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平成15年度調査研究の概要

 

【特許庁産業財産権制度問題調査研究】

1. 産業財産権分野の制度(商標制度)改正に係る調査研究

 産業財産権制度の改革が進む中で商標制度についても、より価値の高い製品・サービスを提供する環境を整備するため、2005年度までに制度の在り方を含めて検討を行うことがいわゆる「知的財産推進計画」において述べられている。

 近年、欧州共同体商標に代表されるように、国際的にも商標制度に関する動きが活発になっている中で、我が国の商標制度についても抜本的な改正を視野に入れた検討を行う時期を迎えている。

 本調査研究は、我が国商標制度の検討にあたり、主な論点について課題を整理し、研究を行ったものである。

 具体的には、欧州の商標制度において採用されている、商標出願の審査にあたり先の登録商標等に関しては異議申立を待って審査を行う制度を我が国で採用した場合の問題点、「類似」及び「混同を生ずるおそれ」の概念についての我が国や欧米における取り扱い及びそれらの概念に関する我が国における審査の在り方等について検討を行った。

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2. デザインの戦略的活用に即した意匠制度の在り方に関する調査研究報告書

 知的財産戦略大綱において、魅力あるデザインを活用し、より価値の高い製品を提供する環境を整備するための具体的方策について検討することが求められている。また、いわゆる知的財産推進計画においても、「ネットワーク上で利用される操作画面(アイコン等)のデザイン等、新たな保護対象についても広く検討を行い、2003年度中に結論を得る」ことが決定されている。こうしたことから、現在の意匠制度のあり方が、デザイン活動の実情に適った戦略的活用に即したものとなっているのか、早急に見直しを行う必要がある。

 このような背景の下、本調査研究では、委員会を構成し、1.画面デザインの保護(法上の意匠の対象を拡大し画面デザインを保護すべきか否か、保護の内容・方法、制度設計の方向性等)、2.意匠権の効力範囲の拡大(現在の意匠権の効力範囲は適正か、いかなる範囲まで効力を認めたらよいのか等)、3.その他の課題、について広く議論を行った。

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3. 特許統計データの経済学的分析に関する調査研究

 近年、経済のグローバル化により知的財産権が産業に及ぼす影響は益々増大しており、今後、適切な知的財産政策の立案のためには、知的財産権についての基礎データを整備し、産業への影響を検討するとともに、知的財産権が産業界等に及ぼす経済的・経営的効果等についても十分に検討していく必要がある。

 特許庁では平成14年度に知的財産政策の企画立案の基礎となる知的財産活動調査を開始し、分析のための基礎データが、現在整備されつつある。

 そこで、本報告書では、政策の指針作成に資することを目的として、知的財産活動調査結果を含む特許統計データを活用し、知的財産権とマクロ経済又は企業経営との関連性や産業への影響等について経済学的な分析を行った。また、特許統計データと経済データとを関連づけるための対応表(コンコーダンス)に関し調査研究を行い、また、知的財産活動調査について、その調査結果を踏まえ、調査項目等についての検討を行うとともに、記入者の負担軽減を視野に入れた見直しを行った。

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4. 主要国における用途発明の審査・運用に関する調査研究

 プロダクト・バイ・ユース・クレームやユース・クレームに代表される用途発明に関する特殊クレームの解釈・運用は主要特許庁で一致していない。特に我が国では、公知の化合物や組成物に対する用途発明に多様なクレーム形式が認められ、産業分野ごとに特有の多くの問題を抱えている。そこで、用途発明のクレーム形式、特許要件、裁判例、権利範囲について整理し、米国及び欧州における海外調査結果と比較した上で、用途発明のニーズの高い産業分野ごとにその審査・運用に関する問題点を抽出した。医薬分野における特殊用途クレーム問題、薬理メカニズムや薬理データの記載要件問題、化粧品分野における審査の特殊性、化学分野における用途限定記載に関する問題、合金分野における性質で物を特定したクレームや権利の重複化問題等があり、その解決策について検討した。国際的な調和に向けて、我が国の用途発明の審査・運用のあり方についても課題と提言を行った。

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5. 日本企業の欧米における戦略的特許取得に関する調査研究(2)

 我が国企業が欧米で権利を活用できる特許を取得するための方策の一つとして、米国出願を欧州出願に変換する手法について検討した。昨年度の調査研究で、米国出願の強化策を提案したが、改善された米国出願を基に欧州出願を行う方法の提案である。

 本調査研究では、日本企業が出願した欧州特許30件を分析し、クレームや明細書の記載の問題点をまとめた。米国出願時の留意点と比較し欧州特有の問題を抽出し、解決策を検討した。-カテゴリー・-独立クレームの原則等の問題を掘り下げた。

 また、米国出願時の留意事項をドイツ、英国の法廷弁護士に送り、権利行使の観点から欧州出願の留意点として付加すべき項目を確認した。

 これらを基に、日本、米国そして欧州に出願するための明細書のチェックリストをまとめた。また、更にこれらを実施するための海外代理人の有効活用策をまとめた。

 以上の成果を基に日本出願をベースに、日米欧三極で権利を有効に主張できる特許明細書作成手法を提案した。

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6. 今後の実用新案制度の在り方に関する調査研究

 実用新案制度は、産業政策上、特に小発明を積極的に保護奨励することが必要であるという趣旨から、特許制度を補完する制度として設けられた。

 しかし、改善多項制の導入や、形式的な審査のみによる権利付与等の制度改正を経て、実用新案の出願件数は減少を続けており、一方、特許出願数は、近年急増傾向が見られる。

 知的財産権の早期保護が求められ、制度の利用目的が多様化している中、ユーザーのニーズに更に応える実用新案制度の在り方を再検討する必要が指摘されている。

 本調査研究は、これらの状況を踏まえ、実用新案制度の在り方の検討に資するための基礎調査として、保護対象、保護期間、補正・訂正、特許制度との関係等を中心に、ドイツ、フランス、欧州連合、韓国、及び中国における実用新案制度を調査し、また、日本のユーザーを対象として、実用新案制度の利用・活用状況、問題意識、今後の制度設計に対する考え等を把握すべくアンケート調査を実施した。

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7. 国際私法上の知的財産権をめぐる諸問題に関する調査研究

 現在、国境を越えた知的財産紛争はますます増加すると予想されるのに対し、国際裁判管轄及び準拠法、外国判決の承認・執行に関する世界的なルールは確立していない。このため、知的財産権に係る取引における予見性が確保されていないという問題が指摘されており、知財戦略大綱でも課題に挙げている。我が国では、カードリーダー事件により外国特許侵害に関する日本での審理可能性及び準拠法に対し一定の判断が示されたが、一般的ルールは未確立である。国際的には、ハーグ国際私法会議での「民事及び商事に関する国際裁判管轄及び外国判決に関する条約」の交渉過程において、知的財産関連訴訟も含めた民事訴訟に係る国際ルールの策定が検討されている。

 本調査研究では、日欧米主要国における最新の国際裁判管轄及び準拠法に関する判例・学説を検討すると共に、ハーグ条約に対する我が国の対応策を検討している。また、国際私法的観点からこれまで十分に検討されていない、職務発明に係る外国特許の準拠法の問題やアジア諸国におけるルールの動向について検討している。

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8. 知的財産に関するライセンス契約の適切な保護の調査研究

 日本における景気動向は明るい兆しが見えはじめたものの、中小企業をはじめ、上場企業の企業倒産は今も見受けられる。この環境下、企業における知的財産に係るライセンスの役割は、ますます重要になってきている。

 そこで、本調査研究においては、知的財産のライセンス契約を締結後、事業を継続中のライセンシーが、ライセンサーの破産に直面した場合、及び当該知的財産が第三者へ譲渡された場合におけるライセンシーの法的保護についての具体的な方策案についての検討を行った。本報告書は、現行の日本の法制度を尊重しつつ、産業界における実態や要望を把握しながら、多方面にわたって討議を行った結果を取りまとめたものである。

 今後は、個々の方策案についての更なる検討がなされ、将来の政策立案にあたっての基礎となることが期待される。

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9. 知的財産の信託制度導入に係る実務的諸問題の調査研究

 グループ企業やTLOでの知的財産権の一括管理の方策として、また他方知的財産を基礎とした資金調達及び知的財産の流動化スキームとして、信託制度の有用性が着目されてきた。一方、信託業法上で知的財産は受託可能財産でなかったところ、知的財産を受託可能財産とするなどの信託業法改正の方向性が明確になった。

 本調査研究では、知財信託業の実現が現実化してきたことを受けて、平成14年度の「知的財産権の信託活用に係る法的諸問題の検討に関する調査研究」に引き続いて信託を取り上げ、知財信託業の導入に際しての実務的諸問題を検討した。具体的には、個々の知的財産の受託財産性及び信託の成立・対抗要件、ライセンス契約及び収益配分を中心とした受託者義務、信託財産に係る紛争処理、並びに知財信託の会計上及び税務上の取扱いの各論点について論じ、更にモデル契約書案を含む知財信託実務マニュアルの作成指針を取りまとめた。

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10. 知的財産の円滑な利用に係る諸問題に関する調査研究-「試験又は研究」の例外等について-

 汎用性が高く代替性の低い上流技術に関する回避困難な特許発明において、ライセンスの拒絶や高額なロイヤリティの要求等が原因で円滑な利用ができない場合、後続又は下流領域の研究開発に大きな影響を及ぼす可能性がある。本調査研究では、「知的財産推進計画」で求められている知的財産の円滑な利用の促進を検討するための基礎資料として、ライフサイエンス分野におけるリサーチツール特許に代表される回避困難な特許発明に関して、その円滑な使用に向けた様々な対応の可能性について検討した。特許法第69条1項の適用可能性については、「試験又は研究」の範囲を明確にする必要はあるが、業としての試験・研究行為に対して、これらの特許の効力が及ぶ可能性が高いと考えられた。そこで、これらの特許発明の円滑な使用に向けて、裁定制度による対応可能性、独占禁止法による対応可能性、ライセンスガイドラインの制定、パテント・プールの可能性等について検討した。

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【特許庁委託産業財産権研究推進事業】

11. 技術標準化、パテントプール、そして競争政策
金 正勲
(財)知的財産研究所 平成15年度招聘研究員
米インディアナ大学テレコミュニケーション学部講師ソーシャル・インフォーマティクス・センター研究員

 一つの製品生産に複数の投入物が必要である結合生産が、財生産の一般的形態である場合、必須投入物の確保が財生産において必要条件となる。ただ、必須投入物が複数であり、それらが財産権化され、さらに異なる事業者によって分散所有されている場合、財生産を行う事業者は当該財産権者とライセンス契約を結ぶ必要が生じる。しかし、そこには高額な取引費用の発生や、ライセンス拒否等によって財の生産自体が中止される可能性があり、それはいわゆる「アンチコモンズの悲劇」を招く原因となる。これは、技術標準化と知的財産権が組み合わされた時に、特に深刻な問題を発生させる。その解決策として近年注目されているのが、パテントプールである。ただ、技術標準化も、パテントプールも潜在的に競争政策問題を発生させるのも又、事実である。本研究では、この「技術標準化、パテントプール、そして競争政策」の関係について様々な角度から考察を行った。

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12. 製薬業界におけるデータ保護 ~日本とカナダの比較研究
ビシュワ・ラムラル
(財)知的財産研究所 平成15年度招聘研究員
オックスフォード大学 知的財産研究センター アソシエート 弁護士

 規制当局に提出されたデータの保護(RDP)は、それが有する経済的意味の大きさから、知的財産権保護における重要な分野として脚光を浴びつつある。提出データ保護の問題は、知的財産権保護に関する主要な国際協定においても取り扱われているが、しかしそれがどのように実施されているかは国によって様々に異なっている。日本とカナダはともに提出データに対する保護を与えているが、しかし保護の実効性及びレベルは両国の間で相当に異なるものともなっている。本稿は、日加両国に関して、提出データ保護の強化を求める国内外からの強い圧力の結果として生じつつある変化がどのような影響をもたらしうるかについての検討を行うことにより、予想的な役割も果たしうるものになっているということができるだろう。

 カナダでは、TRIPS協定よりもさらに詳細な内容を有する北米自由貿易地域協定のRDP規定を限定的な形で解釈する方針が取られており、カナダの連邦控訴裁判所もそれを是認している。かかる方針は、カナダの裁判所と政府の両方が保健分野において一貫して達成しようとしてきた利益バランス(後発医薬品産業が有する強い立場とそれに対する新薬企業側の激しい批判から生じた利益バランス)に沿ったものともいえるだろう。

 一方、日本においては、製造承認後における再審査制度という複雑な形態を通じて、強い提出データ保護と市場独占とが新薬企業に対し与えられている。日本では、後発医薬品産業があまり発達していないことや政府が知的財産権強化の方針を重点課題として推進してきた結果として、現在、提出データ保護の強化に向けた検討が行われている。日本における新薬メーカーと後発医薬メーカーの力関係及び後発医薬品メーカーに対する一般的な見方を考えるなら、保護の強化はある意味で「既定路線」化しているということもできるだろう。

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13. 日本における特許無効手続の比較法的評価
ジェイ・P・ケーサン
(財)知的財産研究所 平成15年度招聘研究員
イリノイ大学 ロースクール 知的財産権・技術法プログラム教授

 特許庁と地裁の両方で特許無効を訴えることを可能とするダブルルートの無効手続を導入した後における日本の経験は、両者の無効制度が補完的に機能し、結果として第三者による無効主張の対象となる特許数を拡大するのに役立っていることを示している。この2つの無効手続の間にある本稿に示したような相違点の存在は、大多数の事件においては特許庁と地裁の両方における無効主張がなされているとしても、特許庁と地裁の両方における無効主張を可能とする特許制度を維持(又は創設)すべき経済的、制度的な理由が存在することを示しているといえるだろう。

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14. エッセンシャル・ファシリティとしての遺伝子 -ブロック・ミー・ノット-
シャムナッド・バシール
(財)知的財産研究所 平成15年度招聘研究員
オックスフォード大学 博士課程 オックスフォード知的財産研究センター アソシエート

 疾病遺伝子特許は重大かつ微妙な分野である。この分野に関してどのような政策を取って行くべきかは非常に注意深く検討されなければならない。この分野に関しては、遺伝子への特許付与がバイオ医薬品研究を「ブロック」するものになるかもしれないとの懸念が多くの者により指摘されているが、それによるブロッキング効果を解決するための方法を考えるよりも、まず最初にこの分野において本当に「ブロッキング」が生じているかを検討してみる必要があるだろう。

 本稿には、反トラスト法上の方法論であるエッセンシャル・ファシリティ理論がブロッキング問題を検討するための適切な枠組みになりうることが示されている。遺伝子特許へのアクセス拒絶に関わる個々の事例に対してエッセンシャル・ファシリティ理論を適用することにより、この分野におけるブロッキングの有無及び程度を知ることが可能になる。それにより得られた結果は、何らかの大幅な法改正や制度改正による対処が必要なほどに幅広いブロッキング効果が存在するかどうかを検討するためにも使用することができるだろう。

 さらに本稿では、エッセンシャル・ファシリティ理論を構成する要素の中でも特に「エッセンシャリティ(不可欠性)」の問題に注目した。「エッセンシャリティ」に関する検討は、多くの場合において、ブロッキングの有無を判断するのに役立つものである。問題の施設が不可欠なものでないときにはブロッキングは存在しないと考えることができるからだ。ただし、その逆は必ずしも真ではない。たとえそれが不可欠なものであっても、それに関するライセンスが広く提供されているときには、ブロッキングが存在しない可能性が強いからである。

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15. 21世紀の日本における知財教育のあり方 -その現状と米国から学ぶべき教訓-
イルヒュン・リー
(財)知的財産研究所 平成15年度招聘研究員
ミズーリ大学コロンビア校紛争解決研究センター助教授兼上級研究員 JD、イギリス仲裁人協会会員

 本稿は、米国のロースクールにおいて知的財産権法を教える外国人としての目から、日本の知的財産権法教育のあり方を検討するものである。現在の日本政府が知的財産権保護を国家戦略における重点施策として位置付けていることや日本版ロースクールである「法科大学院」がちょうど新設されたばかりであることを考えれば、本稿のテーマはタイムリーなものともいえるだろう。本稿では、まず法科大学院制度導入前の時期における日本の高等教育機関における知財教育の状況を説明した上で、日本の知財教育の様々な側面に関して外国人の視点から見た日本の見解を述べる。それに続く部分では、米国のロースクールにおいて採用されている知財教育カリキュラムについて簡単に説明し、さらに米国で広く議論されている問題の中で日本の法学教育者や管理関係者が関心を持つであろうトピックに注目する。かかる検討においては、日米における知財教育がそれぞれの国の社会的文化をどの程度まで反映したものであるかの点に留意することも必要だろう。本稿は、米国における進んだ知財カリキュラムを参考にしつつも同時に日本独自の必要に適した知財教育制度の開発を進めていくことを目的としたさらなる議論を行うよう日本の知財教育関係者に求めるものでもある。

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16. 特許権の客体論
島並 良
(財)知的財産研究所 長期在外研究員
神戸大学大学院法学研究科

 本研究では、特許権の客体に関し、機能、原理、倫理という三つの視点から分析した。まず第一章では、特許権の客体画定作業において各要件が果たす機能に着目し、特許権の客体は単に技術的観点からだけではなく政策・経済・倫理といったさまざまな観点から決せられており、またそうあるべきであるということを、特に客体画定にあたって重要な役割を担う当業者概念に焦点をあてて論じた。続く第二章では、特許法の原理的正当化根拠に着目し、従来からある発明促進だけではなく、発明利用促進という視点をも加味する必要があることを主張し、その結果、発明と発見の二分論などの特許権の客体に関わる緒論点についても新たな展望が導かれることを明らかにした。さらに第三章では、とりわけ生命工学の進展と共に特許法がより先鋭的に直面するようになった倫理的側面に着目し、特許客体が公序や倫理の観点からどのように枠づけられるのかについて検討を加えた。

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17. 欧州特許法からみたわが国特許法制の現代的課題
特許法における複数主体による侵害形態の意義と機能-間接侵害規定を中心として-
潮海 久雄
(財)知的財産研究所 長期在外研究員
香川大学法学部

 近年の知的財産権法における間接侵害規定を中心とした複数主体の侵害形態に関する規整は、至る所で侵害が生じうる情報に対する不法行為を、直接侵害行為の前段階で差止める傾向、ひいては間接侵害規定の直接侵害化の現象が見られる。わが国平成14年改正におけるコンピュータ・プログラムにみられる特許権の保護対象と実施行為の立法による拡大は、従来間接侵害規定でのみ規整していたものを端的に直接侵害とした。また、試験・研究における間接侵害規定、医療方法の特許の侵害、共同直接侵害、技術的保護手段の回避装置の譲渡禁止にもこの傾向が見られる。

 その反面、複数主体の侵害形態に関する規整は競争政策と密接不可分である。特許製品の部品に関する消尽の問題、欧州特許条約における教唆の規定、他用途のある部材の差止め・廃棄請求に関する過剰執行の防止、主観的要件の問題(わが国特許法101条2号、4号、共同直接侵害)にこのような配慮がなされている。

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18. 米国における判例法上の試験免責とボーラー条項に関する判決の展開
増岡 国久
(財)知的財産研究所 平成15年度短期派遣研究員

 一般的に医薬品・バイオ分野においては、1つの製品(医薬品)の開発に成功するまでに長年にわたり様々な試験・研究行為が行われる。そして、この分野では大学などのアカデミアが果たす貢献度も高く、近年では、企業との共同、企業からの委託という形で研究が遂行される場合が普通になっている。したがって、特に在外の米国特許権者は、自己の特許発明が米国内において権原のない者に試験研究と称して使用された場合、それが特許権侵害に該当するのかを判断する上で、自国と米国のプラクティスにはどのような差異があるのかを十分整理し、把握することが重要である。

 本稿では、最初に、米国における判例法上の試験免責に関する最近の判決とその論点を検討した。次に、ボーラー条項の適用に関連する判決の展開を下級審の判決も含めて検討した。続いて、整理・分析した判決をもとに、米国に比べてかなり広い行為態様に試験免責が適用されると理解されている日本、欧州主要国の学説・判例との比較を行い、最後に、米国において、より広範な行為態様を包含しうる試験免責規定を立法化する場合の問題点と著作権のフェアユースとの関係について検討を試みた。

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19. 情報開示義務の判断基準について
三澤 達也
(財)知的財産研究所 平成15年度短期派遣研究員

 米国の特許実務では、出願する者は、PTOに対し、「審査に重大で有ると、自らが認識する情報を開示すると共に、事実の不実表示または変造を行わない義務」即ち、誠実義務を課している。開示対象は以下のように先行技術に限っておらず、その義務に対する違反は、不公正行為として、権利行使不能とされる。日本の特許出願人にとって、情報開示義務制度は、米国知財裁判の判例予測性の不透明さと相まって、その取扱に関しては、神経質に成らざるを得ないのが現状である。

 この米国情報開示義務における「重要性」と「誤導の意図」の判断について、開示すべき情報とクレームとの近接性、累積的な先行技術、間接証拠、開示すべき情報の認知、錯誤、および非英語文献の開示等の裁判所の判断基準について判例の傾向を鑑み、考察を行った。

 また米国の情報開示義務制度に類似する日本の先行文献開示制度との比較も行い、両国の制度のあり方についても、考察を加えた。

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20. 資産流動化対象資産としての知的財産
渡辺 宏之
(財)知的財産研究所 平成15年度特別研究員

 「知的財産権」の流動化には種々の困難が存在するため、その可能性は非常に限定される。海外で行われた知的財産関連の流動化案件を調べてみても、それらの実態はいずれも「ロイヤルティ債権」の流動化といえるものである。また、わが国における若干の知財関連の流動化案件も、形式的には知的財産権がSPVに譲渡された形をとってはいても、実態はロイヤルティ債権を引当てとして流動化が行われたものと考えられる。一方で、知的財産権を対象としたベンチャー企業への投資スキームとして適格と思われるものは、有限責任投資組合である。最近の改正により、有責組合による信託受益権の取得が認められたことも、有責組合による知的財産権への投資の幅を広げるものである。しかしながら、このスキームを十全に機能させるためには、業としての「知的財産権の信託」が可能になるように、法整備が早期に行われることが望ましい。

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21. 一般指定15項及び16項の生い立ちと不公正な取引方法規制の基本原理
大久保 直樹
(財)知的財産研究所 平成15年度特別研究員

 契約の成立の阻止といった取引妨害行為や秘密の漏えいの働きかけなどの内部干渉行為は、独占禁止法において不公正な取引方法として禁止されている(一般指定15項および16項)。これらの行為類型については、競争者間の私的紛争を惹起するにすぎず、本来は不正競争防止法などによって規制されるべきものだ、といった認識がしめされることが少なくない。ではそもそもどうしてこれらを規制する条項が独占禁止法にもうけられたのか、という疑問は、これまで解明されてこなかった。そこで、本研究は、この疑問を念頭において、母法であるアメリカ連邦取引委員会法5条について歴史研究を行った。このような研究を行うことは、不公正な取引方法規制の基本原理についても示唆をもたらすものであった。

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22. 遺伝子・タンパク質特許の現状とイノベーションから見たその保護の在り方
西 剛志
(財)知的財産研究所 平成15年度特別研究員

 これまでバイオテクノロジー関連特許の権利範囲は一般的に広く高い技術の蓄積性が示唆されていたが、遺伝子・タンパク質特許が具体的にどのような点で権利範囲が広く、それが何に起因しているかはこれまで明確にされていない。そこで本研究では、1996年から2003年までに日本特許庁に登録された遺伝子・タンパク質特許約600件についてクレーム解析を行い、問題点の分析を行った。また、現在の遺伝子・タンパク質特許が学術界・産業界におけるライフサイエンス研究にどのような影響を及ぼしているかを考察するため、遺伝子・タンパク質の性質から派生する発明の特徴とライフサイエンス研究の構造を分析し、イノベーションを促進する適切な知的財産保護の在り方と社会システムについて考察と提言を行った。

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【経済産業省調査研究】

23. 平成15年度我が国経済構造に関する競争政策的観点からの調査研究
特許・技術情報の開示に関する研究会

 近年の知的財産重視の政策の中で、企業には知的財産を競争力の源泉として、事業戦略・研究開発戦略・知的財産戦略が三位一体となった「知財経営」に取り組むことが求められ、市場関係者には「知財経営」を実践している企業の企業価値及び将来の成長性を適切に評価することが期待されている。このため、企業と市場の双方にとって有益な情報開示方法を明らかにすることで、知財情報開示を促進し、両者の知的財産に関するコミュニケーションを高めていく必要があった。
本調査研究では、平成15年3月に公表された「特許・技術情報の開示パイロットモデル」の企業による試行結果をベースに、機関投資家へのアンケート調査結果を交えながら、企業側・市場側のそれぞれの視点から知的財産情報開示の在り方について検討を加え、その議論を集約する形で、「知的財産推進計画」で求められた「知的財産情報開示指針」(案)を策定した。

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24. 平成15年度我が国経済構造に関する競争政策的観点からの調査研究
-知的財産侵害訴訟における損害賠償額の算定についての判例に関する調査研究-

 わが国の知的財産権の侵害を根拠とする損害賠償請求訴訟においては、損害額の立証が困難であり、また認定される損害額が低額過ぎるとの批判がなされていた。

 かかる批判に対応すべく、近年、損害額の立証の容易化のための新たな規定が特許法等の知的財産権各法に導入されている。例えば平成11年の特許法等産業財産権4法の改正では、被告の侵害行為を組成する物の譲渡数量に原告の単位数量あたりの利益を乗じた額を損害額と推定する等の規定が新設された。また平成12年の著作権法改正、平成15年の不正競争防止法の改正でも同様の規定が盛り込まれた。

 本調査研究は、今後の立法の参考資料とすることを目的として、一連の改正によって、①損害賠償請求訴訟における裁判所の判断は如何に変化したか、②改正された規定は実際にどの程度活用されているか、③知的財産侵害に基づく損害賠償額の認定の最近の傾向、等について把握し、法改正効果等について分析を加えたものである。

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