開催済み 研究成果報告会・セミナー

平成21年5月25日~26日
IIP知財塾 成果報告会

 財団法人知的財産研究所におきましては、知的財産活動の現場を踏まえつつ、社会、国家、国際関係といった大所高所から知的財産制度・運用等の在り方について提言できる人材の育成を目指して、平成17年度より、「IIP知財塾」を開講してまいりました。この「IIP知財塾」は、企業、法曹、行政等の実務の最前線にかかわる方々を塾生とし、現役裁判官の方々にオブザーバーとして参加いただき、知的財産分野の第一線でご活躍されている学識経験者、有識者等を講師(各テーマの講師はこちら)として、研修会を実施する形式にて活動してまいりました。

 この度、以下の要領で、「IIP知財塾」第二期塾生の2年間の活動成果を公表する運びとなりましたので、ここにご案内申し上げます。
 皆様、奮ってご参加ください。

日 時 平成21年5月25日(月)14:00~17:40 (13:30 受付開始)
平成21年5月26日(火)14:00~16:50 (13:30 受付開始)
会 場 (財)知的財産研究所 会議室 
東京都千代田区麹町3-4 トラスティ麹町ビル3階
          東京メトロ有楽町線 麹町駅(3番出口)より徒歩1分
          東京メトロ半蔵門線 半蔵門駅(5番出口)より徒歩5分
          JR中央線 四ツ谷駅より徒歩8分
          JR中央線 市ヶ谷駅より徒歩10分
参加費 賛助会員:無料  一般:8,000円
※(財)知的財産研究所の賛助会員制度
定 員 50名(先着順) ※定員に達しました。ありがとうございました。
プログラム

※1テーマ40分(発表:35分、質疑:5分)

【5月25日(月)】
13:30~ 受付開始
14:00 開会・挨拶
14:10~14:50 (1)特許請求の範囲と明細書における発明の開示との関係について
14:50~15:30 (2)有用な権利およびその活用
休憩(10分)
15:40~16:20 (3)職務発明制度における問題の検討
16:20~17:00 (4)試験研究の例外規定、存続期間延長
17:00~17:40 (5)無効判断のあり方

【5月26日(火)】
13:30~ 受付開始
14:00~14:40 (6)GUIデザインの保護
14:40~15:20 (7)ファッションデザインの保護法制
休憩(10分)
15:30~16:10 (8)特許権の正当な権利行使のあり方
16:10~16:50 (9)ライセンス取引に適用ある法律と未解決の法的諸問題について
申込締切り 定員に達しました。ありがとうございました。
成果報告書 各テーマの活動成果をまとめた成果報告書を、報告会当日に1部1,000円で販売いたします。ご希望の方は、下記申込みの際に、購入希望の旨をご記入ください。
申込方法 受付終了いたしました。
お支払方法 【振込】でお願い致します。
申込受付後「請求書」を郵送いたしますので、速やかにご入金下さい。銀行の振込金受取書をもって「領収書」に代えさせていただきます。
なお、参加費入金後の払い戻しはいたしません。
問合せ先 (財)知的財産研究所 事務局
〒102-0083 東京都千代田区麹町3-4 トラスティ麹町ビル3階

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(1)特許請求の範囲と明細書における発明の開示との関係について
杉山 輝和 (特許庁 特許審査第一部 審査官)
洗 理恵 (パナソニック(株) R&D知的財産権センター 参事・弁理士)
武智 克典 (片岡総合法律事務所 パートナー・弁護士)
山崎 一夫 (中村合同特許法律事務所 パートナー・弁理士)
 【概要】

近時、特許審査等における記載要件の運用を厳しいとする声が多く聞かれるなど、記載要件に対する関心が高まっている 。また、当検討グループのメンバーで特許出願手続に携わっている者も、最近記載要件の運用が厳しくなっていると実感している。

この背景には、平成15年10月の審査基準改定 によってサポート要件が導入され、特許請求の範囲(クレーム)に記載された発明と発明の詳細な説明の開示内容との実質的な対応が求められるようになり、特許審査においてクレームと開示の範囲の問題が非常にクローズアップされてきたことがある。

当グループでは、これまでになされた調査研究で示された結果を参考にしつつ、特許審査等における記載要件の運用の現状に関する調査を行った。その上で、この問題の背景、経緯を踏まえ、記載要件の厳格化による問題点を検討し、あるべき運用についての考察を行った。

特に、記載要件が問題となるケースの内、発明の詳細な説明におけるいくつかの具体例(実施例)に対して、クレーム発明が、一般化・拡張されたものである場合に、サポート要件等の問題が重要となると考えられる。したがって、当グループでは、このようなケースに主眼をおき、記載要件の運用のあり方について検討を行った。

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(2)有用な権利およびその活用
猪瀬 隆広 (特許庁 特許審査第四部 電話通信 審査官)
大畑 通隆 ((独)日本貿易振興機構 バンコクセンター 知的財産権部長)
神山 茂樹 (特許庁 特許審査第二部 福祉サービス機器 審査官)
山崎 一夫 (中村合同特許法律事務所 パートナー・弁理士)
【概要】

我が国の企業の知的財産戦略は、従来、①欧米企業へのキャッチアップ、②生産技術の改良や業界横並びの製品開発を支える「守り」、そして、③クロスライセンスのため、多量の特許権の取得等に重きが置かれてきた。

しかし今後、我が国が真に「知的財産立国」を目指すためには、技術的優位のある発明を創出し、特許権で的確に保護し、さらに活用することにより、次のイノベーションにつなげるサイクルを確立することが重要であり、その「活用」の活性化が必要になる。

このためには、(1)インセンティブの喚起、(2)権利の安定的な実施と円滑な事業化の活性化、等への措置が有効と考える。

ここで、「有用な権利」とは,「革新的な技術に対して円滑・有効に事業投資させることを可能にさせる権利」であり、事業や投資に直結した形で「活用」がなされることが前提となる。

その要件として、①事業を円滑に実施する際にその使い勝手が良く,②他者参入を阻止する際に有効に作用し、③権利の広さと技術開示にバランスが取れているといった,適切な明細書内容を根拠とした特許権等の権利であることが望ましい。

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(3)職務発明制度における問題の検討
大野 郁英 (凸版印刷(株) 法務本部法務部 課長)
大畑 通隆 ((独)日本貿易振興機構 バンコクセンター 知的財産権部長)
松田 俊治 (長島・大野・常松法律事務所 パートナー・弁護士)
山本 厚 (五木田・三浦法律事務所 弁護士)
【概要】

職務発明制度は、非常に古い歴史を持つ制度であるが、立法当初は、従業員発明者と使用者たる企業が一対一で対応するシンプルなモデルを想定していたと考えられる。しかし、現実には、使用者たる企業が企業グループを構成するとか、直接の雇用関係のない派遣従業員が社内で発明を行うとか、相当の対価の支払義務を負担する使用者企業にM&Aが生じるなど、職務発明制度が直面する場面は複雑である。このため、仮に紛争になると、相当の対価の算定のために、従業員発明者及び企業等が負担する主張立証責任は大変に重いものとなっている。さらに、近年、企業とは性質の大きく異なる大学における発明も、職務発明としての機関帰属が原則となり、適用場面が拡大している。ところで、報道によると、現在検討されている特許法大改正の検討項目の一つに職務発明制度の見直しがあるようである。そこで、本稿では、主として、職務発明制度が想定するモデルと現実の企業活動の乖離という問題、大学における発明への職務発明制度の適合性の問題に焦点を当て、職務発明制度が抱える問題点を検討する。

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(4)試験研究の例外規定、存続期間延長
石川 浩 (持田製薬(株) 知的財産部長 弁理士)
加藤 志麻子 (阿部・井窪・片山法律事務所 弁理士)
神山 茂樹 (特許庁 特許審査第二部 福祉サービス機器 審査官)
洗 理恵 (パナソニック(株) R&D知的財産権センター 参事・弁理士)
【概要】

特許制度による発明保護はグローバル経済活動のなかに組み込まれており、特許制度が科学技術振興に大きな影響を与えているという事については、ほぼ疑う余地がない。しかし、現在の特許法は、複雑高度で日進月歩の科学技術に関する発明の保護手段として、十分に機能しているのだろうか。私達は、この点について、特許権の効力範囲と存続期間という2つの点についてそれぞれ例外規定の切り口から検討を行うことにした。

本報告では、前半で、試験研究の例外規定が適用される可能性のある実際の研究開発段階の状況について整理をし、次いで例外規定の適応にあたっての課題の抽出を試み、制度のあるべき姿についての検討結果を報告する。後半では、特許権の存続期間延長制度について、制度創設時における立法趣旨、延長登録出願の拒絶査定不服審判の審決取消し訴訟が頻発している現状、現制度の拡大、適正化を求める声がある点などをふまえて、そのあり方について検討した結果を報告する。

今回検討した2点ともに現状においてなんらかの制度上の課題を抱えている事が明らかになった。解決策について、これまでの提案や、諸外国の施策の適用について、わが国での適用妥当性について検討を試みた。しかし、例外規定について諸外国の状況を参考にするには、背景にその国特有の事情等がある事が確認され、諸外国規定の適用の検討は慎重に行わなければならない事を改めて認識した。

全体のまとめとして、今回検討した2点のうち、特に試験研究の例外については、法改正による解決が妥当であるという結論を導くには至らず、また、2点共に解決の方向性の提案まで至らなかった。引き続き、当該方面の問題点と解決策について、実態調査などを含めての検討が必要であろう。

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(5)無効判断のあり方
阿部 仁 (富士ゼロックス(株) 知的財産部 知財情報企画グループ 知財業務インフラチーム
       兼 知財渉外グループ 外国業務チーム)
猪瀬 隆広 (特許庁 特許審査第四部 電話通信 審査官)
福田 知子 (協和発酵キリン(株) 法務部マネジャー・弁護士)
山田 くみ子 (山田国際特許事務所 弁理士)
【概要】

我が国の知的財産訴訟(民事通常訴訟・仮処分事件を含む)の件数が年々減少している。そこで、本稿では、何故、知的財産の「活用」を底から支える訴訟の件数が減じているのかについて分析と検討を行った。

知的財産訴訟の現状を俯瞰すると、権利者が敗訴する割合が約8割と多く、その原因として、イ号物権等が特許権の権利範囲に属さないと判断される割合が高く、次いで権利そのものが無効と判断される場合も約3~4割を占める。この現状を踏まえると、権利が覆る予測可能性が低下し、権利者が訴訟において無効判断を受けるリスクを避けるべく、権利行使をためらう傾向が見られ、訴訟減少に結びついているとも推察された。

そこで、権利が覆る原因として、(1)進歩性判断における判断水準の現状、(2)無効審判と侵害訴訟における特許法104条の3の制度のあり方、の2側面から原因分析を行い、権利に係る判断のあり方と制度のあり方について、本質的な考察を行った。

そして、最終的に我が国における知的財産制度が、今後より円滑に作用するための制度や運用について検討を行った。

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(6)GUIデザインの保護
波田野 晴朗 (TMI総合法律事務所 弁護士)
山田 くみ子 (山田国際特許事務所 弁理士(2007年度まで参加))
山本 厚 (五木田・三浦法律事務所 弁護士)
【概要】

近年の情報機器,AV機器におけるグラフィカルユーザーインタフェイス(Graphical User Interface。以下「GUI」という。)は,当該機器の表示画面に展開するインターフェイスとしてその重要性が増している。こうした中,各メーカーが行うデザイン開発もGUIデザインに対する投資が拡大しており,GUIデザインが製品差別化の大きな要素ともなりつつある。

平成18年の意匠法改正において「画面デザインの保護の拡充」がされ,物品の機能を発揮できる状態にするための操作の用に供される画面デザインが,部分意匠として保護されることとなった(第2条第2項)。しかし,意匠法が保護の対象とする「意匠」は,有体物たる物品のデザインであることが前提となっているため,特定の物品から離れて展開するGUIデザインについて,意匠法による保護が直接的に及ぶとは言い難い。

本稿は,現行法におけるGUIデザインの保護の可能性を検討するとともに,主として意匠法,不正競争防止法におけるGUIデザインの保護の在り方について,若干の考察を試みるものである。

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(7)ファッションデザインの保護法制
阿部 仁 (富士ゼロックス(株) 知的財産部 知財情報企画グループ 知財業務インフラチーム
       兼 知財渉外グループ 外国業務チーム)
切貫 総子(ブレークモア法律事務所(2009年3月31日まで)、豊田通商株式会社
        法務部国際法務グループ 課長職 弁護士・NY州弁護士)
杉山 輝和 (特許庁 特許審査第一部 審査官)
【概要】

デジタル技術、インターネット技術等の発展により、優れたファッションデザイン(衣服)のオリジナルの発表から瞬時にして(時にはオリジナルデザインが市場に出回るよりも早く)模倣品又は限りなく模倣品に近いデザインが世界中に出回り、デッドコピー商品を含む模倣品等の取引額が全世界で年間65兆円とも言われる昨今、そのような模倣品等の存在にもかかわらず、ファッション業界が一向に衰退していないのはなぜだろうか。

本稿は、上記のような素朴な疑問を出発点とし、(i)現状ではファッションデザインは法律でどのように保護されているか、(ii)ファッションデザインの保護により適した法制度とは何かについて検討を行うことを通じ、衣服のデザインのようにライフサイクルが短いものについて、知的財産権の保護範囲がどの程度まで及ぶものかを、日本法、アメリカ法、EU法の検討を適宜含めつつ考察するものである。

日本においては、ファッションデザインは、意匠法及び不正競争防止法で保護される対象となるところ、意匠法は、長期の保護期間及び出願から登録までの日数、衣服の値段に比して割高な登録料等そもそも登録になじまない部分があり、他方、不正競争防止法による保護は、その基準にあいまいな場合があるといわざるを得ない。ファッションデザインの保護に関する法制度としてEU及び韓国が採用している無審査登録意匠制度が挙げられるが、使い勝手がよい制度であるとは言えない。

デザイナー同士がお互いのファッションデザインを参考にすることで、より魅力的なファッションデザインの流行が生み出され、一つの流行が衰退した場合であっても次々と新しい流行が生み出される中で、デザイナーは模倣されたことにこだわるより新しいファッションデザインの創作に労力を注ぎ、デザインの流行が陳腐化するまでに投下資本を回収する。筆者らは、このような状況は、魅力的なファッションデザインが特定のデザイナーに独占されるよりも望ましい状態であると考えた。

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(8)特許権の正当な権利行使のあり方
加藤 志麻子 (阿部・井窪・片山法律事務所 弁理士)
切貫 総子(ブレークモア法律事務所(2009年3月31日まで)、豊田通商株式会社
       法務部国際法務グループ 課長職 弁護士・NY州弁護士)
武智 克典 (片岡総合法律事務所 パートナー・弁護士)
波田野 晴朗 (TMI総合法律事務所 弁護士)
【概要】

特許権をめぐる利益状況は、個別の事案によってさまざまであり、特許権を保護するための手段である差止請求権や損害賠償請求権の行使をめぐっても個別の事案によってその当否が問題となることも少なくない。

例えば、現に発明を実施しておらず、また、実施する意図もなく、多くの場合は、決して実施することのない特許から多くの利益を得ようとする者による濫用的な権利行使(いわゆるパテント・トロール)に対してどのような手段を講ずることができるのか(「濫用者の抑止」)、

また、発明の本質等に照らし、特許明細書における請求項の記載が概括的なものとなっている場合や侵害品の一部に発明が利用されている場合などにおける差止請求権の適切な範囲のあり方をどのように考えるべきか(「適正な差止めの範囲」)、

さらに、損害賠償請求権についても、特許法第102条第1項、第2項及び第3項の関係をどのように捉えるのか、合理的な実施料相当額についてどのように考えるべきか(「適正な損害賠償の算定」)、

そのほか、具体的な事案に応じた柔軟な解決を図るという観点から、損害賠償請求訴訟における故意又は過失の認定のあり方についてどのように考えるべきか(「適正な過失の認定」)、複数の侵害者が関与している場合に侵害者間における責任分担のあり方についてどのように考えるべきか(「適正な責任分担」) などを含め、その保護のあり方をめぐっては、その解釈上問題となる点は枚挙にいとまがない。

本テーマでは、適正な特許権の行使のあり方という観点から、特に、「濫用者の抑止」「適正な差止めの範囲」「適正な損害賠償の算定」「適正な過失の認定」「適正な責任分担」についてそれぞれ検討することとしている。

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(9)ライセンス取引に適用ある法律と未解決の法的諸問題について
石川 浩 (持田製薬(株) 知的財産部長 弁理士)
大野 郁英 (凸版印刷(株) 法務本部 法務部 課長)
福田 知子 (協和発酵キリン(株) 法務部マネジャー・弁護士)
松田 俊治 (長島・大野・常松法律事務所 パートナー・弁護士)
【概要】

ライセンス取引においては、契約自由の原則の下、ライセンス契約の記述を充実させることで、実務は、当事者間の法律関係を柔軟に処理してきた。しかし、第三者を必ずしも法的に拘束しないライセンス「契約」のみに依拠した既存の実務には限界があり、ライセンサー破産の場面などで、かかる実務の運用とライセンス取引に適用ある法律(知的財産法・民法)との間の齟齬が顕在化しうる。近時、この問題を解決し、ライセンス取引の法的安定性を確保する目的で、平成20年特許法改正に至る一連の制度改革が行われたが、産業界の要望等に照らすと、なお、未解決の問題が残っていると考えられる。本稿では、独占的通常実施権・サブライセンスの問題、特許を受ける権利のライセンスに関する諸問題、著作権のライセンス契約における第三者対抗の問題について、今後の法改正の方向を指し示す、知的財産研究所の2009年4月付「知的財産の更なる活用の在り方に関する調査研究報告書」の内容に言及しながら、検討を試みる。

このセミナーは競輪の補助金を受けて開催いたしました。

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