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平成21年度調査研究の概要

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【特許庁産業財産権制度問題調査研究】

1. イノベーションの創出に資する知的財産権の在り方に関する調査研究

 本調査研究は、イノベーション創出に最も効果的な特許制度を検討するための基礎資料作成を目的とする。しかし、特許制度は数多くの課題を抱えることから、今回は、直ちに解決が必要と思われる3つの課題を採りあげ、検討を行った。「新たな特許制度のプレーヤーである大学が抱える問題」については、特許法条約第5条に類似する出願日の認定要件緩和を導入し、グレースピリオドを延長することにより、大学からの発明が適切に保護され、イノベーション促進に貢献すると考える。「技術標準に係る問題」は、一定以上の公的性格を有する技術標準に組み込まれた特許権については、特許権の行使を制限すべきであり、その方法として組織的対応による方法を提案する。「リサーチツール特許に係る問題」は、リサーチツール特許の効力制限の是非は引続き検討が必要であるものの、現在行われているガイドラインからのアプローチは一定の効果を上げているとの結論に至った。

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2. ウェブアーカイブに記録された先端技術情報の公知性等に関する調査研究報告書

 特許庁は、インターネット上の公開情報を自動収集機能によって庁内に登録して検索できる「先端技術情報アーカイブ」を構築する予定としている。「先端技術情報アーカイブ」に類するウェブアーカイブサービスは既に民間事業者によるものが実現されているものの、「先端技術情報アーカイブ」の審査実務での利用性、収録された情報の公知性及び非改ざん性、その他要件などについては、十分な検討がなされておらず、前記「先端技術情報アーカイブ」を構築する際には、このような論点等を包括的に整理する必要がある。

 本調査研究では、海外知財庁におけるウェブアーカイブサービスの審査での利用状況やウェブアーカイブに記録された情報の信頼性が争われた審決、判決等の調査、ウェブアーカイブに記録された情報の特許審査に対する利用性、必要性、問題点等に関する国内調査等を実施し、論点・留意点について検討を行った。

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3. 出願人等の評価を踏まえた意匠審査の在り方に関する調査研究

 意匠審査の質の維持・向上に向けた取組の推進と品質監理の体制整備の検討のための基礎資料作成を目的とし、外部評価(出願人・代理人による意匠審査の評価)の調査に焦点をあて、①海外における意匠審査の品質監理の調査、②国内アンケート試行調査および③ヒアリング調査を行い、④有識者による委員会において検討を行った。

 国内アンケート試行調査の回答回収率は54.6%であった。最近(1年程度)の審査官の手続き全般について、適切であるとの評価が約90%を占め、拒絶理由通知書の記載についても、適切との評価が約85%を占めている。自由記載においては、適切な例、不適切な例に関する多くの具体的意見・情報が寄せられている。それらの試行調査結果に基づき、出願人等による意匠審査の評価手法の検証と、今回の評価結果を踏まえた意匠審査の在り方についての検討を行ったものである。

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4. 新たな企業活動等を踏まえた産業財産権の活用実務に関する調査研究

 本調査研究は、産業財産権の活用に関する現状およびニーズの調査に関するものである。産業財産権の活用については、出願件数や登録件数などの明確な指標が存在しない。従来の特許庁の施策は、特許庁により行われる統計調査の「保有権利の利用/未利用状況」に基づいた「未利用権利の利用促進」に重点が置かれており、必ずしも産業財産権ユーザのニーズを把握して行われたものではなかった。

 一方、企業や大学等の産業財産権ユーザの活用の形態は、業種、企業規模等により様々であり、「利用/未利用」という区分でとらえられないものであることから、今後の産業財産権の活用に関する施策の検討にあたっては、産業財産権の活用に関する現状およびニーズを適切に把握する必要がある。

 アンケート調査(約3000者)においては、産業財産権の活用の種々の態様、具体的には、権利行使等の直接的活用、自社製品防衛の目的等の間接的活用、技術指標としての活用、他社技術の導入のための活用、のそれぞれについて、主に業種および企業規模毎の分析を行うとともに、日本国内および海外におけるヒアリングを行った。

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5. 多様化するデザイン創作活動を促進する意匠制度の在り方に関する調査研究

 デザインの活用は、企業の競争力を強化する上で重要な要素と言われている。特許庁では、デザイン創作活動を促進し的確に保護するため、随時意匠制度の見直しを図りつつ、産業界やデザイナー等との意見交換も継続的に実施してきている。ますます多様化するデザイン創作活動を保護・促進する意匠制度の在り方を検討するための基礎資料とすべく、本調査研究を実施した。

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6. 我が国の経済情勢等を踏まえた産業財産権に関する料金制度等の在り方に関する調査研究

 我が国経済が厳しい状況下にある中、知的財産関連予算に制限のある中小企業等からは、料金制度に関する見直しの強いニーズがある。他方、研究開発型中小企業等に対しては、審査請求料及び特許料が軽減されるものの、申請手続の複雑性・困難性に起因して、その効果を十分享受できていないとの指摘がある。

 また、イノベーションを促進する観点からの特許制度の見直しや、ブランド力の向上を図る事業者の利便性を高めるための商標制度の見直し等が進められていることに伴って、既存の産業財産権の手続・料金制度に求められる内容も変化し、産業財産権に関する手続全般を検討する必要が生じている。

 本調査研究では、「特許を利用した製品の収益曲線に基づく適切な料金体系の在り方」及び「料金制度の変遷とその影響」について、経済学的な分析も含め、検討を行った。また、「減免制度の在り方」、「基本料金と請求項への課金の在り方」及び「商標における分割納付制度の在り方」について、制度のユーザーに対するアンケート調査及びヒアリング調査を実施し、これらの結果を踏まえた検討を行った。

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7. ライセンス・特許を受ける権利に係る制度の在り方に関する調査研究

 近年、イノベーションを促進し、我が国の産業競争力を強化するために、特許を始めとする知的財産を有効に活用することが不可欠となっている。そうした中、平成20年度特許庁産業財産権制度問題調査研究「知的財産の更なる活用の在り方に関する調査研究」において、ライセンシー保護及び特許出願段階からの早期活用ニーズの増加といった観点から、ライセンスの対抗制度における当然対抗制度の導入、新たな独占的ライセンスの創設、及びの特許を受ける権利を目的とした質権の解禁が妥当であるとの方向性が取りまとめられた。

 本調査研究では、これらの事項について、国内アンケート・ヒアリング調査並びに海外調査(米国、ドイツ、英国、フランス、中国及び韓国)を行い、国内のニーズの調査、分析及び諸外国との制度調和の観点からの調査、分析を行った。

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8. 当事者系審判における審理の進め方に関する調査研究

 平成17年4月に導入された特許法第104条の3の規定により、特許侵害訴訟において特許無効の抗弁が判断されるようになったことを受け、特許庁は、侵害訴訟係属中に請求された審判事件を早期に審理する対象とし、紛争の迅速な解決に寄与してきた。

 一方、「知的財産推進計画2009」の重点施策では、「いわゆる「ダブルトラック」に係る問題への対応策について、2010年度中に一定の結論を得るべく検討を行う」こととされている。この議論をするにあたり、今以上の迅速・的確な当事者系審判における審理の進め方につき、調査検討を実施しておく必要があった。

 本調査研究は、このような背景を踏まえ、当事者系審判(無効審判)に係るユーザニーズを把握すべく、企業及び代理人へヒアリング調査を行うとともに、当事者系審判と訴訟との関係に係る統計分析等も行い、迅速・的確かつ制度利用者の満足度を高める当事者系審判の審理の進め方について調査研究を行ったものである。

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9. 我が国の持続的な経済成長にむけた企業等の出願行動等に関する調査研究

 我が国の持続的な経済成長を実現していくためには、企業等の研究開発の成果を効果的に知的財産として保護、利用することで、技術革新を促し経済活動を活性化していく知財システムの構築が極めて重要である。そのため、我が国の知的財産に関する政策を企画立案していくにあたっては、統計データ分析に基づく共通認識を持って、知財システムについての議論を深めていくことが必要不可欠である。

 このような状況を踏まえて、本調査では、(1)職務発明制度に関する法改正の効果、(2)先端技術分野における企業等の出願関連行動等に関するパターン、(3)企業等の特許出願行動が量から質へ転換しているか、(4)ソフトウェアに関する特許制度変更がソフトウェア業界の構造に与える影響、(5)特許の審判及び異議申立の決定要因、(6)企業秘密(ノウハウ)と企業の収益性・持続的競争優位性との関係といった合計6つの実証分析を行った。また、知的財産活動調査の見直しの検討も行った。

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【特許庁委託産業財産権推進事業】

10. 知的財産分野における日本と欧州の統一された裁判管轄制度に向けて
アウレリオ・ロペス-タルエジャ マルティネス
平成21年度招へい研究者
スペイン、アリカンテ大学国際私法講師

 現在、市場はグローバル化している。その結果、企業は複数の国においてその無体財産を保護する必要がある。外国での知的財産権の登録を容易にする国際条約が幾つか締結されている。しかし、知的財産権が侵害されたときに権利者が複数の裁判所でその権利を主張しなければならないとすれば、それは全く容易になったとはいえない。欧州連合の場合を除き、国際裁判管轄は各国内法に従って定められる。したがって、権利者にとっては、どの地で権利の保護を求めることができるのかを予見することが極めて困難である。さらに、権利者が複数国における訴訟競合に直面することも非常によくあることである。このような状況は、国際的商業活動のコストを増大させ、知的財産権の実効的な権利保護を阻害している。

 このような状況を克服するため、知的財産分野における裁判管轄、判決の承認及び執行に関するルールを統一化するための国際条約が必要とされている。この研究の目的は、欧州連合と日本の制度を比較し、裁判管轄ルールに関する共通点と相違点を特定することである。特に、この研究の前半では、知的財産権の有効性、登録、侵害及び保全措置に関する訴訟に関連した裁判管轄ルールを比較する。後半では、国際的訴訟競合に関する規律に着目する。

 こうした分析により、欧州連合と日本の双方が批准可能な知的財産分野の国際条約にどのような要素を規定すべきか判断することが可能となるであろう。

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11. 日本及び欧州の大学と産業におけるイノベーションの商業化障壁低減手段:幾つかの実現可能な新しい解決策を伴う知識移転活動の比較アプローチ
ルカ・エスコフィエ
平成21年度招へい研究者
米国、ワシントン大学ロー・スクール客員講師

 この研究の革新的な特徴は、知識移転に関する欧州及び日本のシステムの詳細な比較と、知識移転活動を促進・強化するためにこれまで用いられてきたツールの分析とを行った後に、商業化の障壁を低減し、国境を越えた知識の取引を行うために、それらに替わるツールの導入を提案するとともに幾らかの結論を導きだすことにあり、それらの活動の単なる現状報告にとどまるものではない。この研究は、特に、欧州及び日本の企業と研究者との間を、研究のあらゆる段階において結び付け、持続可能かつ効果的な知識の開発と利用のために将来実現可能なルートを形成するであろう新たな方法を選択する可能性を探るものである。

 この研究は、二つの部分に分かれ、まず、二つのシステムの徹底的な検証を行い、次に、以下のために現実的な提案を行う。

 1. 速く、安価で、信頼できる、中立的なデータ取引のための、新しい連携技法とウェブ・ベースのツールによって、イノベーションの商業化に対する共通の障壁を克服し、;

 2. 日本及び欧州の公的研究機関と企業との間で迅速かつ効果的な相互交流を可能にする、データベースとウェブ・ベースのアプリケーションのような新しいコミュニケーション・ツールを構築する。

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12. 知的財産侵害の効果的な防止抑制のための法と政策の国際的調和
サンタニー・ディサヤブット
平成21年度招へい研究者
タイ王国検察庁検事

 密接な結びつきに支えられた今日のグローバル経済は、正当性のあるビジネスに有益なだけでなく、知的財産権侵害という問題をも助長し、21世紀の世界的現象になっている。知的財産権の侵害が蔓延することで、経済的繁栄を大きく損ない、市民の安全性を次第に脅かしている。そのため法執行の点から見て、知的財産権の考え方は、経済的な民事上の問題から刑事上のパラダイムへと転換してきた。過去10年間、多くの国が知的財産に関する制定法において、民事救済策をより充実させ、刑罰をより厳しくする方向で改善してきた。それでもなお統計的データからは、知的財産権侵害が相変わらず増加傾向にあることが分かる。従って効果的な知的財産権の執行をめざす戦略を、もっと深く検討する重要な時期に来ている。

 本報告書は、立法上の考察よりも実務的側面を説明することを意図している。知的財産犯罪の脅威と闘うには、すべての国が協調して一斉に行動する必要がある。国際的な基準や実務に従って適切な法律を制定しなければならない。法律を執行する一貫した政策が効果的な法の実現のために不可欠である。本報告書の目的は、知的財産犯罪のあらゆる深刻な影響や、組織犯罪及びテロリズムとのつながりを明らかにし、さらに知的財産権の執行体制を強化する新しい解決策を探ることである。本報告書はこの目的を達成するためにまず、知的財産犯罪が被害者のない犯罪ではないとの主張を裏付ける事実を全て明らかにする。さらに知的財産犯罪と他の犯罪行為、特に組織犯罪グループとの関係を検証する。知的財産犯罪が魅力ある違法ビジネスとなる要因を分析し、執行の有効性を阻害する根本的な原因についても述べる。最後に、本報告書は現在の執行の手段や実務を強化する多様な方策について提言し、同時に知的財産の執行をさらに改善する代替手段についても提案する。

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13. バイオシミラー(バイオ後続品)のための簡略承認手続と特許政策:イノベーションのためのインセンティブと価格競争とのバランス
ドン・タオ
平成21年度招へい研究者
中国国家知識産権局知識産権発展研究中心第一部部長

 近年、バイオシミラーに簡略新薬承認申請(ANDA)手続を適用すべきという掛け声が聞かれる。生物製剤は主たる技術手段において通常の医薬品と区別することができ、医薬品に適用されるハッチ・ワックスマン法の規定を後発タンパク質医薬品の承認を単に認める規制制度に組み込むことをできなくしている。知的財産権はバイオ技術会社及び製薬会社の重要な無形財産である。だが、生物製剤と低分子医薬品との区別は、簡略承認手続の条件下で、開発企業の生物製剤に市場独占権を与えるために特許制度がどのように機能するかについての重大な違いにつながる。どの種の特許保護インフラが、こうした「後発生物製剤」を規制するのに適切であるかを決定するために、バイオ技術環境の観点からの徹底した特許政策評価が必要である。この点に留意しつつ、この研究は、異なる視点からの後発生物製剤の簡略承認手続を実施する場合の、特許についての法律及び政策問題に焦点を当てる。最後に、この研究はこうした特許問題に対する筆者の勧告を幾つか示している。

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14. 研究開発・特許出願行動の進化ゲーム理論的分析
石井良輔
(財)知的財産研究所 平成21年度特別研究員

 本研究では、研究開発のインセンティブと特許権付与の結果として得られる独占の弊害のトレードオフに着目し、それらが社会厚生に与える影響を明示的に組み込んだ経済理論モデルを分析する。既存の理論研究で明確に定義されていない「特許権の強さ」や「特許権の存在自体」が経済成長率に与える負の影響などのモデルへの組込みと併せて、研究開発投資量決定に進化ゲーム理論的要素を導入し、企業の意思決定を内生化する。特許の強さや特許権付与の基準の厳しさなどの外生的なパラメータを政策変数と解釈し、モデルにおける経済成長率を指標とする社会厚生を最大化する政策変数の定性的性質を求める。また、分野ごとに異なる特許権の存続期間を設けられるよう規制緩和がなされた際の最適存続期間決定問題において、政策上の意思決定が経済成長に与える影響についても考察を行う。

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15.  環境規制と企業のイノベーション活動-特許データによる研究開発動向の分析-
枝村一磨
(財)知的財産研究所 平成21年度特別研究員

 一般に、日本の環境技術は諸外国と比較して優れていると言われている。本研究では、日本企業による環境技術のイノベーション活動を促進させている要因として環境規制を想定し、両者の関係を実証分析する。分析を行うに当たって、「企業は、環境規制施行・強化の影響が大きいほど、環境技術に関するイノベーションへの誘因を高める。」という仮説を設定する。
 環境規制によって企業がイノベーション活動を促進させるという仮説(ポーター仮説)がある。この仮説に関しては、仮説を支持する幾つかの実証研究が実施されているが、これらの研究ではデータの制約等から課題が多く残されている。
 本研究では、企業による環境技術のイノベーション活動と環境規制の関係を、特許データや財務データ、環境行政にかかわるデータを用いて統計的に分析する。分析を行う際には、環境規制が企業に与える影響は企業規模や業種によって異なると考える。それらの要因をコントロールした上で、環境規制が企業のイノベーション活動に与える影響を統計的に抽出する。
 分析の結果、本研究の仮説は否定できないという結論を得た。このことは、日本において、ポーター仮説が当てはまる可能性があることを示唆している。

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16. 商標としての使用-侵害訴訟における解釈及びその問題点について-
金久美子
(財)知的財産研究所 平成21年度特別研究員

 商標権者は、第三者が、指定商品・役務と同一又は類似の商品・役務について、登録商標と同一又は類似の標章を使用する行為(商標法2条3項) を行っている場合には、差止め・損害賠償を請求することができる。しかし、我が国の裁判例では、形式的に同法2条3項に規定する使用に該当しても、商標としての使用でない場合には、商標権侵害に当たらないとしている。「商標としての使用」(商標的使用)という概念は、「自他商品識別機能ないし出所表示機能を有する態様で使用する行為」と解釈されており、商標法の規定には明示されていないが、商標権侵害の要件として考えられている。

今後も新たな標章の使用態様が生ずることが予想され、また、著名商標保護への対応も必要とされていることから、「商標としての使用」とはいかなるものか、現在の解釈で足りるのか、ということを検討することは有益だと思われる。

 また、侵害の要件であるならば、その主張立証責任は原則として原告か被告かのどちらかにあるはずである。この問題は、商標としての使用が裁判においてどのような位置づけにあるかということや、効力の制限に関する規定(商標法26条等) と大きくかかわってくるが、この件に関する研究は余り進んでいないように思われる。

 そこで本研究は、この概念を導き出す理論構成、欧州での状況、主張立証責任、侵害の要件の中での位置付け等を手掛かりとして、商標としての使用の実体を明らかにすべく調査・検討を行った。

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17. インターネット上における商標権の保護-日中比較を中心として-
陳思勤
(財)知的財産研究所 平成21年度特別研究員

 インターネット技術の更なる発展は、サイバースペース上の新たな形態の商標権保護の問題を提起している。例えば、いわゆる「検索連動型広告」と呼ばれるサービスにおける検索キーワードと商標権の抵触をめぐる紛争はその一例である。サービスの利用者が、他人の商標もしくはその一部を自社の検索キーワードとして登録したことに対して、商標権者から商標権の侵害として訴えられる紛争であるが、特徴的なのは、サービスを利用する直接の行為者だけでなく、サービスを提供している間接関与者としてのISPの責任も問われる点である。中国では、Google(中国)社、中国の検索エンジン最大手の百度社が相次いでこのような訴訟に巻き込まれているが、法律の明文規定を欠くことから、裁判例にばらつきが見られるところである。これは、法的安定性や予見可能性の観点からみれば問題であり、権利の保護や紛争の予防に大きな困難をもたらしている。日本においても、同種問題の存在を指摘する文献はあるが、詳細な研究はなお十分になされていないように思われる。

 本研究では、上記のような新種の事例などに代表されるインターネット環境における商標権保護の問題について、直接の行為者の責任と間接関与者としてのISPの責任の両方に着目して、日中両国の現行法を基礎にその規律の在り方を比較検討した。

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18. 知的財産権に基づく侵害行為差止め仮処分の国際裁判管轄
的場朝子
(財)知的財産研究所 平成21年度特別研究員

 仮処分は保全措置の一種である。そして、保全措置であるからには、迅速かつ実効的に措置がとられることを本質とすると考えられる。例えばEU諸国における「民事及び商事事件の裁判管轄並びに裁判の承認及び執行に関するブリュッセルⅠ規則」では、保全手続の裁判管轄は本案訴訟の裁判管轄よりも広く認められ得る形で規定されており、権利者が迅速に保全措置をとるのに便宜である。しかし、知的財産権関連の国際的紛争においては、権利侵害行為の差止めを命じる仮処分命令の裁判管轄が広く認められると、問題も生じ得る。本研究では、知的財産権侵害行為の差止めを命じる仮処分につき、本案判決や他の種類の保全命令との比較を通して措置の特徴を明らかにしつつ、その国際裁判管轄ルールの在り方を検討する。

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19. 国際的な職務発明・職務著作紛争の国際裁判管轄及び準拠法
村上愛
(財)知的財産研究所 平成21年度特別研究員

 本研究は、国際裁判管轄及び準拠法に関する新たなルールの下での国際的な職務発明・職務著作紛争の処理を検討するものである。近時、国際裁判管轄と準拠法の両面において、新たなルールを導入する動きが見られる。現在のところ、日本には、国際裁判管轄に関する制定法上の規定は存在しない。実務上、裁判例の蓄積により一定のルールが形成されつつあるものの、判例の準則によるのみでは明確性を欠き予測可能性が高いとはいえない。国際裁判管轄に関する規定を整備する必要があるとして、2008年10月より法務省の法制審議会において国際裁判管轄法制が検討され、2010年2月には「国際裁判管轄法制の整備に関する要綱」が公表された。準拠法については、2007年1月から、従来の「法例」に代わり「法の適用に関する通則法」が施行されている。国際裁判管轄法制の整備に関する要綱も法の適用に関する通則法も職務発明・職務著作に関する特別なルールを設けておらず、この問題はこれまでどおり解釈にゆだねられている。しかし、これまでの解釈が新たなルールの下でもそのまま妥当するかは検討を要する。いずれも労働関係に関する特則を導入しており、労働関係にある、又はこのような関係にあった当事者間で生起する職務発明・職務著作紛争の処理に影響を及ぼす可能性があるからである。本研究では、職務発明、職務著作の順に、これまでの解決を確認したのち、これを新たなルールの下での解決と比較することにより、国際裁判管轄法制の整備に関する要綱及び法の適用に関する通則法が国際的な職務発明・職務著作紛争の処理にいかなる変化をもたらすかを明らかにしたい。

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