開催済み 研究成果報告会・セミナー

平成22年3月9日(火)
知的財産セミナー 特許庁委託 平成21年度特別研究員 研究成果報告会

(財)知的財産研究所では、特許庁から委託を受けた産業財産権研究推進事業の一環として、産業財産権分野を専門とする若手研究者を研究員として1年間採用し、今後の産業財産権分野の政策の立案の基礎に資するテーマについて研究する機会を提供することにより、我が国の将来を担う産業財産権分野の研究者の育成を図る研究者育成事業を実施しております。

昨年11月18日、19日に中間報告会を開催いたしましたが、今回、6名の研究員のその後の研究成果も含め1年間の研究成果の発表及び参加者の方々との意見交換を行う場を設けるために、研究成果報告会を開催いたしますので、ご案内申し上げます。

日 時 平成22年3月9日(火) 10:00-17:30 (9:40受付開始)
会 場 学士会館210号室(地図
東京都千代田区神田錦町3-28
       地下鉄都営三田線・新宿線、東京メトロ半蔵門線「神保町」駅下車A9出口1分
       東京メトロ東西線「竹橋」駅から徒歩5分
参加費 無料
定 員 130名 (先着順)
プログラム

報告概要・報告者紹介はこちら

9:40 受付開始
10:00-10:05 開会・主催者あいさつ
10:05-11:05 『商標としての使用-商標権の効力の制限との関係を中心として-』
金 久美子 特別研究員
11:05-12:05 『インターネット上における商標権の保護―日中比較を中心として―』
陳 思勤 特別研究員
12:05-13:10 休憩
13:10-14:10 『研究開発・特許出願行動の進化ゲーム理論的分析』
石井 良輔 特別研究員
14:10-15:10 『環境規制と企業のイノベーション活動-特許データによる研究開発動向の分析-』
枝村 一磨 特別研究員
15:10-15:20 休憩
15:20-16:20 『知的財産権に基づく侵害行為差止め仮処分の国際裁判管轄』
的場 朝子 特別研究員
16:20-17:20 『準拠法及び国際裁判管轄に関する新たなルールと知的財産紛争の処理』
村上 愛 特別研究員
17:20 閉会

※各報告は、発表45分、質疑応答10分、指導官講評5分の予定です。

申込締切 平成22年3月8日(月) ただし、定員になり次第受付を締め切り、以降のお申込みはキャンセル待ちとさせていただきます。
申込方法 受付終了いたしました。
問い合わせ先 (財)知的財産研究所 岩井(いわい)
〒101-0054 東京都千代田区神田錦町三丁目11番地 精興竹橋共同ビル5階
Tel:03-5281-5672;   Fax:03-5281-5676;   

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『商標としての使用-商標権の効力の制限との関係を中心として-』
金 久美子 特別研究員
【報告概要】

商標権者は、第三者が、指定商品・役務と同一又は類似の商品・役務について、登録商標と同一又は類似の標章を使用する行為(商標法2条3項)を行っている場合には、差止め・損害賠償を請求することができる。しかし、我が国の裁判例では、形式的に同法2条3項に規定する使用に該当しても、商標としての使用でない場合には、商標権侵害に当たらないとしている。

「商標としての使用」(商標的使用)という概念は、「自他商品識別機能ないし出所表示機能を有する態様で使用する行為」と解釈されており、商標法の規定には明示されていないが、商標権侵害の要件として考えられている。

今後も新たな標章の使用態様が生ずることが予想され、また、著名商標保護への対応も必要とされていることから、「商標としての使用」とはいかなるものか、現在の解釈で足りるのか、ということを検討することは有益だと思われる。

また、侵害の要件であるならば、その主張立証責任は原則として原告か被告かのどちらかにあるはずである。この問題は、商標としての使用の解釈をどのように導き出すかということや、効力の制限に関する規定(商標法26条等)と大きくかかわってくるが、この件に関する研究は余り進んでいないように思われる。

本研究では、欧州での状況、当事者の主張立証責任、商標法26条との関係等を手掛かりとして、「商標としての使用」の内容や、侵害訴訟における位置付けについて調査・検討を行う。

【報告者紹介】

中央大学大学院法学研究科博士後期課程単位取得退学

平成21年4月より当研究所特別研究員

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『インターネット上における商標権の保護―日中比較を中心として―』
陳 思勤 特別研究員
【報告概要】

インターネット技術の更なる発展は、サイバースペース上の新たな形態の商標権保護の問題を提起している。例えば、いわゆる「検索連動型広告」と呼ばれるサービスにおける検索キーワードと商標権の抵触をめぐる紛争はその一例である。サービスの利用者が、他人の商標又はその一部を自社の検索キーワードとして登録したことに対して、商標権者から商標権の侵害として訴えられる紛争であるが、特徴的なのは、サービスを利用する直接の行為者だけでなく、サービスを提供している間接関与者としてのISPの責任も問われる点である。中国では、Google(中国)社、中国の検索エンジン最大手の百度社が相次いでこのような訴訟に巻き込まれているが、法律の明文規定を欠くことから、裁判例にばらつきが見られるところである。これは、法的安定性や予見可能性の観点から見れば問題であり、権利の保護や紛争の予防に大きな困難をもたらしている。日本においても、同種問題の存在を指摘する文献はあるが、詳細な研究はなお十分になされていないように思われる。

本報告では、上記のような中国の新種の事例などに代表されるインターネット環境における商標権の保護と間接関与者の責任問題について、日中両国の法律を基礎にその規律の在り方を比較検討する。

【報告者紹介】

大阪大学大学院法学研究科博士後期課程

平成21年4月より当研究所特別研究員

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『研究開発・特許出願行動の進化ゲーム理論的分析』
石井 良輔 特別研究員
【報告概要】

本研究では、研究開発のインセンティブと特許権付与の結果として得られる独占の弊害のトレードオフに着目し、それらが社会厚生に与える影響を明示的に組み込んだ経済理論モデルを分析する。既存の理論研究で明確に定義されていない「特許権の強さ」や「特許権の存在自体」が経済成長率に与える負の影響などのモデルへの組込みと併せて、研究開発投資量決定に進化ゲーム理論的要素を導入し、企業の意思決定を内生化する。特許の強さや特許権付与の基準の厳しさなどの外生的なパラメータを政策変数と解釈し、モデルにおける経済成長率を指標とする社会厚生を最大化する政策変数の定性的性質を求める。また、分野ごとに異なる特許権の存続期間を設けられるよう規制緩和がなされた際の最適存続期間決定問題において、政策上の意思決定が経済成長に与える影響についても考察を行う。

【報告者紹介】

京都大学大学院経済学研究科単位取得退学

前日本学術振興会特別研究員PD(研究従事機関:京都大学経済研究所)

平成21年4月より当研究所特別研究員

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『環境規制と企業のイノベーション活動―特許データによる研究開発動向の分析―』
枝村 一磨 特別研究員
【報告概要】

一般に日本の環境技術は諸外国と比較して優れていると言われている。本研究では、日本企業による環境技術のイノベーション活動を促進させている要因として環境規制を考える。

環境規制によって企業がイノベーション活動を促進させるという仮説がある。この仮説に関しては、仮説を支持する幾つかの実証研究が実施されているが、これらの研究ではデータの制約等から課題が多く残されている。

本研究では、企業による研究開発活動や特許出願行動と環境規制の関係を、特許データや財務データ、環境行政にかかわる情報を用いて統計的に分析する。分析を行う際には、環境規制が企業に与える影響は企業規模や業種によって異なると考えられるので、それらの要因をコントロールした上で、環境規制が企業のイノベーション活動に与える影響を統計的に抽出する。

【報告者紹介】

一橋大学大学院経済学研究科博士後期課程

平成21年4月より当研究所特別研究員

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『知的財産権に基づく侵害行為差止め仮処分の国際裁判管轄』
的場 朝子 特別研究員
【報告概要】

仮処分は保全措置の一種である。そして、保全措置であるからには、迅速かつ実効的に措置がとられることを本質とすると考えられる。例えばEU諸国における「民・商事事件の裁判管轄と外国裁判の承認・執行に関するブリュッセルⅠ規則」では、保全手続の裁判管轄は本案訴訟の裁判管轄よりも広く認められ得る形で規定されており、権利者が迅速に保全措置をとるのに便宜である。しかし、知的財産権関連の国際的紛争においては、権利侵害行為の差止めを命じる仮処分命令の裁判管轄が広く認められると、問題も生じ得る。本報告は、知的財産権侵害行為の差止めを命じる仮処分につき、本案判決や他の種類の保全命令との比較を通して措置の特徴を明らかにしつつ、その国際裁判管轄ルールの在り方を検討するものである。具体的事例として、欧州司法裁判所の先決判断等の欧州の事例のほかに日本の裁判例も取り上げる。

【報告者紹介】

前・神戸大学大学院法学研究科専任講師

平成21年4月より当研究所特別研究員

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『準拠法及び国際裁判管轄に関する新たなルールと知的財産紛争の処理』
村上 愛 特別研究員
【報告概要】

本報告では、「法例」に代わり2007年1月1日より施行されている「法の適用に関する通則法」の下での職務発明及び職務著作の準拠法の決定方法及び国際裁判管轄ルールを考察する。

法例と同様、法の適用に関する通則法は、職務発明又は職務著作に関する特則こそ設けていないものの、労働契約に関する特則(12条)を新たに導入した。法例の時代には、職務発明も職務著作も契約の問題として処理する裁判例が多く見られた。特に職務発明については、外国の特許を受ける権利の対価請求は契約債務一般に関する7条の規定によるとした最高裁判例も存在した。法の適用に関する通則法の下でも、これらの問題は契約の問題として処理され、労働契約に関する特則が適用されるのか、また、契約の問題であるとすると、契約準拠法の射程はどこまで及ぶのかについては、いまだ裁判例の蓄積もないところである。本報告では、欧州における議論ローマⅠ規則及びCLIP原則)を参考に、職務発明及び職務著作の準拠法の決定方法を考察した後、法の適用に関する通則法の下での解決を検討する。

国際裁判管轄については、2010年1月に公表された国際裁判管轄法制の整備に関する要綱案の下での職務発明及び職務著作紛争の処理を考えたい。

【報告者紹介】

一橋大学大学院法学研究科博士後期課程修了、博士(法学)

平成21年4月より当研究所特別研究員

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