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平成13年度調査研究の概要

 

【特許庁工業所有権制度問題調査研究】

1. 商標の保護対象等に係る国際調和に関する調査研究

 商取引のグローバル化に伴い、商標制度の国際的調和の重要性が益々高まっているが、主要国間においても、制度の実体的側面について依然として、いくつかの差異が存在している。本調査研究では、これらのうち、諸外国では採用されていながら、我国では採用されていない「音・におい・動作等の新しいタイプの商標」、「コンセント制度」、及び「ディスクレーマー制度」について、海外諸国(28カ国)の制度・運用状況や国内のユーザニーズを調査し、我国への制度導入の必要性について検討した。特にディスクレーマー制度については、我国においても大正10年商標法において「権利不要求制度」が採用されていたことを踏まえ、これが我国で廃止された経緯や各国における運用の実態についても調査・分析を行った。

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2. 表示画面上に表示された画像デザインに関する保護についての調査研究

 IT化の進展の中で、グラフィック・ユーザー・インターフェース等の表示画面上に表示された画像デザインは、インターフェース・デザインあるいはコミュニケーション・デザインとして位置付けられ使用者のユーザビリティ(見易さ、使いやすさ、分かりやすさ)を向上させるものとして機器のデザインと同様に重要な要素となってきている。本調査研究では、このような画像デザインについて、デザイン創作の実態を踏まえ、我が国の意匠法、特許法、著作権法及び不正競争防止法(商標法を含む)による保護の可能性や欧米での保護の状況を調査・分析した。また、国内外のユーザーの意見に基づき、今後、このような画像デザインについて意匠法を中心として如何に保護すべきかを立法論的に考察した。

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3. 各知的財産制度の適切な保護後領域のあり方に関する調査研究

 知的財産法は、財産的価値のある情報の種類や形態に応じた複数の保護制度を擁しており、社会の変化応じてその保護の拡充を進めてきている。本調査研究では経済の発展や社会の変化によって、新たに生れる知的財産について、現行の知的財産法制度における対応と、それらの相互関係を分析・検討したものである。具体的には企業の直面する知的財産法による保護の限界領域、商標法と不正競争防止法における登録商標と周知・著名商標の抵触した場合の調整、意匠法の改正、GUI・立体商標制度・著作権のそれぞれと他の知的財産法との関係等について検討を行っている。

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4. IT化に対応した特許法・商標法の保護の在り方に関する調査研究

 インターネットの普及に伴い、電子商取引等ネットワーク上での事業活動が拡大している。特許庁では、このような経済社会の変化に対応するため、平成13年度ソフトウェア等の情報財の保護強化を図るため特許法の間接侵害規定の拡充、ネットビジネスで使用される商標の保護強化などについて法改正を視野に入れた検討が行われた。本調査研究では、それらの検討に資するため、我国における特許権の間接侵害に関する判決の分析するとともに、欧米等主要国について知的財産権に言及している憲法、最近の特許・実用新案権侵害事件での損害賠償認定額、間接侵害の成立要件、特許クレーム・カテゴリの取扱い分割・継続出願の取扱い、インターネット上の商標権の取扱い、及びサービスマークを付した商品の取扱い等について調査・研究を行った。

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5. 審判制度と知的財産訴訟の将来像に関する調査研究

 近年、特許権の権利行使の重要性が高まるのに伴い、権利行使の際の手続法的側面の充実が求められている。これまでも、紛争解決時の手続きについては、「審判の迅速化」という観点から、数次の制度改正が行なわれてきたが、今後は「紛争を一回的に解決する」という観点からの検討が必要になっている。特に、我国では平成12年4月のキルビー最高裁判決において、特許権侵害訴訟を扱う裁判所が当該特許権について無効理由が存在することが明らかと判断した場合には、特許権の行使を権利濫用とみなすとの判断が下された。これにより、従来、特許庁の無効審判制度で判断されてきた特許無効の判断と訴訟における無効の判断との関係について検討する必要が生じている。本調査研究では、このような状況を踏まえ今後の特許庁における審判制度と裁判所における知的財産訴訟のあり方について幅広く論点を抽出し、いくつかの対応案の検討を試みた。

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6. 新しい時代における知的財産保護のための不正競争防止法のあり方に関する調査研究

 不正競争防止法は、平成5年の全面改正以来、約10年の期間が経過しつつありこの間、経済・産業構造が大きく変化しつつある中で、同法が事業者間の公平な  競争ルールとして適切に機能しているかどうか、幅広い視点から見直しが必要となっている。また、平成13年に改正された、ドメイン名に係る不正競争行為については、具体的事案に関する参考情報の提供が求められている。本調査研究ではこのような状況を踏まえ、不正競争防止法に関し、現代に特有な問題点を幅広く抽出して、今後の不正競争防止法のあり方に関する検討を行うとともに、特に今後さらに保護の強化が求められる営業秘密について保護のあり方を検討した。また今後の紛争解決の指針として、ドメイン名についての具体的紛争事案をとりまとめ事例集として広く公開することとした。

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7. プロパテント時代における権利のあり方に関する調査研究

 我国の特許権等に係る裁定実施権制度は、特許法等の法令、裁定制度の運用要領、TRIPS協定及び日米合意に関連規定が各々設けられているため、同制度をどのように適用・活用していくべきかを理解することが難しい。そこで、主要な事例として「医薬品特許」「技術標準」「不正競争行為の是正」(技術標準に関しては独占禁止法上の諸問題も含め)を取り上げ、同制度を活用し得るか否かを検討した。また、裁定制度に係る条約・国際的取り決め(TRIPS協定及び日米合意)と我国の法制度との整合性並びに適用要件を整理して裁定制度の体系を見直すとともにこれら条約等に整合するような立法上の措置の要否とは別に、我国の産業振興策 並びに対外政策の観点からも同制度を如何に捉えていくべきかについても触れる。

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8. ポストゲノム研究成果物の保護のあり方に関する調査研究

 近年のポストゲノム研究の進展に伴い、その成果物に関する出願が、従来見られなかった形で行われており、これらの特許性判断基準の早期確立が望まれている。本調査研究では、まず、特許対象技術を明確にすべく、ポストゲノム研究の中心技術であるタンパク質立体構造解析及びバイオインフォーマティクスの要素技術を創薬や診断方法への応用を踏まえた上で整理した。次いで、これら技術の特徴である「情報」と「その処理方法」に着目しつつ、想定される主なクレーム(「リーチ・スルー型クレーム」、「機能推定型クレーム」、「ファーマコフォア型クレーム」及び「バーチャルスクリーニング型クレーム」)に関する法上の論点を抽出・検討し、実施可能要件と機能解析の程度、請求の範囲の明確性、コンピュータソフトウェア関連発明の審査基準との関係等、様々な問題点及びその解決案を提言した。

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9. 特許クレーム解釈に関する調査研究

 特許発明の適切な保護範囲を画定するには、裁判所におけるクレームの解釈のあり方が重要であり、過去、諸外国においても数々の重要判決が示されるとともに我が国においても平成10年に均等論を認める最高裁判決がなされている。また 最近では、技術革新に伴い、新たな記載形式のクレームが登場し、この解釈が大きな課題となっている。本調査研究では、我国における特許クレーム解釈のあり方を検討するために、米国、英国、ドイツの3カ国について、特許クレーム解釈に関する現行の規定や改正の動向、最近の判例動向を調査し、特に均等論に関する判例、機能的表現形式を用いたクレーム、及びプロダクト・バイ・プロセス形式のクレーム解釈に関する判例動向を分析した。

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10. 知的財産紛争を巡る国際的な諸課題に関する調査研究

 インターネットの急激な普及に伴い、国境を跨る、新しい形態の知的財産紛争が増加しつつあり、国際的な知的財産紛争に関する適切な解決ルールの構築が望まれてきている。特に、インターネットを介したサイバースペース上の知的財産紛争の取扱いについては、実例を踏まえた十分な検討が必要とされる。一方、ハーグ国際私法会議においては国際裁判管轄及び外国判決の承認執行に関する条約案(ハーグ条約案)が検討されているところ、我国の採るべき対応について検討・提言することが喫緊の課題となっている。本調査研究では、かかる状況を踏まえサイバースペース上の紛争事例を収集整理して検討を加え、ハーグ条約への対応も考慮しながら、サイバースペースにおける新しい知的財産紛争の予防・解決ルールについて調査・分析を行った。

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11. 特許と経済に関する調査研究

 特許権を「広く」そして「強く」保護するプロパテント政策を進めていく中このような政策が経済的にみてどのような意味と効果を持つのかの検証が重要と なっている。本調査研究では、「プロパテント政策」の影響を検証するためにライセンス価格を中心としたライセンス条件の変化、特許がイノベーションなど 経済活動に影響を及ぼすメカニズム、先行技術保護と後発技術振興のバランスを とる知的財産権政策のあり方等についての分析・検討を行った。また、国内企業の1398社に対するアンケート調査を実施すると共に、米国のプロパテント政策による経済的な影響についても調査も実施し、これらに基づき、今後の知的財産政策評価の指標となる「知的財産活動 統計調査」についても検討を行った。

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12. グループ企業における知的財産権の活用に関する課題調査研究

 平成9年の独禁法改正等により、産業界では事業再編を図る動きが加速し、企業は法人格を別にする親会社(持ち株会社)と事業子会社からなるグループ企業化が すすんでいる。その結果、これまで共有してきた知的財産を分割・移転することが必要となり、その活用上も様々な法律的検討課題が必要となっている。本調査研究では、グループ企業内での「知財管理部門配置先」と「知財権帰属先」に着目して集中管理・集中帰属モデル及び集中管理・分散帰属モデルを選択し、グループ企業が知財権活用の際に生じると予想される①事業子会社の従業者発明の補償、②権利行使の主体・方法・損害賠償額、③グループ企業内の権利移転・ライセンスバックに関わる税務等の点について、現行法制度内での対応策および法制度の改善すべき点の調査・分析を行った。

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【特許庁委託工業所有権研究推進事業】

13. 実用新案保護の国際的な発展 -台湾実用新案制度改正への模索-
謝 銘洋
(財)知的財産研究所 平成13年度招聘研究員
国立台湾大学教授

 現在、台湾における実用新案制度は、審査官たちの作業負担が大き過ぎることから適正な審査水準を確保できないという問題に直面している。これに対し、台湾政府は、審査水準を高めることを目的として、審査官たちの負担を減少させるために大規模な実用新案制度改革を行うことを提案している。本稿では、国際的な実用新案保護制度の動向を分析し、特に台湾の実用新案制度が現在抱えている問題と同様の問題に対し各国がどのように対処してきたのかという点について検討した。

 Ⅰでは、台湾の実用新案制度が現在抱える問題点について検討を行い、Ⅱでは、欧州連合(EU)、ドイツ、日本、韓国及び中国における状況を中心に、実用新案制度に係わる国際的な動向を検討した。Ⅲでは、各国における動向を台湾実用新案制度改革の参考にするという観点から検討し、台湾における法改正に向けた様々な提案を行った。その結果、Ⅳにおいて、たとえ日本における実用新案制度の重要性が低下しているとしても、台湾の実用新案制度改革論議においては、日本の実用新案制度改革がやはり重要な参考的意味を有すると結論した。

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14. ビジネス方法ソフトウェアの特許性 -日米欧のBMPに対する考え方と価値基準および中国の対応策について-
張 平
(財)知的財産研究所 平成13年度招聘研究員
北京大学法学院副教授

 本稿は、ビジネス方法関連ソフトウェアの特許性について分析を加えるものである。とくに、米国、日本、欧州の三極が、いわゆるBMP(ビジネス方法特許)に関して、どのような法理論、経済政策、技術戦略を提示しているのかについて考察する。BMP問題については、近年、発展途上国においてまさにホットな話題となっており、発展途上国の立場から何が言えるのか、筆者独自の見解を述べている。

 本稿の構成は以下の5つからなる。すわなち、Ⅰ.米国、日本、欧州間で繰り広げられている「BMP戦争」の概要について。Ⅱ.各国政府(特許庁)の動向―具体的審査基準の提示。Ⅲ.各国企業の動向―BMP取得競争。Ⅳ.BMP侵害問題。Ⅴ.BMPに関する中国の現状と巻返し策の提示。

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15. 特許クレーム解釈に関する比較研究
林 桓毅
(財)知的財産研究所 平成13年度招聘研究員
ジョージワシントン大学ロースクール博士課程

 本稿は、特許クレームの文言解釈、均等侵害及び関連する手続上の問題について論じるものである。クレームそのもの、明細書、審査経過、辞書から専門家証人にいたるまでの様々な資料が特許クレームの解釈において果たす役割について検討した上で、均等論適用のための条件の比較を行った。さらに最近のフェスト事件(Festo Case)等をめぐり、現在の米国で最も激しく議論されている問題である審査経過禁反言(prosecution history estoppel)についての検討も行った。また、特許クレームの解釈に関する判決の拘束力の問題についても簡単ではあるが論じている。

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16.  並行輸入・特許権の消尽・TRIPs
フロリアン・シュミット‐ボガツキー
(財)知的財産研究所 平成13年度招聘研究員
ゲッティンゲン大学博士課程

 本稿は、特許権の消尽に関して、日本、欧州連合、米国における最新の国際的動向について考察するものである。特許政策と国際貿易は密接に関連しており、したがって、特許の国際消尽の承認は、特許権の範囲を不当に狭めることなく国際貿易の発展を促すのに役立つものといえよう。関連当事者に生じうる様々な悪影響は、競争諸原理を効果的に用いることで相殺しうる。現在、WTOはその最も適切な議論の場であり、WTOにおけるより一層の議論の進展が望まれる。

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17. 米国におけるバイオテクノロジー関連発明に関する特許性判断基準 -有用性要件の判断基準を中心として-
泉川 達也
(財)知的財産研究所 平成13年度短期派遣研究員

 近年、ゲノム解析等の遺伝子関連技術をはじめ、バイオテクノロジー分野における技術発展はめざましい。しかし、その特許性判断については、それがまったく新しい技術であるがために、必ずしも明確な基準が定まっているものではない。本稿は、米国におけるバイオテクノロジー関連発明の特許性判断基準について、特に有用性要件が米国における特許性判断に際してどのように機能しているかについて種々の角度から分析を加えている。

 本稿の構成としては、まず、最近のバイオテクノロジーの進歩と特許の関係について概要を示し、特許法における有用性要件と関連の特許要件について概説する。次いで、有用性要件に関するこれまでの判例の流れ、2001年1月に発表された「有用性に関する審査ガイドライン」及び同年8月に改定されたMPEP(有用性に係る章)について概説する。さらに、これまでの判例やガイドライン等に照らし、最近のバイオテクノロジー関連発明に対する有用性基準及びバイオテクノロジー分野における有用性要件の今後の動向について検討を試みている。

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18. 欧州におけるソフトウエア及びビジネス方法関連特許の特許適格性について
大山 正嗣
(財)知的財産研究所 平成13年度短期派遣研究員

 欧州特許条約のもとでは、明示されてはいないものの「発明」であるためには「技術的性質」を有する必要があり、非技術的なものであるコンピュータ・プログラムやビジネス方法を含む発明の保護にあたっては、これらの発明の「技術的性質」をどう解釈するかがポイントとなっている。

 本稿では、経済活動を遂行又は支援するのに適した物理的実体が発明として認められた、「年金給付管理システム審決(T931/95)」に至るまでのコンピュータ・プログラム及びビジネス方法関連発明に関する欧州特許庁における審決を概観し、これらの発明が、どのように「技術的性質」を有するものと認定され、特許適格性の要件をクリアしてきたかを検討した。また、この審決の影響を把握すべく、この審決以降の英国の審決についても検討した。

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19. 知的財産権の単独取引拒絶と競争法の関係
棚橋 美緒
(財)知的財産研究所 平成13年度特別研究員

 単独事業者による知的財産権の取引拒絶の適法性については、学説上争いがあるものの、日本法においては未だ審決・裁判例が出されていないため、EU法における具体的事件(Magill事件及びIMS事件等)を検討材料として取り上げた。その上で、筆者は、知的財産権の単独取引拒絶の違法性については、①知的財産が固有のものとして内包する技術的・創作的価値の高さや投資規模という意味での重要度、②標準化・ネットワーク効果その他の社会環境等の外的要因による重要度及び③知的財産以外の材料や加工の重要度・コストとの相関関係によって決せられるという見解に至った。また、本報告書では、単独取引拒絶が違法と解される場合のエンフォースメントの選択(公正取引委員会による排除措置命令、私人の訴訟提起による裁判所の取引強制命令・損害賠償請求判決、経済産業省大臣・特許庁長官の裁定のいずれに委ねるのが妥当か)についても検討した。

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20. 標識法の保護領域の拡大 -稀釈化に関する米国法を題材として-
宮脇 正晴
(財)知的財産研究所 平成13年度特別研究員

 本稿は、営業上の標識の「稀釈化」の問題に着目し、米国法を参照しつつ、標識法における拡大された保護について検討しようとするものである。稀釈化規制によって保護されるのは標識に伴うイメージや連想であり、この点で「信用」の保護を目的とする本来的な標識法の規制(混同規制)とは決定的に異なるものである。よって、稀釈化規制の制度設計と運用にあたっては、このような特殊性に対して充分な配慮がなされなければならない。本稿では米国の連邦商標稀釈化法下の裁判例を中心に検討したが、米国においては稀釈化規制と混同規制の切り分けがうまくなされていないことが明らかになった。わが国の不正競争防止法下の裁判例においても、同様の問題が明らかになりつつある。今後は、混同規制のありかたをも念頭に置きつつ、混同規制と稀釈化規制の適切な棲み分けについてより議論を深めてゆく必要があろう。

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21. 伝統的知識の保護と知的財産に観する一考察 -遺伝資源及び伝統的知識の保全から活用の時代へ-
大澤 麻衣子
(財)知的財産研究所 平成13年度特別研究員

 グローバル化に伴い、環境、貧困、倫理問題等、これまで全く考慮されてこなかった視点から知的財産を研究する必要が高まっている。伝統的知識の保護の問題も、その一つであるが、これまで日本では十分な検討が行われてこなかった。

 よって、本報告書では、今後、伝統的知識の保護を検討する際の一助となることを目指し、知的財産権制度による伝統的知識の保護に関連した問題のアウトラインをできるだけ明らかにするよう努めた。

 まず、第一章では伝統的知識とは何かについて概略し、伝統的知識の価値と保護の必要性について検討した。第二章では既存の知的財産権制度による伝統的知識の保護の範囲とその限界について概括した。続く第三章では伝統的知識の保護のために現在検討されている新しいアプローチについて概説し考察を加えた。第四章では人類の共同遺産たる伝統的知識について再思し、それを元にまとめの部分で、今後の議論における留意点を提示した。

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