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平成14年度調査研究の概要

 

【特許庁産業財産権制度問題調査研究】

1. 産業財産権制度改正に係る調査研究

 産業財産権をめぐる紛争の迅速かつ合理的解決は、紛争の当事者はもちろんのこと、関係機関においてもその重要性が強く認識されているところである。

 本調査研究では、「知的財産戦略大綱」で求められている審判制度等の改革に関し、(1)異議申立制度および無効審判制度に関する課題、(2)特許付与後の訂正に起因する課題について、平成15年特許法改正の基礎資料として、諸外国の制度を調査し、我が国の現行法との対比をとりまとめている。前者については、請求人適格、職権探知、攻撃防御の機会、紛争の蒸し返し防止等を、また後者については、訂正制度の概要、紛争が係属している場合の中止規定、侵害訴訟における扱い等を、それぞれ論点として各国毎にまとめている。意匠・商標についても同様の観点から調査を行った。

 また、特許庁が現在行っている判定について、実際に判定制度を利用したユーザを対象にアンケート調査を行い、判定制度が持つ今日的意味について検討した。

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2. 21世紀の商標制度構築に向けた調査研究

 我が国の現行商標法は、昭和34年の公布以来、数次の改正を重ねてきたが、これまでは、必要な要件を追加するための技巧的な条文改正が多く、今後、抜本的な改正が望まれている。

 本調査研究では、ブランドの戦略活用を一つの切り口として、現行商標法を抜本的に改正するために検討が必要な、以下の8つの主要論点について課題を整理・検討した。

 第1は、「商標」の定義として「識別機能」の追加、第2は、音、色彩、匂いからなる商標の保護、第3は、「電気」の商品商標を認めるか否か、第4は、「小売」の役務商標を認めるか否か、第5は、包括的な「使用」の定義の導入、第6は、音声による使用を2条3項における「標章の使用」とすべきか否か、第7は、コンセント制度の導入、第8は、防護標章制度の見直しである。

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3. 職務発明制度の在り方に関する調査研究

 2001年5月22日の東京高裁の判決により、特許法35条に定める「相当の対価」は、「勤務規則その他の定」により使用者が一方的に定めることはできず、従業者は不足額を使用者に請求することができる旨の解釈が示された。これを契機として、職務発明制度の在り方や、権利帰属、発明者へ支払うべき「相当の対価」についての関心が急速に高まっている。

 職務発明に関しては、労使間の紛争を未然に回避して、企業の知的財産管理コストを低減すること、同時に、より独創的な発明の創造を促進することが、我が国の産業競争力を強化する上で重要な課題となっている。

 本調査研究は、「知的財産戦略大綱」で求められている、職務発明制度の在り方の検討に資するための基礎調査を行ったものであり、具体的には、我が国及び欧米の職務発明制度の実態を調査し、特許法、民法、労働法及び経済学の観点から検討を行った。また、発明者の決定の問題についても検討を行った。

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4. ライフサイエンス分野の新出現技術関連発明の保護の在り方に関する調査研究

 ライフサイエンス分野の新出現技術の特徴としては、(1)ミクロからマクロへという動き、(2)リサーチ・ツールの役割の増大、(3)成果物の情報化が挙げられる。かかる新技術関連発明を適切に保護するためには、個別の技術毎に方策を検討することも必要であるが、特許法による保護範囲の限界、保護範囲と開示とのバランスなどの基本的な考え方を整理することも重要である。

 本調査研究では、ライフサイエンス分野の新出現技術及び国際プロジェクトの動向を把握することを通じて、新出現技術の特徴を確認し、保護する上での問題点を抽出した。次いで、記載要件と有用性の観点から、発明者の意識と現行法とのギャップについて分析を行った。同時に、新技術関連発明の特許性を具体的に検討することにより、特許法による保護範囲の限界を探り、様々な問題点とそれらの解決方法を提言した。更に、一般不法行為法などに照らし、特許法による保護を受け得ない成果物の保護の在り方についても検討を行った。

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5. 諸外国の産業財産権の料金施策及び財政運用に関する調査研究

 産業財産権に関する料金施策のあり方は、料金を納付するユーザーにとっても、料金によって必要経費を支弁する特許庁にとっても重要な問題である。しかし、今日、料金施策については、(1)海外との料金格差、料率設定の考え方の相違等の国際的調和の問題、(2)発明・出願の奨励、迅速かつ的確な審査、経済的弱者の保護等の政策目的をどのように料金施策に反映させていくのかという問題など検討すべき課題が多い。

 本調査研究では、米国、英国、ドイツ及びフランスの産業財産権並びに欧州特許に関する料金制度を調査し、権利取得前後の料金バランス、維持料の累進率等について諸外国における現状を分析した。また、各国の担当庁に対してアンケート調査を行い、各国の料金施策の考え方を収録した。併せて、料金割引・返納の制度、料金改正の方法、各国担当庁の財政運用の状況等についても検討した。

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6. 知的財産権の信託活用に係る法的諸問題の検討に関する調査研究

 現在、グループ企業内の知的財産権の管理活用、または大学から民間への技術移転のためには、権利の譲渡または委任による一元的管理がとられている。しかし、これらの方式による一元的管理には、様々な管理上のリスクが潜在する。

 一方、信託による一元的管理は、譲渡方式と委任方式の中間的な方式であり、両方式のメリットを享有できる可能性がある。

 本調査研究では、知的財産権の中でも特許権と特許を受ける権利を対象とし、それらを信託方式により一元的に管理を行うと想定して、信託財産としての適格性、委託者および受託者の関係などの信託法上の課題、信託に係る税務・会計上の取扱い、信託方式の意義について検討した。併せて、欧米における信託方式の活用動向の調査も行った。

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7. 特許クレーム解釈に関する調査研究(Ⅱ)

 我が国においては、均等論はクレーム解釈の基本的な法理の一つとして定着してきた。一方、機能的クレーム及びプロダクト・バイ・プロセス・クレームの解釈については、一般的なクレームの解釈の原則に立った上で、個別的、具体的な要素を勘案して総合的に評価されていると考えられる。

 本調査研究では、昨年度の「特許クレーム解釈に関する調査研究」に引き続き、我が国における均等論、機能的クレーム及びプロダクト・バイ・プロセス・クレームの解釈について、最近の判例の分析・検討を行った。特に均等論については、平成10年のボールスプライン最高裁判決以降の関連下級審判決を収集し、それらについて均等成立の5要件の適用状況を分析・整理した。また、昨年度の調査研究で分析した米国、英国、ドイツの判例とも比較し、それぞれの解釈論に関する詳細な検討を行った。

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8. 産業界におけるライセンス契約の動向及び経済学的問題に関する調査研究

 日本企業を取り巻く経済環境が厳しい状況の中、企業におけるライセンス活動を含めた知的財産戦略は、今後の重要な事業戦略の一つである。

 本調査研究では、日本における特許制度強化の背景や課題、ライセンス規制、特許制度とライセンス契約との関係などに触れながら、企業におけるライセンス活動について、その実態や内在する課題についての調査・研究を行った。具体的には、ライフサイエンス及びバイオ・製薬産業、電機・電子産業におけるライセンスやパテントプールについて検討を行った。

 また、特許データを使用した技術革新や技術普及の評価研究など、経済分析の必要性や、そのための特許データの在り方などについても検討を行った。

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9. 知的財産保護強化に向けた不正競争防止の在り方に関する調査研究

 「知的財産戦略大綱」では、不正競争防止法による民事・刑事両面にわたる営業秘密の保護強化が求められている。

 本調査研究では、これらの課題に対し、不正競争防止法の訴訟における侵害行為及び損害額の立証容易化に関する規定の在り方、ネットワーク社会における概念規定のあり方について検討した。

 また、営業秘密の保護強化を図るための刑事罰規定を不正競争防止法に設けるとした場合の課題及び訴訟上の営業秘密保護に関する課題についても検討した。

 さらに、企業が営業秘密に関する管理強化のための戦略的なプログラムを策定できるよう、参考となるべき営業秘密管理指針についても検討した。

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10. 日本企業の欧米における戦略的特許取得に関する調査研究

 我が国企業が国際力を維持するためには、欧米での権利活用を意識した特許取得が一層重要となっている。特に、米国の場合は、裁判所が特許の有効性及び権利範囲を判断することから、特許権を活用するためには、米国特許商標局の登録を得るだけでなく、裁判所においても十分に権利主張ができることが必要である。

 本調査研究では、日本企業が取得した米国登録特許約100件を分析し、クレームや明細書の記載が、裁判所における権利主張に耐え得るか否かを検討し、出願に当っての留意点等をまとめた。

 この結果、最近の米国連邦高裁(CAFC)は明細書の記述からクレームを狭く解釈する傾向にあるにも関わらず、その様な傾向に配慮して明細書が作成されていない点や明細書を陪審員、裁判官に分かり易く記述する配慮が欠けている点などの多くの問題点が浮かびあがった。

 こうした問題点を解決するために、米国明細書の諸項目に記載すべき内容のガイド、および日本原明細書を米国向けに作成する際のチェックリストも併せて作成した。

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11. 企業における戦略的な知的財産の取得・管理の指針に関する調査研究

 近年のグローバルな市場環境においては、企業自らが、知的財産を自社の競争力の源泉として経営戦略の中に位置づけ、それを事業活動に組み入れることが必要とされている。そして、この様な経営により、企業は競争力を高め、収益性と企業価値の最大化を図ることができると考えられる。一方、我が国では、企業の経営者層が事業戦略、研究開発戦略及び知的財産戦略を三位一体として構築し、戦略的に知的財産の取得・管理を行っている企業は少ないのではないかとの懸念がある。

 本調査研究では、「知的財産戦略大綱」で求められている、各企業における知的財産のグローバルな戦略的取得管理を行うためのプログラム策定に当たっての「参考となるべき指針」の策定に資する資料を得るために、日米欧企業の米国における特許登録状況の比較や日本企業の日本特許登録件数と収益性との関係に関する定量的な検討を行い、実態を踏まえながら戦略的な知的財産の取得・管理の在り方について分析・検討を行った。

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12. 今後の特許微生物寄託事業の在り方に関する調査研究

 微生物関連発明の特許出願にあたっては、明細書における開示要件の充足及び第三者による微生物材料へのアクセス確保のため、原則として、特許庁長官の指定する機関への微生物の寄託が法令上義務付けられている。一方、近年のバイオ産業の発展に伴い、特許微生物寄託事業については、時代環境の変化に伴う制度的な不整合も一部指摘され、制度面・運用面からの環境整備が必要となっている。

 本調査研究では、微生物寄託事業を利用している国内企業へのヒアリング調査、国際寄託当局へのアンケート調査等を行い、ユーザーの寄託事業に対するニーズ調査や欧米諸国における寄託制度との相違を踏まえ、我が国における今後の特許微生物寄託事業の在り方について調査研究を行った。

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【特許庁委託産業財産権研究推進事業】

13. 商標保護制度の拡張
フランク・ゴッツェン
(財)知的財産研究所 平成14年度招聘研究員
ルーヴァン大学教授 知的財産権センター所長

 商標ハーモ指令と共同体商標規則に基礎を置く欧州の商標保護制度は、2つの点で広い保護を提供するものといえる。第一は、商標保護を得るための要件がそう厳しくはないこと。これは商標の登録や有効性評価のための要件(識別力など)に関する判例が比較的リベラルなアプローチを取っている点にも見ることができる。また形状、色彩、音、匂いの商標登録に向けた大きな可能性が認められている点にも示されている。第二は、非類似の商品又は役務に関しても侵害の認定が可能とされていることである。

 本報告書においては、これらの問題に関する欧州初審裁判所及び欧州裁判所の最近の判例を日本の商標法と比較する形で検討した。かかる比較もまた欧州の商標保護制度がリベラルなものであることを示している。例えば、非伝統的な標章の商標登録を(少なくとも原則的には)認めようとする傾向及び保護の対象を非類似の商品及び役務にも拡大しようとする傾向が欧州には存在する。

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14. 立体商標の保護
ジーグリッド・アッシェンフェルト
(財)知的財産研究所 平成14年度招聘研究員
弁護士 マックスプランク研究所(ミュンヘン)博士課程

 立体標章、すなわち「物品の形状及び包装」も商標登録が可能とされたことにより、伝統的な商標の概念(すなわち、商標とは名称やロゴであるとの考え方)が変わる可能性がある。欧州においては、欧州各国の商標法改正をもたらした商標ハーモ指令の発行からすでに12年が経ち、さらに1995年には共同体商標規則も定められた。一方、日本でも立体商標を導入する商標法改正が行われてから6年が経過している。そこで本報告書では、物品の形状や包装からなる標章の取り扱いに関する日欧の実務を紹介し、形状の有する二面性(機能的な特徴又は審美的な装飾の体現物としての機能と出所表示機能)に由来する問題を検討し、立体商標の登録に関する日本の特許庁の実務と欧州裁判所及びOHIM(共同体商標意匠庁)のアプローチを比較した。欧州では、立体形状が商標として認められるかどうかに関する判断の重点は「固有の識別性」と「機能的必要」に置かれているが、後者に関してはさらにドイツ連邦最高裁と欧州裁判所との間でアプローチの違いがあることも確認された。立体商標に関する制度は現在なお構築が進められている最中であるが、現時点では、日本と比べ欧州の方が物品の形状及び包装に関してよりリベラルな見解を有しているといえるだろう(特にボトルの形状に関して)。

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15. 日越における知的財産権エンフォースメントの主要な側面について -TRIPSエンフォースメント基準に関する比較研究-
ファン・ヴィエット・ズン
(財)知的財産研究所 平成14年度招聘研究員
弁護士 TRAN H. N. & ASSOCIATES所属 ドレスデン大学博士課程

 知的所有権の貿易関連の側面に関する協定(TRIPS協定)の有する意義は、知的財産権問題と貿易問題をリンクさせた最初の国際協定であるというだけにとどまらない。さらにTRIPS協定は、エンフォースメントに関する規定を設けることにより、知的財産権に関する国際条約の新たな局面を切り開いたともいえるだろう。

 本報告書では、TRIPS協定に規定されたエンフォースメント基準(エンフォースメントの原則、民事上及び行政上の手続、暫定措置、国境措置及び刑事的制裁)、その現状と問題点、課題に注目した分析を行った。そのための例として、本報告書では、日本とベトナムにおけるTRIPSのエンフォースメント関連規定の履行状況を検討した。また、知的財産権のエンフォースメントに係る問題はウルグアイラウンド交渉中に先進国と開発途上国の間で最も激しく議論が交された問題であることから、TRIPS協定によるエンフォースメント基準の引き上げがベトナムを初めとする開発途上国の開発と厚生にどのような影響を与えるかについても検討を行った。

 最後に、本報告書は、TRIPS協定の締結により開発途上国の状況に大きな変化がもたらされたことを指摘している。開発途上国における課題は、「知的財産権のエンフォースメントのための制度を導入するかどうか」から「自国の開発ニーズに沿った形でTRIPSの基準を履行するための最善の方策を見出すにはどうすればいいか」へとシフトしているのである。

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16. 知的財産権に係る司法保護に関する比較研究 -中国と日本の知的財産権裁判に焦点をあてて-
羅東川
(財)知的財産研究所 平成14年度招聘研究員
中国最高人民法院民事裁判第三法廷(知的財産権)副廷長、高級裁判官

 世界貿易機関(WTO)への加盟に伴い、中国は、知的財産権に係る司法保護において、新たな試練に直面している。近年、中国では、「科教興国」戦略を打ち出すとともに、司法改革に積極的に取り組んできた。一方、日本も司法改革を推し進めており、また、2002年には、『知的財産戦略大綱』や、『知的財産基本法』を制定した。

 このような日中両国の新たな動向の中で、司法制度および知的財産権保護の問題が、かつてない程に重要視されている。これは知的財産権に係る司法的保護を巡る新たな背景を構成するものといえる。

 かかる経緯を踏まえて、日中両国の知的財産権における司法保護制度についての比較研究を行うことは、特に重要な意義が認められる。なぜならば、両国の知的財産権の司法保護と司法改革に関する様々な試みには互いに学びあえる点が多いからである。

 本稿は、新たな時代における新たなニーズにあった司法制度とエンフォースメントの在り方を模索する目的の下、知的財産権に関係して、日中両国が提示している司法制度と司法的救済についての比較研究を行ったものである。

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17. 米国における機能的クレームの解釈について
大野 敬史
(財)知的財産研究所 平成14年度短期派遣研究員

 特許権の保護範囲を画定する上で、クレームを如何に解釈するかは重要な主題である。 機能的クレームとは、クレームが機能的表現により記載されたクレームであるが、機能に特徴がある発明、あるいは機能を実現する手段の単語が確立されていない技術分野において利便性があり、多く利用されている。一方で、機能的クレームは、文言上、機能を実現する手段を全て含んでしまい、その保護範囲が曖昧で広すぎるという問題が指摘される。米国では特許法112条6項で、機能の組み合わせによるクレーム記載を認める一方で、その保護範囲を制限的に解釈すると定められており、多くの判例においてその解釈のあり方が検討されている。

 本研究では、米国における機能的クレームの解釈に関する歴史的背景を踏まえて、特にその保護範囲に関する近年の判決を分析し、加えて我が国における保護と若干の比較考察を行った。

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18. インターネットを通じた電子商取引等の健全な発展を促すための知的財産権法制度のあり方
木村 貴志
(財)知的財産研究所 平成14年度短期派遣研究員

 急速な発展を続けているインターネットは、近年、電子商取引の分野においても著しい。一例として、インターネット経由で書籍やコンサート・チケットを注文する際に注文主が自己のクレジット・カード情報を提供し、それを決済手段として後日注文した書籍やチケット(有体物)が注文主に届けられる、また、インターネット経由で電子書籍や音楽等のディジタル・コンテンツ、パソコン用ソフトを注文主のパソコンに直接ダウンロード配信する、等が挙げられる。

 本報告書では、こうした状況下、事業者間及び対消費者取引において生じている商標上・著作権上・不正競争行為上の問題点を再度整理し、現状の法制度で何処まで対処し得るのか、また、対処し得ない場合にはどのような法制度が望ましいのかを論じる。

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19. WTOのTRIPs協定における医薬品関連発明保護制度の漸進的発展 -特許権を中心に-
加藤 暁子
(財)知的財産研究所 平成14年度特別研究員

 本研究は、WTOのTRIPs協定が医薬品関連発明の特許権による保護に関して形成しつつある国際的な保護の枠組みを、国際法の解釈という視点から検討している。TRIPs協定はWTO協定の附属書をなし、その解釈には国際公法上の解釈に関する慣習的規則が適用される。そのため冒頭では、TRIPs協定に適用される解釈規則を明らかにしている。続いて、医薬品関連発明の特許権による保護の関連規定とその解釈を整理した上で、事例検討を行いその動態的な把握を試みる。TRIPs協定の解釈は、WTOの紛争解決手続に申し立てられた国家間紛争、及び、TRIPs理事会における議論、その中でも医薬品へのアクセスが困難な途上国に関する議論を通じて明確化されるという意味で、漸進的発展の過程にある。その検討を通じて、WTO加盟国が、特許権による医薬品関連発明の保護と発明の利用の社会的な必要性とのバランシングを、TRIPs協定という国際的平面において進めている事実及びそのような視点の必要性を、明らかにしている。本稿は、新たな時代における新たなニーズにあった司法制度とエンフォースメントの在り方を模索する目的の下、知的財産権に関係して、日中両国が提示している司法制度と司法的救済についての比較研究を行ったものである。

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20. 知的財産権に関する訴訟と主権免除 -知的財産権侵害行為に対する管轄権行使の国際法上の限界-
松井 章浩
(財)知的財産研究所 平成14年度特別研究員

 主権免除とは、国際法上、国が他国の管轄権から免除されることである。国に限らず、国営企業などが免除を主張することもある。この主権免除については、国の「商業的」な行為に免除を否定する点で学説は一致しているが、知的財産権侵害行為について免除が否定されるかどうかは明らかでない。確かに、ライセンス契約の違反は商業的と判断されるであろうが、知的財産権侵害行為は契約違反にのみ起因するわけではないからである。

 本稿では、商業的かどうかという基準で免除決定する場合には、知的財産権侵害行為でも免除が認められる可能性があることを実証的に示すと同時に、知的財産権侵害行為には免除を否定する旨を規定する条約や国内法の制定過程を分析し、そうした規定の存在理由を明らかにした。また、この主権免除の問題と、国際的な知的財産権侵害行為に対してどの国が管轄権を行使するかという問題との関係も考察した。

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【経済産業省調査研究】

21. 特許・技術情報のディスクロージャーについて

 本調査研究では、「知的財産戦略大綱」で求められている、知的財産に関する情報開示の指針を策定するために、基礎資料として、ディスクロージャー項目の検討、米国及び日本のベストプラクティスの調査・分析を行った。また、技術情報の自主開示を推奨し、企業内部における知的財産戦略の確保と、市場における投資判断のひとつの材料を提供する知財報告書のパイロットモデルも作成した。

 このような情報開示により、投資家は、過去の業績のみに依存して企業を判断するのではなく、将来の業績予想を測り、株価の適正化を図ることができると考えられる。

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