道され、特許出願書類に記載された技術情報の信頼性に関する疑問の声が大きくなってきている。また、出願の係属のみを目的とした分割出願の利用等、手続きの早期完遂の観点から疑問なしとは言えない行為も散見される。ところで、どのような世界でも、構成員として守ることが望まれる道、すなわち、倫理規範というものがある。適正な内容の特許権を早期に設定し知的財産立国を実現するという観点から見れば、出願人の手続きの遂行にも望ましい在り方があるのではないだろうか。本研究は、このような問題意識から、特許制度の中でのメインプレイヤーとしての出願人による手続き遂行の在り方を探求し、他国の制度とも比較しつつ検討を行い、制度改正等の必要な措置について提言を行う。
(4)特許出願における架空実験結果の記載について
 特許出願に架空の実験結果が含まれていたとする事件(2006年4月報道)について、大学が出願人ということもあり、新聞等で大きく報じられた。この事件に間する解説記事やインターネットの書き込み等では、極めて批判的な意見がある一方で、同情的な意見も数多く見られた。また、特許出願における架空の実施例の記載は珍しくないとする、雑誌アンケート結果も公表された。
 本検討では、出願人(発明者)側および競業者側のそれぞれにとり、架空実験結果の記載を含む特許出願がもつ意味を考察した。あわせて、特許出願における架空実験結果の記載を抑止する方向での制度、運用について検討した。
(5)一事不再理のあり方について −特許無効審判の基本構造と蒸返し防止−
 民事訴訟においては、判決効の主観的範囲を当事者に限定しつつ客観的範囲を訴訟物の範囲とすることで蒸返し防止と主張機会の確保とがバランスされている。他方、特許無効審判は、法167条のもと、遮断効を対世効に拡張しつつ客観的範囲を同一事実・同一証拠の範囲に限定する逆方向のアプローチを採用する。
 これに起因し、法167条を巡っては、第三者の無効主張の機会を奪うものとして違憲の疑いが指摘される一方、知的財産推進計画2006が無効審判の蒸返し防止策を検討事項とするなど、蒸返しの防止及び無効主張の機会確保の双方の観点から疑問が呈されている。
 さらに、近年、異議申立制度の廃止、審判請求人適格の制限の撤廃、無効の抗弁の導入等、この問題に影響を及ぼしうる法改正が相次いだ。
 本発表においては、昨今の変化も踏まえ、特許無効審判の基本構造及び一事不再理のあり方につき、再検討を試みる。
(6)オープンソースと特許権の権利行使
 「オープンソースの意義は、ソフトウエアのソースコードを公開して第三者の自由な利用を認めることで、新たなイノベーションを促進しようとするソフトウエア開発モデルを実現した点にあり、今やLinuxを始めとするオープンソースは急速に普及し、多くのソフトウエア製品、組み込み機器等は他人のオープンソースを実装している。オープンソースにも特許による保護は及ぶが、コードの共有を本質とするオープンソースと排他性を本質とする特許制度とは、イノベーション促進という目的は一致するものの、その手段が対極であり、このためソフトウエア特許廃止論にも結び付けられがちである。本テーマにおいては、オープン型ソフトウエア開発を前提として、オープンソースの利用を妨げない特許制度のあり方を検討し、特にオープンソース利用者にとって、第三者から権利行使されるリスクを回避しつつ、特許取得のインセンティブが損なわれないための方策を考察した。」
(7)サウンドロゴ(音の商標)の保護について
 広告業界においては、サウンドロゴ(音の商標)は消費者に商品名を強く印象づけ、記憶に留まらせる有効な手段として認識されている。また、実際にも多くのサウンドロゴ(音の商標)がTVコマーシャル等において使用されている。しかし、商標法は視覚的に認識しうる標識のみを商標として保護しており、音の商標は商標としての保護を受けることはできない。
 知財塾第1期生Bグループにおいては、サウンドロゴ(音の商標)の実務上の保護の必要性を検討するとともに、いかなる方法により保護を図るべきかについて、具体的に検討を行った。本成果報告会においては、これらの検討結果を報告し、商標法による音の商標の保護を図るための具体的制度設計について提案するものである。
(8)企業から見た『知財人材育成』
 「知的財産推進計画2004」の公表後、教育機関、企業、法曹、弁理士、行政等の様々な分野で知的財産人材育成に関する各種施策が講じられ、推進計画に基づいて知的財産人材の育成に関する制度立案・運用が図られてきた。また「知的財産人材育成総合戦略」(2006年)では、知的財産人材の具体的、総合的な育成策が提示されている。
しかしながら知的財産人材育成に関する諸策が少しずつ成果を上げている一方で、諸施策が推進された結果、知的財産人材育成に関する新たな課題や問題点が顕在化しつつあるように思える。
知財塾第1期生Bグループでは、知的財産人材育成の現状に関する課題、問題点を抽出し、各分野における知的財産人材育成のあり方について議論した。今回の発表会では、特に企業の立場から、知的財産人材育成に関する現状を整理し、求められる知的財産人材、育成方法及び各分野の知的財産人材育成に対する要望についてコメントしたい。

以 上