知的財産セミナー

特許庁委託 平成19年度特別研究員 研究成果報告会のご案内

 (財)知的財産研究所では、特許庁から委託を受けた産業財産権研究推進事業の一環として、産業財産権分野を専門とする若手研究者を研究員として1年間採用し、今後の産業財産権分野の政策の立案の基礎に資するテーマについて研究する機会を提供することにより、我が国の将来を担う産業財産権分野の研究者の育成を図る研究者育成事業を実施しております。
 今回、5名の研究員の1年間の研究成果の発表及び参加者の方々との意見交換を行う場を設けるために、次のとおり研究成果報告会を開催いたしますので、ご案内申し上げます。

――――――――――――― 開  催  内  容 ―――――――――――――

日 時 平成20年3月14日(金) 10:00−16:30
会 場 全国町村会館 2階ホール
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-11-35
TEL:03-3581-0471
東京メトロ 有楽町線・半蔵門線・南北線「永田町駅」3番出口徒歩1分
東京メトロ 丸の内線・銀座線「赤坂見附駅」徒歩5分
参加費 無料
定 員 130名 (先着順)
プログラム

【平成20年3月14日(金) 10:00−16:30】              報告概要・報告者紹介はこちら
9:30 受付開始
10:00−10:05 開会・主催者挨拶
10:05−11:00 『企業の競争戦略としての特許利用について
  −特許統計データを用いた実証分析−』

蟹雅代 特別研究員
11:00−11:55 『パテントプールに係る特許の質と出願行動について』
塚田尚稔 特別研究員
11:55−13:30 休憩
13:30−14:25 『インターネット空間における商標問題
  −ドメイン名の差止めを中心として』

市政梓 特別研究員
14:25−15:20 『国際私法における特許を受ける権利の承継
  −いわゆる日立製作所事件最高裁判決を契機として−』

申美穂 特別研究員
15:20−15:35 休憩
15:35−16:30 『プログラムの特許権と著作権による重複保護により生じる問題点
  −特に、職務上作成されたプログラムについて−』

内田剛 
特別研究員
16:30 閉 会
※各報告は、発表40分、質疑応答10分、指導官講評5分の予定です。
 報告概要と報告者の紹介は下記をご参照下さい。
申込方法
受付終了いたしました。
問合せ先 (財)知的財産研究所 岩井(いわい)、守法(しゅのり)
〒102-0083 東京都千代田区麹町3-4 トラスティ麹町ビル3階
Tel:03-5275-5281;   Fax:03-5275-5324;

『企業の競争戦略としての特許利用について
−特許統計データを用いた実証分析−』
蟹雅代 特別研究員
【報告概要】
 本研究では、企業の特許利用戦略のうち、技術的排他戦略がどのような要因の影響を受け決定されるのか検証している。まず、企業の扱う製品の技術特性に応じて、技術的排他戦略を実行できる企業(discrete technology productの企業)とできない企業(complex technology productの企業)に分類し、両者では特許利用戦略の構造が異なることを実証している。その上で、前者の特許利用戦略を分析している。他社との技術的補完関係が乏しいこのような企業は、製品市場で超過利潤を得るため、特許による技術的排他戦略を実行し得る。このとき、技術環境が問題となる。直面する技術環境に多数の企業が存在し、代替技術を利用した他社製品が市場のパイを奪うような状況では、特許の排他的自社利用によって製品市場から得られるメリットは小さい。しかし、仮にそのような環境であっても、パテント・フェンスを構築し、他社が代替技術を特許化することを阻止することで、技術的差別化を図ることができる。本研究では、特許による技術的排他戦略の決定要因として、技術環境が影響することを示している。
【報告者紹介】
大阪大学大学院経済学研究科博士後期課程修了 博士(経済学)
平成19年4月より当研究所特別研究員

『パテントプールに係る特許の質と出願行動について』
塚田尚稔 特別研究員
【報告概要】
 技術の高度化・複雑化が進み、また知的財産権の重要性が高まったことにより、技術標準にかかわる必須特許を一括ライセンスする仕組みであるパテントプールを形成する事例が見られる。プールにかかわる企業の特性によって異なるパテントプールへの参加のインセンティブや出願行動の差異と特許の質について統計的に分析を行う。具体的には、MPEGLA社が管理する動画圧縮技術の標準であるMPEG2やMPEG4などの必須米国特許を分析対象として、継続的出願の利用頻度や被引用件数で測った特許の質との関係を詳しく見る。それとともに、必須特許に限らない米国のすべての登録特許での傾向とを比較することで、技術標準にかかわる必須特許の特徴を明らかにする。パテントプールへの参加のインセンティブ、プールにライセンサーとしてかかわる企業間での公平性の問題などについて論じていきたい。
【報告者紹介】
一橋大学大学院経済学研究科博士後期課程(応用経済専攻)
平成19年4月より当研究所特別研究員

『インターネット空間における商標問題
−ドメイン名の差止めを中心として』
市政梓 特別研究員
【報告概要】
 インターネット空間においてアドレスの役割を果たすドメイン名(「example.co.jp」など)が第三者の商標と抵触するといった問題がある。そしてドメイン名紛争の一つとして、パロディに見られるような商標と表現の自由の衝突を始めとした問題が生じたとき、商標の保護はどこまで認められるのかについては定かではない。
 本研究では、アメリカ合衆国法にいうフェアユースを手掛かりに、商標保護の在り方をドメイン名紛争からかんがみる。まずは、アメリカ商標法を概観し、アメリカ法にいうフェアユースを検討する。そして、商標問題を取り扱う日本法として、商標法と不正競争防止法を概観し、フェアユースの法理から日本法にいう図利加害目的の判断の示唆を行い、日本法へ提言を行っていく。
【報告者紹介】
帝塚山大学大学院法政策研究科世界経済法制専攻博士後期課程修了 博士(法学)
平成19年4月より当研究所特別研究員

『国際私法における特許を受ける権利の承継
−いわゆる日立製作所事件最高裁判決を契機として−』
申美穂 特別研究員
【報告概要】
 本研究は、国際的な文脈において、内外の特許を受ける権利が承継される場合に生ずる各種の法律上の問題がいずれの国の法によって規律されることになるのかについて、国際私法の立場から考察することをその目的とする。職務発明に係る外国の特許を受ける権利の相当対価請求については最高裁判決が登場したが、その意義や理論的妥当性、射程等については様々な見解が唱えられ、いまだその評価が定まっていない。他方において、権利の原始的帰属や承継可能性などに関しては、判決では直接には言及されておらず、未解決な問題も多く残されているという状況にある。
 本研究は、この最高裁判決とそれに関連する学説等の分析を出発点として、いわゆる属地主義の原則に関する検討や、比較法的考察等を通じて、内外の特許を受ける権利の国際的承継をめぐる各種の問題にいかなる国の法律が適用されると考えるのが最も妥当であるかについて検討する。
【報告者紹介】
京都大学大学院法学研究科博士後期課程単位取得退学(民刑事法専攻)
前京都大学大学院法学研究科助手
平成19年4月より当研究所特別研究員

『プログラムの特許権と著作権による重複保護により生じる問題点
−特に、職務上作成されたプログラムについて−』
 内田剛 特別研究員
【報告概要】
 本研究は、複数の知的財産権により保護されるコンピュータプログラムを従業者が職務上作成したことにより、特許権と著作権による保護の交錯が生じる場合の権利相互の関係及び両権利の効力の調整方法について解釈論、立法論を展開するものである。
 そのために、特許権と著作権の帰属につき、職務発明と職務著作の要件及び効果を対比してその差異を明らかにするとともに、差異が解釈によって解消し得るものであるのかを検討する。また、その職務発明と職務著作の相違から特許権と著作権の帰属主体が異なることにより、保護の交錯が生じる場合の両権利の関係を権利の本質論及び権利の抵触関係を調整する規定(意匠法28条、半導体集積回路法13条)から検討する。そして、以上の検討及びイギリスの職務発明制度との比較を通じて、職務発明と職務著作の要件及び効果の相違により保護の交錯が生じる場合の望ましい調整方法を明らかにする。
【報告者紹介】
東海大学大学院法学研究科法律学専攻博士課程後期単位取得退学
平成19年4月より当研究所特別研究員

                                                        以 上