IIP HOME > IIPの活動について> 調査研究事業> 平成19年度調査研究の概要

平成19年度調査研究の概要

平成19年度の調査研究報告書(CD-ROM版)の入手方法については、こちらをご覧ください。

 

【特許庁産業財産権制度問題調査研究】

1. 意匠登録出願における「特徴記載書」に関する調査研究報告書

 本調査研究は、特徴記載書制度導入後8年が経過した現在において、出願人等による同制度の利用実態及び同制度に対する認識の如何を総合的に調査・分析することにより、同制度の在り方を検討したものである。

 特徴記載書は、出願人が出願係属中に任意で提出することができ、特徴記載書の内容は意匠公報に掲載される一方、登録意匠の範囲を定める基礎とはしないとされているため、「権利範囲」に対しては何ら直接的な影響を与えないものである。

 本調査研究では、アンケート調査やヒアリング調査、意匠公報に掲載された特徴記載書の記載内容の分析を行うとともに、海外において我が国の特徴記載書に類似する側面を有しつつも、異なる様々な側面を有する同様の制度の調査を行った。

 更に、特徴記載書制度の法的な観点からの意義や、知的財産の一つである意匠の創造を促進していく上で、一層有益な制度に発展し得る可能性も検討した。

1万字程度の要約についてはこちらをご覧下さい。(296KB)

要約より詳しい内容については調査研究報告書(CD-ROM版)をご請求下さい。

▲このページの先頭へ 

2. 早期権利取得促進のための審判制度のあり方に関する調査研究

 拒絶査定不服審判の請求件数は、年々増加傾向にあり、審理順番待ち期間の長期化が懸念されている。そこで、審理迅速化・効率化の観点から、制度のあり方について検討することが必要になっている。本調査研究は、現行制度及び運用についてのユーザのニーズ、海外主要国の制度などを調査・整理・分析した上で、早期権利取得促進のために、審判制度のあり方について、今後の方向性を検討した。取り上げたテーマは、拒絶査定不服審判の請求期間の適否、拒絶査定不服審判請求書における「請求の理由」の書き方、前置審査・前置審尋、差戻し、早期審理の活用及び分割・継続出願・継続審査請求の検討である。特に、拒絶査定不服審判の請求期間については、アンケート調査、外国の制度、我が国の他の不服申立制度における手続期間等を踏まえると、現行の30日間では、請求当否の検討期間としては十分ではなく、90日程度に延長することが適切とする意見が多かった。

1万字程度の要約については、こちらをご覧下さい。(264KB)

要約より詳しい内容については調査研究報告書(CD-ROM版)をご請求下さい。

▲このページの先頭へ 

3. 特許の審査実務(記載要件)に関する調査研究-バイオテクノロジー分野の記載要件に関する調査研究-

 近年、明細書等の記載要件に関する注目が高まっている。記載要件に関する様々な議論がある状況にかんがみて、本調査研究は、バイオテクノロジー分野に特化して検討を行う「バイオテクノロジー分野の記載要件に関する調査研究」と、技術分野を限定せずに検討を行う「望ましい明細書に関する調査研究」の2つの小委員会において実施した。バイオテクノロジー分野の記載要件に関する調査研究では、我が国の記載要件の判断と、欧米における判断の異同及びその原因を明らかにすることを目的として、バイオテクノロジー分野の記載要件に関する判決・審決等の調査・検討、アンケート調査及びヒアリング調査等を行った。

1万字程度の要約については、こちらをご覧下さい。(281KB)

要約より詳しい内容については調査研究報告書(CD-ROM版)をご請求下さい。

▲このページの先頭へ 

4. 特許の審査実務(記載要件)に関する調査研究-望ましい明細書に関する調査研究-

 近年、明細書等の記載要件に関する注目が高まっている。記載要件に関する様々な議論がある状況にかんがみて、本調査研究は、バイオテクノロジー分野に特化して検討を行う「バイオテクノロジー分野の記載要件に関する調査研究」と、技術分野を限定せずに検討を行う「望ましい明細書に関する調査研究」の2つの小委員会において実施した。望ましい明細書に関する調査研究では、日米欧の三極いずれにおいても記載要件を満足する、望ましい明細書の作成を支援することを目的として、日米欧における権利取得及び権利行使の観点から、技術分野別に望ましい明細書の事例作成、及び望ましい明細書を作成する際の留意点の検討を行った。

1万字程度の要約については、こちらをご覧下さい。(281KB)

要約より詳しい内容については調査研究報告書(CD-ROM版)をご請求下さい。

▲このページの先頭へ 

5. タイプフェイスの保護のあり方に関する調査研究

 タイプフェイスは、印刷・表示等に用いるため、形状に関するあるコンセプトに従い創作された一揃いの文字等をいう。その創作には一定の労力とコストを要する一方で、タイプフェイスは印刷物等から容易に模倣することができるため、創作者側からタイプフェイスに関する何らかの法的保護のニーズがある。また、我が国の現行知的財産法制度においてタイプフェイスの保護を明文化した規定は無いことから、我が国におけるタイプフェイスの適切な保護のあり方については検討に値する。

 本調査研究では、我が国におけるタイプフェイスの創作・取引の実態とタイプフェイスの模倣等の問題を把握・整理した上で、タイプフェイスに関する問題の現状及びそれら問題に対する具体的な対応策、並びに、知的財産法制度の下での新たな法的保護の必要性について議論を行い、我が国におけるタイプフェイスの保護のあり方について一定の方向性を得るべく検討を行った。

1万字程度の要約については、こちらをご覧下さい。(279KB)

要約より詳しい内容については調査研究報告書(CD-ROM版)をご請求下さい。

▲このページの先頭へ 

6. 国際共同研究における共同発明者・発明地の認定等に関する調査研究報告書

 近年、情報通信技術の進歩により、研究者同士が地理的制限を受けず、共同で研究活動が行われるという状況は、研究開発の効率性を格段に向上させていると考えられる。その一方で、複数の国に所在する研究者が共同で発明を完成させた場合、特許制度の運用という面から、二つの問題が指摘されている。一つは、共同発明者の認定の基準が国によって異なると、権利化手続等が複雑になるおそれがあるという問題である。もう一つは、その発明の発明地はどの国になるのかという問題である。この問題は、外国出願を行う場合に、出願人にいわゆる第1国出願義務などを課している国において、その義務を遵守するうえでの重要な判断事由となる。本調査研究では、我が国を含め7か国における、国際共同研究における共同発明者の認定、発明地の認定に関する制定法・規則、行政機関の審決、ガイドライン、判例、事例又は学説などについて調査を行った。この調査結果を整理、分析し、各国ごとに取りまとめるとともに、国際共同研究を行う日本の研究者向けの留意事項を取りまとめた。

1万字程度の要約については、こちらをご覧下さい。(249KB)

要約より詳しい内容については調査研究報告書(CD-ROM版)をご請求下さい。

▲このページの先頭へ 

7. 新しいタイプの商標に関する調査研究

 我が国企業の商取引の国際展開が急速に進展している状況において、各国における商標制度の実体的調和はますます重要な位置を占めるようになっている。しかしながら、音、香り、動きなどの新しいタイプの商標については、我が国は保護対象としていないが、米国をはじめ、イギリス、ドイツ、フランス、OHIMなどEU諸国、オーストラリアにおいて既に保護対象となっている。こうしたことから、本調査研究では、我が国における新しいタイプの商標の商標法上の保護の在り方について、ニーズ、国際状況、我が国で保護対象とする場合の法的課題等を中心に検討を行った。すなわち、新しいタイプの商標を保護対象とする国が増えつつある中、マドリッド制度への対応などの国際的調和の観点及びタイプ別に見たニーズや諸外国での出願・登録状況などを考慮しつつ、我が国としても保護すべき新しいタイプの商標の在り方を分析しまとめた。

1万字程度の要約については、こちらをご覧下さい。(225KB)

要約より詳しい内容については調査研究報告書(CD-ROM版)をご請求下さい。

▲このページの先頭へ 

8. 著名商標に係る保護の拡大等に関する調査研究

 近年、経済活動のグローバル化や経営の多角化が進む中で、商標、中でも著名商標の財産的価値が損なわれるおそれが高まっている。欧米主要国では、登録商標が広く知られている場合や名声が害される場合には、登録された商品又は役務の範囲に限らずに、商標権侵害としてその保護を図っている。我が国で商標権の禁止的効力の拡大や防護標章登録制度の意義など、商標制度のあり方をさらに検討する必要性が指摘されている。

 このような情勢を背景として、本調査研究は、著名商標の保護拡大について、防護標章登録制度の存在意義を問い直し、登録商標権の禁止的効力を混同が生じるおそれのある非類似の商品又は役務にまで拡大すべきか、また、商標の稀釈化の問題についてどのように対処すべきかという点について、防護標章登録制度を近年廃止あるいは維持している国・地域の法制度等を調査し、我が国との比較考察を行った。さらに、インターネット上の商標問題を取り上げ、欧米諸国の法制度や具体的に商標が問題となった裁判例等を調査し、我が国法制度の在り方について検討を行った。

1万字程度の要約については、こちらをご覧下さい。(276KB)

要約より詳しい内容については調査研究報告書(CD-ROM版)をご請求下さい。

▲このページの先頭へ 

9. 特許審査の出願人等による評価を踏まえた品質監理手法に関する調査研究

 本調査研究では、特許審査を技術横断的、客観的に分析し、その結果を品質監理に活用するための手法の一つとして、出願人・代理人による特許審査の質の評価に焦点を当てた調査を行った。具体的には、①海外特許庁の品質監理施策の現状の調査、②出願人・代理人に調査票による調査の試行、③出願人・代理人に特許審査に対する評価や調査手法に対する意見のヒアリングによる聴取を行った。そして、これらの結果から、「出願人・代理人による評価」を踏まえた品質監理手法の課題を分析し、対応等の検討を行った。その結果、他庁の同様の調査と比較して、今回の試行調査が非常に高い回答率であり、ヒアリングでも調査を歓迎する意見が多かったことから、出願人・代理人からもこのような調査の実施が望まれていると考えられる。以上を踏まえ、本調査研究の分析・検討結果を参考に改善を図りつつ、このような調査を定期的に実施していくことが重要であると考えられる。

1万字程度の要約については、こちらをご覧下さい。(263KB)

要約より詳しい内容については調査研究報告書(CD-ROM版)をご請求下さい。

▲このページの先頭へ 

10. 寄託制度の運用に関する調査研究

 特許微生物寄託制度は、生物関連発明について第三者による実施可能性を担保するためのものであり、ブダペスト条約上の国際寄託当局は、寄託された微生物を少なくとも30年間、加えて最新の分譲から5年間は保管しなければならず、その間、寄託された微生物は分譲可能でなければならない。他方、ユーザーからは、特許出願前に、寄託機関が要求する量のサンプルを準備することが大きな負担であるとの意見もあり、進歩が著しいバイオテクノロジー分野においては、寄託にあたっての負担軽減が求められている。

 本調査研究は、このような検討課題に対し、海外主要国・機関の寄託制度や、海外国際寄託当局の寄託・分譲の実態、及び我が国ユーザー・ニーズの把握を行い、ブダペスト条約の規定との整合性をも踏まえた上で、寄託制度の趣旨を維持しつつ、特許出願時の寄託負担を軽減し得る寄託制度の運用についての検討を行った。

1万字程度の要約については、こちらをご覧下さい。(307KB)

要約より詳しい内容については調査研究報告書(CD-ROM版)をご請求下さい。

▲このページの先頭へ 

11. 日米韓における特許権の行使に関する諸問題についての調査研究

 近年、自ら実施する意思がないにもかかわらず、他者から特許を買い集め、事業を行っている企業に対して、専ら実施料を得る目的で、特許権を行使するビジネスモデルが見られる。このような権利行使は、正当な権利行使と考えられる一方で、その態様によっては、権利の濫用的行使とも考えられる場合もある。

 一方、特許権たる独占的権利によって発明を保護することは、特許法の目的である産業の発達のためには、不可欠な要素であり、その活用、流通を支える知的財産ビジネスの発展が、イノベーションの活発化のために期待される。しかしながら、特許権の濫用的な行使を含め、いかなる権利行使も許されるとすれば、かえって産業の発達を阻害し、企業の健全な事業活動に支障を与えるおそれがある。

本調査研究は、特許権の行使に関する諸問題を採り上げるとともに、特許権の行使に関するビジネスモデルの実態を調査し、権利行使の観点からの検討に資する基礎資料作成のための調査研究を行った。

1万字程度の要約については、こちらをご覧下さい。(285KB)

要約より詳しい内容については調査研究報告書(CD-ROM版)をご請求下さい。

▲このページの先頭へ 

12. 平成19年度我が国企業等における産業財産権等の出願行動等に関する調査報告書

 我が国の企業が競争力を高めていく上で、知的財産の創造と活用を重視した経営の強化は極めて重要な課題である。2007年5月にまとめられた「知的財産推進計画2007」にも、我が国が「知的財産立国」を実現し、産業の国際競争力を向上させるためには、企業が競争力の源泉たる知的資産等の活用を重視した経営が重要である旨がうたわれている。こうしたことを踏まえ、本調査報告書は、近年重要性が増しつつあるM&Aが企業の知的財産活動に与える影響や、中小企業あるいは非上場企業の知的財産活動の特徴、ソフトウェア特許に関するプロパテント政策の効果、そして、これまで余り研究されてこなかった意匠権や商標権の出願・利用行動について計八つの実証分析を行っている。さらに、これらの分析にも使用されており、知的財産活動を調査する我が国唯一の統計調査である「知的財産活動調査」について、推計手法や業種分類の見直しの他、調査票自体の見直しも検討した。

1万字程度の要約については、こちらをご覧下さい。(270KB)

要約より詳しい内容については調査研究報告書(CD-ROM版)をご請求下さい。

▲このページの先頭へ 

【特許庁委託産業財産権研究推進事業】

13. 第二医薬用途をクレームする医薬発明の特許性と保護範囲 -ブラジル等の開発途上国に応用可能な枠組みとしての日欧の取組み
ヴィヴィアネ・ユミ・ミツウチ クニサワ
平成19年度招へい研究員
マックス・プランク知的財産研究所 研究員
ブラジル弁護士

 医薬分野における技術の進展はしばしば既知の物質の更なる用途の開発によって達成される。特許保護は研究開発及び新薬の販売に必要な臨床試験への投資を確実にするという重要な役割を担っている。

 2005年、日本特許庁の審査基準は、このような発明についても、「物の発明」として、特許性要件の審査のための幾つかの基準を明確化した。 この種の発明に与えられる保護の適切さについては依然として議論があるところである。

 欧州特許庁(EPO)は1985年以来いわゆるスイスタイプクレ-ム表現の下そのような発明を許可してきている。欧州特許庁はそのようなクレームが(製品の生産ではなく)物質によって得られる「効果」に向けられていることを明確にしてきた。このことは、そのようなクレームが新用途による物の保護を与えるという解釈を生じている。 2004年に欧州特許庁は用法・用量に関するクレームも容認した。今月13日に発効する新しい欧州特許条約EPC2000は幾つかの変更を導入し、将来の欧州特許庁による実務に変化を与えるかもしれない。

この研究は、日本と欧州における第二医薬用途をクレームした医薬発明の特許性と保護範囲の態様を分析することを目的としている。また、この分析は、まだ不明確な状況があるブラジルの特許制度の発展にも有益となろう。

1万字程度の要約については、こちらをご覧下さい。(274KB)

要約より詳しい内容については調査研究報告書(CD-ROM版)をご請求下さい。

▲このページの先頭へ 

14. 特許実施許諾及び譲渡契約における不争義務についての韓国、日本、米国及びドイツ間の比較分析
アン・ヒョジル
平成19年度招へい研究員
法学博士
高麗大学校(韓国)法科大学 副教授

 特許権の実施権被許諾者又は譲渡人による無効請求の可能性について、韓国内外で多くの議論がある。最も議論のあるのは、特に、実施権許諾契約に「不争」条項を含めることが、特許権の濫用に当たるか、独占禁止法の下で反競争行為を構成するか否かの問題であり、又、被許諾者や譲渡人は、信義及び誠実の原則に基づき、たとえそのような条項がなくても、実施権許諾された又は譲渡された特許の有効性を争うことが禁止されているか否かという問題である。この問題は、基本的には、信義と誠実の原則や禁反言の原則のような契約法の一般原則と、産業の発展を促進するという特許制度の目的との間の衝突から成る。この研究は、そのような衝突について、韓国、日本、米国、及び欧州連合を含むドイツの法律、判例、学説等が、どのように運用され、適用され、解釈されているかを比較・分析し、結論的には、この問題をどのように扱うべきかについて、合理的な基準を示唆しようとするものである。

1万字程度の要約については、こちらをご覧下さい。(347KB)

要約より詳しい内容については調査研究報告書(CD-ROM版)をご請求下さい。

▲このページの先頭へ 

15. 画面上の画像デザインの保護-中国法と日本法の比較研究-
グワン・ユーイン
平成19年度招へい研究員
法学博士中国社会科学院知的財産権センター 副教授・副研究員

 新しい独創的な画像デザインは知的財産法及び他の関連法の下で保護する価値がある。日本において、画像デザインは、著作権法、商標法又は不正競争防止法で保護し得るが、実務上は、これらの法律の下での保護はそれほど容易に得られるわけではない。日本は、2006年に意匠法を改正することによって、画像意匠を含むように工業意匠の範囲を広げ、画像デザインの保護を強化した。

中国において、画像デザインは、論理上、著作権法、商標法又は反不正競争法の保護対象でもあり得るが、実務上は、これらの保護はほとんど意味がない。中国専利法は、画像意匠も一定の範囲で保護し得るが、部分意匠の概念がないので、外国で部分意匠として登録されたり出願されたりした画像意匠の権利者や出願人は、幾つかの問題に遭遇する。意匠出願の実体審査がない制度なので、これらの問題は、出願書類の提出の方法を変更することで、部分的に是正できるかも知れないし、権利の登録を妨げることはないであろう。しかし、そのような権利は不安定な状態にある。中国の制度において、明確な法的ルールを規定するという必要性に対しては、画像デザインの保護を強化し、知的財産制度の国際的調和の動向に沿うように、より効果的なアプローチが考慮されるべきであろう。

1万字程度の要約については、こちらをご覧下さい。(381KB)

要約より詳しい内容については調査研究報告書(CD-ROM版)をご請求下さい。

▲このページの先頭へ 

16. ドイツにおける知的財産担保制度の基礎的考察-流通・管理スキームとしての担保法理の一局面-
池田雅則
平成18年度産業財産権専門家派遣
筑波大学大学院ビジネス科学研究科企業法学専攻 教授

 近年、知的財産権をめぐる各種の紛争が多発し、また、社会的にも大きく取り上げられることが増えてきた。これは、知的財産が社会的な価値を持つようになったためである。他方で、この価値に着目して、金融面からの利用の必要性も高まっている。たとえば、知的財産を担保として利用できれば、不動産を十分に持たない新興企業であっても資金調達が可能となり、他方与信者にとっても新たな担保適格資産を開拓できるからである。本研究においては、ドイツにおける知的財産権担保がどのようなものとして構築され、問題を含んでいるのかを検討し、わが国における知的財産担保制度を考察する際の示唆を得ることを目的とした。まず、ドイツ法における知的財産権制度の概要を紹介し、その成立と特性について検討し、次いで、ドイツにおける知的財産担保制度の概要を紹介した上で、当事者の倒産の際の担保の効力について考察する。最後に、本研究から得られたわが国の知的財産担保制度への示唆について述べたい。

1万字程度の要約については、こちらをご覧下さい。(301KB)

要約より詳しい内容については調査研究報告書(CD-ROM版)をご請求下さい。

▲このページの先頭へ 

17. 知的財産権と自由な情報流通との調整の在り方をめぐる憲法学的考察-情報技術に関する法における基本原理の探求
山口いつ子
平成18年度産業財産権専門家派遣
東京大学大学院情報学環・学際情報学府 准教授

 情報を「財産」として保護することの意義、根拠、及びそのための理論体系とは、いかなるものであろうか。現在の日本では、知的財産法を「財産的情報の保護法」と解する見方の下で、知的財産の保護の重要性が認識されてきているが、そもそも「情報」は、多義的であることに加えて、本来、自由であるべきものでもある。本研究報告では、産業財産権の核ともいえる特許に焦点を当てて、英国における議論を主な素材としつつ、適宜、米国での議論も取り上げながら、知的財産ないし知的財産権に関する基本的な概念の意味、淵源、本質論と理論体系、正当化事由について考察するとともに、「特許能力のある発明」の範囲をめぐる具体的な争点について検討を加える。そして最後に、これらの考察に基づき、今後の日本法の在り方への示唆として、知的財産権と自由な情報流通との調整における均衡を図るに際しては、知的財産という概念に内包されている私的権利と公共の利益との間の緊張関係と、知的財産の保護の理由付けにおいて陥りがちな循環論法に、留意しておく必要があることを指摘する。

要約より詳しい内容については調査研究報告書(CD-ROM版)をご請求下さい。

▲このページの先頭へ 

18. 財産権(property)としての知的財産権-情報取引契約についての議論の前提として-
渕麻依子
平成17年度長期在外研究研究員
東京大学大学院 法学政治学研究科 総合法政専攻 博士課程

 本報告は、3つの部分から構成される。まず、米国でさかんに議論されている知的財産権の正当化根拠についてその概略を紹介する。ここでは、各理論の由来、位置づけについて紹介していく。引き続いて、米国におけるpropertyの議論を整理する。Propertyは米国のロー・スクールにおいて必須の科目である。Propertyの取得からその内容、propertyをめぐる私人間の関係、政府との関係と展開し、全体像を概観する。また、それぞれの論点との関係で、知的財産権に関連する裁判例を紹介し、対比させていく。大陸法と異なり、物権と債権を峻別する考え方の存在しない米国において、知的財産権をどのように位置づけるかということを試みる。最後に知的財産権をpropertyの体系にどのように位置づけるかを考える上で鍵となるいくつかの論文を紹介し、今後の知的財産権制度設計のあり方を探る一助としたい。

1万字程度の要約については、こちらをご覧下さい。(364KB)

要約より詳しい内容については調査研究報告書(CD-ROM版)をご請求下さい。

▲このページの先頭へ 

19. インターネット空間における商標問題-ドメイン名の差止めを中心として
市政 梓
(財)知的財産研究所 平成19年度特別研究員

 インターネット空間においてアドレスの役割を果たすドメイン名(「example.co.jp」など)が第三者の商標と抵触するといった問題がある。そしてドメイン名紛争の一つとして、パロディに見られるような商標と表現の自由の衝突をはじめとした問題が生じたとき、商標の保護はどこまで認められるのかについては定かではない。

 本稿では、アメリカ合衆国法にいうフェアユースを手がかりに、商標保護の在り方をドメイン名紛争から鑑みる。まずは、アメリカ商標法を概観し、アメリカ法にいうフェアユースの法理を検討する。そして、商標問題を取り扱う日本法として、商標法と不正競争防止法を概観し、フェアユースの法理から日本法にいう図利加害目的の判断の示唆を行い、ドメイン名の差止めに限定しない救済の提言を行っていく。こうしたドメイン名紛争から、今後の知的財産法の在り方を導いている。

1万字程度の要約については、こちらをご覧下さい。(320KB)

要約より詳しい内容については調査研究報告書(CD-ROM版)をご請求下さい。

▲このページの先頭へ 

20. プログラムの特許権と著作権による重複保護により生じる問題点-特に、職務上作成されたプログラムについて-
内田 剛
(財)知的財産研究所 平成19年度特別研究員

 本研究は、複数の知的財産権により保護されるコンピュータプログラムを従業者が職務上作成したことにより、特許権と著作権による保護の交錯が生じる場合の権利相互の関係及び両権利の効力の調整方法について解釈論、立法論を展開するものである。

 そのために、特許権と著作権の帰属につき、職務発明と職務著作の要件及び効果を対比してその差異を明らかにするとともに、その差異が解釈によって解消し得るものであるのかを検討する。また、職務発明と職務著作の相違から特許権と著作権の帰属主体が異なることにより、保護の交錯が生じる場合の両権利の関係を権利の本質論及び権利の抵触関係を調整する規定(意匠法28条、半導体集積回路法13条)から検討する。そして、以上の検討及びイギリスの職務発明制度との比較を通じて、職務発明と職務著作の要件及び効果の相違により保護の交錯が生じる場合の望ましい調整方法を明らかにする。

1万字程度の要約については、こちらをご覧下さい。(303KB)

要約より詳しい内容については調査研究報告書(CD-ROM版)をご請求下さい。

▲このページの先頭へ 

21. 企業の競争戦略としての特許利用について-特許統計データを用いた実証分析
蟹 雅代
(財)知的財産研究所 平成19年度特別研究員

 本研究では、企業の特許利用戦略のうち、技術的排他戦略がどのような要因の影響を受け決定されるのか検証している。まず、企業の扱う製品の技術特性に応じて、技術的排他戦略を実行できる企業(discrete technology productの企業)とできない企業(complex technology productの企業)に分類し、両者では特許利用戦略の構造が異なることを実証している。その上で、前者の特許利用戦略を分析している。他社との技術的補完関係が乏しいこのような企業は、製品市場で超過利潤を得るため、特許による技術的排他戦略を実行しうる。このとき、技術環境が問題となる。直面する技術環境に多数の企業が存在し、代替技術を利用した他社製品が市場のパイを奪うような状況では、特許の排他的自社利用によって製品市場から得られるメリットは小さい。しかし、仮にそのような環境であっても、パテント・フェンスを構築し、他社が代替技術を特許化することを阻止することで、技術的に他社を排除し自社製品の市場を守ることができる。本研究では、特許による技術的排他戦略の決定要因として、技術環境が影響することを示している。

1万字程度の要約については、こちらをご覧下さい。(318KB)

要約より詳しい内容については調査研究報告書(CD-ROM版)をご請求下さい。

▲このページの先頭へ 

22. 国際私法における特許を受ける権利の承継-いわゆる日立製作所事件最高裁判決を契機として-
申 美穂
(財)知的財産研究所 平成19年度特別研究員

 本研究は、国際的な文脈において、内外の特許を受ける権利が承継される場合に生ずる各種の法律上の問題がいずれの国の法によって規律されることになるのかについて、国際私法の立場から考察することをその目的とする。職務発明に係る外国の特許を受ける権利の相当対価請求については最高裁判決が登場したが、その意義や理論的妥当性、射程等については様々な見解が唱えられ、未だその評価が定まっていない。他方において、権利の原始的帰属や承継可能性などに関しては、判決では直接には言及されておらず、未解決な問題も多く残されているという状況にある。

本研究は、この最高裁判決とそれに関連する学説等の分析を出発点として、いわゆる属地主義の原則に関する検討や、比較法的考察等を通じて、内外の特許を受ける権利の国際的承継をめぐる各種の問題にいかなる国の法律が適用されると考えるのが最も妥当であるかについて検討する。

1万字程度の要約については、こちらをご覧下さい。(263KB)

要約より詳しい内容については調査研究報告書(CD-ROM版)をご請求下さい。

▲このページの先頭へ 

23. パテント・プールに係る特許の質と出願行動について
塚田 尚稔
(財)知的財産研究所 平成19年度特別研究員

 技術の高度化・複雑化が進み、また知的財産権の重要性が高まったことにより、技術標準にかかわる必須特許を一括ライセンスする仕組みであるパテント・プールを形成する事例が見られる。プールにかかわる企業の特性によって異なるパテント・プールへの参加のインセンティブや出願行動の差異と特許の質について統計的に分析を行う。具体的には、MPEGLA社が管理する動画圧縮技術の標準であるMPEG2やMPEG4などの必須米国特許を分析対象として、継続的出願の利用頻度や被引用件数で測った特許の質との関係を詳しくみる。それとともに、必須特許に限らない米国のすべての登録特許での傾向を比較することで、技術標準にかかわる必須特許の特徴を明らかにする。パテント・プールへの参加のインセンティブ、プールにライセンサーとしてかかわる企業間での公平性の問題などについて論じていきたい。

1万字程度の要約については、こちらをご覧下さい。(284KB)

要約より詳しい内容については調査研究報告書(CD-ROM版)をご請求下さい。

▲このページの先頭へ