IIP HOME > IIPの活動について> 調査研究事業> 平成24年度調査研究の概要

平成24年度調査研究の概要

 

【知的財産研究所 調査研究】

1. 標準規格必須特許の権利行使に関する調査研究(Ⅱ)

 世界各地で標準規格必須特許による権利行使を巡る大型の特許訴訟が多数提起されている。日本国内でも、近時FRAND宣言をしていたにもかかわらず誠実交渉義務を尽くさないで行う損害賠償請求は権利の濫用だとする判決も出された。また米国の連邦取引委員会の報告書 (FTC, 2011)や米国司法省と米国特許庁の共同声明(DOJ・USPTO, 2013)においても標準規格必須特許の権利行使や(F)RAND条件の在り方について意見が表明されている。このような中にあって、我が国においても特許権の権利行使の在り方について議論を深める必要性が非常に高くなっている。
 本調査研究では、こうした認識から国内訴訟事例の調査及び海外制度調査を行い、標準規格必須特許に係る権利行使の最近状況を整理した。また実業界の専門家から見た課題を整理し、標準必須特許による権利行使がどのような場合に適切ではなくなるか、その場合にどのような法的な根拠でそれを制限しうるか、現行法の限界は何か等を検討した。その成果として標準必須特許の権利行使の在り方についての議論の結果を示すものである。

※この調査研究は全文がご覧いただけます。

全文(2.125KB) 

1万字程度の要約についてはこちらをご覧下さい。(361KB)

平成23年度「標準規格必須特許の権利行使に関する調査研究」はこちらをご覧ください。

▲このページの先頭へ 

【特許庁産業財産権制度問題調査研究等】

2. 今後の弁理士制度の在り方に関する調査研究

 本調査研究では、今後の弁理士制度の在り方について、国内アンケート調査を弁理士、日本知的財産協会の正会員企業及び中小企業に実施し、国内ヒアリング調査を日本知的財産協会の正会員企業、中小企業、都道府県の中小企業への知財支援窓口、特許事務所及び専門職大学院に実施し、さらに、海外調査を米国、英国、フランス、ドイツ、中国、韓国、欧州特許庁及び欧州共同体商標意匠庁に対して実施した。そして、企業の知財担当者、弁理士、弁護士及び学識経験者から構成される委員会では、アンケート調査、ヒアリング調査及び海外調査の結果に関する報告がなされ、それらを踏まえた上で、今後の弁理士制度の在り方に関して、試験制度、研修制度、業務範囲、法人制度、秘匿特権、利益相反、懲戒手続、弁理士の使命、非弁行為及び弁理士自治の一部拡充などについて論点整理を行った。

1万字程度の要約についてはこちらをご覧下さい。(256KB)

▲このページの先頭へ 

3. PCT国際出願制度における手続の課題に関する調査研究

 経済活動のグローバル化に伴い、国際的に特許権を取得する手段として、特許協力条約に基づく国際出願(PCT国際出願)の有用性が高まるとともに、日本特許庁が受理官庁として受理するPCT国際出願件数も増加を続けている。しかし、我が国ユーザーからのPCT国際出願利用に対する高いニーズがある一方、手続面に関して様々な課題ついての指摘も受けている。

 本調査研究は、PCT国際出願の利用実態等を調査、整理、分析し、PCT国際出願が引き続き機能的に運営され、ユーザーがより戦略的にPCT国際出願を活用できるようにするための規則改正や運用改善を検討し、あわせて諸外国官庁やWIPO等の機関にも改善を働きかけることを検討していくための基礎資料の作成を目的として行った。具体的には、国内企業・特許事務所等に対するアンケート調査及びヒアリング調査、海外知的財産庁と海外企業に対するヒアリング調査を実施し、これらの調査結果を基に調査研究委員会で検討を行った。

1万字程度の要約についてはこちらをご覧下さい。(283KB)

▲このページの先頭へ 

4. マドリッド協定議定書の利用における手続の課題に関する調査研究

 マドリッド協定議定書に基づく商標の国際登録制度は、海外における商標権の取得を容易かつ効率的にするために有用な制度であり、制度の施行以来、加盟国の増加や幾多の規則改正を経て、出願人にとってのメリットが拡大している。しかしながら、我が国ユーザーの外国出願に占める議定書制度に基づく出願の比率は必ずしも高いものとはなっていない。そのため、本調査研究では、マドリッド協定議定書の利用における手続の課題について、議定書制度における本国官庁、指定国官庁としての我が国特許庁への出願手続に関する課題を把握した上で、ユーザーフレンドリーなサービスを提供する観点から、国内アンケート調査、国内ヒアリング調査、海外ヒアリング調査、WIPOの統計情報を含む国内外文献調査を実施し、これらを基に委員会にて議定書制度の手続等に関する運用改善の検討等を行った。

1万字程度の要約についてはこちらをご覧下さい。(282KB)

▲このページの先頭へ 

5. 安定的な権利付与に向けた制度に関する調査研究

 平成15年の特許法改正により、特許付与後の異議申立制度と特許無効審判制度が統合・一本化され、特許付与後の異議申立制度の機能を包摂する新たな特許無効審判制度が作られた。しかし、特許無効審判の請求件数は、平成15年以降、一時的には増えたが、現在では法改正前の水準で推移しており、現行の特許無効審判制度は、特許付与後の異議申立制度の代替としてほとんど機能していないのではないかとの疑問が呈されている。また、審査順番待ち期間の短縮や、早期審査件数の増加に伴い、情報提供の機会が十分に無いまま特許になるものが増加している。さらに、日本では、瑕疵ある特許を事後的にスクリーニングする機会が、海外と比較して少ないことも指摘されている。

 そこで、現行の特許無効審判制度、及び情報提供制度等について調査・分析し、安定的な権利付与に向けた制度の在り方を検討するための基礎資料の作成を目的として、本調査研究を行った。

1万字程度の要約についてはこちらをご覧下さい。(289KB)

▲このページの先頭へ 

6. 適切なタイミングでの権利取得のための特許制度の在り方に関する調査研究

 平成24年3月30日に行われた産業構造審議会第17回知的財産政策部会において、「出願人の事業戦略・知財戦略にこたえるような審査タイミングを選択できる制度について、出願人のニーズと第三者の監視負担のバランスにも留意しつつ、諸外国の制度等を踏まえて検討することが必要」、と指摘されている。

 我が国の国際競争力を高めていくためには、ユーザーの知財戦略に基づいて適切なタイミングで権利を取得できるような制度が求められるが、そのためには現行の早期審査を含めた審査着手のタイミングを選択できる制度全体の在り方について、その長所短所、国際的な動向や制度調和、さらには社会経済厚生などの種々の観点から検討をする必要がある。

 本調査研究では、適切なタイミングでの権利取得に関する、我が国ユーザーの具体的なニーズの確認、諸外国における類似の制度の調査を行い、我が国における審査着手のタイミングを選択可能とする制度の在り方について検討を行った。

1万字程度の要約についてはこちらをご覧下さい。(259KB)

▲このページの先頭へ 

7. 特許性判断におけるクレーム解釈に関する調査研究

 本調査研究は、特許性判断におけるクレーム解釈について日米欧中韓の五ヵ国を対象として、法令・審査基準を中心に、日本の運用が他国との比較により改善すべき点があるのかを、海外知財庁及び特許事務所並びに日本の企業及び代理人を対象として国内外ヒアリング調査及び海外質問票調査を実施した。

 主なテーマとして、①明細書中における用語の定義の参酌、②機能・特性等により表現されたクレーム、③用途クレーム、④プロダクトバイプロセスクレーム、⑤サブコンビネーションクレームを調査した。

 日本の運用状況を調査し、主要国のクレームの解釈方法及びその考え方や背景についての比較検討を通じて、日本におけるクレームの解釈方法を評価・検討した。

 調査結果を踏まえて、日本におけるクレームの解釈方法を評価し、その運用改善や国際的な制度調和の議論における日本の立場を定めるのに資するための基礎資料を作成することを目的として本調査研究を行った。

1万字程度の要約についてはこちらをご覧下さい。(240KB)

▲このページの先頭へ 

8. 我が国の知財人材育成制度の現状に関する調査研究

 「知的財産推進計画2011」は、グローバル・ネットワーク時代の到来を受け、我が国の「知財システム」の競争力を強化するため、時代のニーズに即した「知財人財育成プラン」を確立し、速やかに実施する必要があるとした。これに基づき、知的財産による競争力強化・国際標準化専門調査会において、「知財人財育成プラン」がとりまとめられた。「知的財産推進計画2012」は、「知財人財育成プラン」を強力に実行することとした。

 本調査研究では、「知財人財育成プラン」の実現のために、現在我が国においてどのような機関、団体・大学がどのような知財人材育成カリキュラムを有しているか現状把握を行い、新たな知的財産人材育成制度を実現するための基礎資料を作成した。

1万字程度の要約についてはこちらをご覧下さい。(244KB)

▲このページの先頭へ 

9. 我が国における産業財産権の出願行動等に起因する経済成長に関する分析調査
 

 特許制度など知的財産制度は、イノベーション活動を支える最も重要なインフラの一つであり、また、特許データは企業等の研究開発活動を測定する指標として非常に重要な役割を担っている。

 こうした中、本分析調査では、これまで蓄積してきた研究の成果を取り入れつつ、特許庁が実施する「知的財産活動調査」やPATSTAT・中国特許データベース等のデータベースを駆使して、我が国出願人における日本への特許出願件数と外国への特許出願件数の関係分析、審査着手までの期間が特許の審査結果及び安定性に与える影響、意匠制度と特許制度の補完的利用に関する分析、合弁企業による東アジア(日本以外)地域における特許出願の統計分析、無効審判における権利の安定性に関する分析、我が国審査請求件数の予測手法に関する検証、知的財産権と資金調達優位性に関する統計学的分析といった合計7つの実証分析を行った。また、知的財産活動調査の調査設計についての見直しに関する検討も行った。

1万字程度の要約についてはこちらをご覧下さい。(220KB)

 

▲このページの先頭へ 

【特許庁委託 知的財産国際権利化戦略推進事業】

10. 知的財産国際権利化戦略推進事業

 本事業では、我が国及び諸外国企業の最新の知財戦略実態を調査・分析するため、5つのテーマ(知財資源の調達戦略、知的財産の権利化デザイン戦略、知的財産の権利化実行戦略、知財創造人財の確保・管理戦略、国際標準化戦略と融合した知財戦略)で調査研究を行い、国内及び海外の企業、特許事務所等へのアンケート調査、国内及び海外の企業、特許事務所等へのヒアリング調査を実施し、さらに22か所の国・地域において海外情報拠点を設け現地情報の収集を実施した。そして、企業の経営層及び知財担当者、弁理士、弁護士並びに学識経験者から構成される委員会では、アンケート及びヒアリング調査結果並びに海外情報拠点からの報告を踏まえた上で、我が国企業の国際競争力を強化するための知財戦略の在り方を考察し、提言を取りまとめた。

1万字程度の要約についてはこちらをご覧下さい。(643KB)

▲このページの先頭へ 

【特許庁委託産業財産権推進事業】

11. 日本における特許活用及び産業界への技術移転の促進の経験と、 日本とベトナムの大学及び産業界における特許活用のための 適切な仕組みの整備
ニュエン・ティ・フォン
平成24年度招へい研究者
ベトナム・科学技術省・特許活用機構Deputy Director

 ベトナムの目標は、2020年までに工業国となることである。この目標を達成するために、ベトナムは産業界及び研究機関のイノベーションを促進し、新たにより価値の高い市場を創設する必要がある。そのためには、革新的アイデアの創造、保護及び活用が極めて重要となる。ベトナム政府は、現在まで、知的財産を創造、保護及び活用するための知的財産推進戦略を持ち合わせていなかった。特にベトナムの企業や研究機関のほとんどが十分に特許を活用できていない。このため、ベトナム製品は、世界市場はおろか、アジアの他の国の製品とも競争できないでいる。日本は革新的アイデアを創造、保護、活用するための政策及び施策を立案・実施し、そこから豊富な経験や教訓を得ている。また日本の知財制度は世界で最も充実した制度の一つに数えられる。したがって、本研究は、日本の知的財産及び特許の活用、産業界への技術の移転やイノベーションの推進方法について概観することを目的とする。日本の経験から、ベトナムの科学技術省(MOST)やその下部組織機関の国家特許技術活用機構(NIPTEX)は、この研究結果をガイドラインや参考として利用して、近い将来のベトナムの知財戦略を策定し、何らかの適切な施 策やプロジェクトを実施して、ベトナムにおける知的財産や特許の利用を促進することができる。ベトナムと日本は異なる背景を持つが、日本の経験をベトナムに役立てたいと思っている。

1万字程度の要約についてはこちらをご覧下さい。(354KB)

▲このページの先頭へ 

12. 商標はなぜ保護されるのか? 欧州と日本における商標の機能の問題についての比較研究
ヤン・アンリ・バジア
平成24年度招へい研究者
フランス・オルレアン大学准教授、フランス・ストラスブール大学国際知的財産研究センター(CEIPI)講師、法学博士

 欧州では、商標の機能に関する論点に関しては、欧州司法裁判所の判例の展開が不可欠である。商標が出所保証機能を有しているというのが伝統的な考え方である。しかし、2009年以降、欧州司法裁判所は品質機能、広告宣伝 機能、投資機能及び情報伝達機能という四つの新しい機能を認めるようになった。欧州司法裁判所の裁判官によるこの新たなアプローチの結果、商標機能理論の意義の理解が困難となっている。この問題点に対する理解を深めるためには、外国(とくに日本)における商標機能の論点との比較を行うのが興味深い。日本の商標制度上も、出所表示機能、品質保証機能及び広告宣伝機能という三つの法的機能が認められている。このため、日本・欧州の双方に関する横断的アプローチと商標の使用の検討を通じて、これらのシステムがどのような点で相互の経験を参考にすべきか、把握することができるだろう。

1万字程度の要約についてはこちらをご覧下さい。(334KB)

▲このページの先頭へ 

13. 商標権侵害に係るインターネット・サービス・プロバイダの責任: 欧州・フランス・ドイツ・日本の比較法的見地から
畑中 麻子
平成24年度招へい研究者
フランス・ストラスブール大学国際知的財産センター(CEIPI)博士課程在籍

 日本の警察当局が2011年に押収した高級ブランド製品模倣品の53.4%がインターネット上で販売されたものである。インターネット・サービス・プロバイダと高級ブランドの商標権者との間の紛争が法廷で争われている欧州における状況と異なり、日本では、この二者間は様々な方法で協調的パートナーシップを構築することに成功しているが、このような日本での運用については、成功モデルとして世界で十分な注意が払われていない。国際社会にお いてもこの問題は解決が待たれている。なぜなら、WIPOの常設委員会での議論や、模倣品海賊版拡散防止条約において、この点については国際的な合意は得られなかったためである。したがって、インターネットが国境を越えた性質を伴うものであるにもかかわらず、同問題の解決は国内法にゆだねられた。以上を踏まえ、この研究の主目的は、欧州と日本における比較法研究を通じて商標権侵害に係るインターネット・サービス・プロバイダの責任に関して適切な解決方法を見いだすことにある。そのためには、次の諸問題について究明することが課題となる。すなわち、インターネット・サービス・プロバイダはサイト上での商標の使用についてどの程度の監視義務を負うのか、 またどのようにしてその注意義務を法的に担保するのか、ということである。

1万字程度の要約についてはこちらをご覧下さい。(359KB)

▲このページの先頭へ 

14. デザイン-模倣品に対して過小評価されている対抗手段
ステラ・パドバーニ
平成24年度招へい研究者
イタリア・Jacobacci & Partnersミラノ事務所弁護士

 意匠は、産業製品の外観を保護する知的財産権であり、イノベーションを奨励し、市場の競争力を高め、社会における基本的な役割を果たしている。意匠権は、産業製品に価値を付加し、新しい魅力的な商品の消費者の需要を喚起し、できるだけ多くの訴求する商品の需要を満たすとともに、価格で差別化された産業製品の中からの選択の可能性を広げる様々な類似製品の品揃えを可能にするので、企業にとって不可欠である。意匠権は、あらゆる第三者をその商業的利用から排除する絶対的な排他権である。したがって、意匠権は、製品の形状の模倣から効果的に保護するためのふさわしいツールでなければならない。しかしながら、この権利は、議論の余地のない自由の原則 に基づく競争に制限を与える。産業製品の形状における模倣の自由と排他的権利のバランスは、グローバル化した市場の健全な成長と、関係する全ての利益の保護のために不可欠である。したがって、排他的な意匠権を確立する要件、また、保護の範囲を決定する要件を理解することが不可欠である。欧州連合の意匠法と日本の意匠法は、意匠権の保護、とりわけその執行を可能にするのに異なる要件を定めているように思える。両法域は、しかし、それぞれの意匠制度によって規定される要件を明らかにまだ決定していないように思える。この研究の目的は、問題を含む側面があるようならば、それに注目し、意匠に認識されている保護が模倣品に対して十分であるかどうかの確認を試みながら、欧州連合と日本における意匠権の保護の範囲がどのように確立されているかを比較分析することである。

1万字程度の要約についてはこちらをご覧下さい。(307KB)

▲このページの先頭へ 

15. 中国と日本における知的財産をめぐる紛争解決のための裁判制度とその仕組みに関する比較研究 ―中国における知的財産専門裁判所の創設
ヤン・ガンミン
平成24年度招へい研究者
中国・重慶第五中級人民法院・知識産権審判廷廷長

 現在、知的財産専門裁判所を創設することは世界の潮流になっている。この観点からすると、中国の「三審合一」モデルは、経過措置に過ぎない。このモデルは、一般管轄権を有する裁判所内に以前であればそれぞれ民事法廷、 行政法廷又は刑事法廷で審理されていたであろう知的財産権に関する事件を審理する専門の法廷を設置するものである。これに対して、完全に統合された特徴を有する「専門裁判所」こそ中国の知的財産権に関する裁判制度を再編する上で最善の選択肢と思われる。知的財産法をめぐる新たな組織及び戦略に係る状況において、中国は知的財産権訴訟の特徴を十分に考慮し、世界各国の貴重な成功体験から多くを学ぶべきである。そのため、日本を含む主要国・地域における様々な知的財産裁判所に関する比較研究が司法の統一及び効率化の実現に資することは間違いない。この比較を通して、中国は自国の知的財産紛争の裁判制度を改善する上で最も有益な、発展した理論及び高度な法律を獲得するべきである。もちろん、既存の知的財産権に係る司法資源を統合する際には、中国は国内の状況に注意を払うべきである。したがって、中国は、知的財産権に関する司法制度の改正及び改革を推進するために、 知的財産権に関する民事、行政及び刑事事件に対して管轄権を有し、中国的な特徴を持つ専門裁判所を創設するべきである。

1万字程度の要約についてはこちらをご覧下さい。(398KB)

▲このページの先頭へ 

16. 地域ブランド育成における商標法の在り方に関する考察
井手李咲
(一財)知的財産研究所 平成24年度特別研究員

 地域ブランド育成に関する制度設計は、国内における地域振興の政策として重要であると同時に、国際的な貿易交渉の場面において重要な事項となっている。韓国は、米国・欧州とのFTA交渉を経て、商標法及び農水産物品質管理法の改正を行い、地理的表示に関する二種類の制度を導入した。韓国が導入した地理的表示保護制度が、日本の地域団体商標制度とどのような異同が存在するのかについて解明することは、これから日本が貿易交渉の場で直面するであろう地理的表示保護制度の導入に関する論点整理を行い、日本の状況に適した制度設計を行う上で重要な意味を持つ。この研究では、韓国の米欧間のFTAの内容及び交渉による国内法の法改正を研究材料として、日本の地域ブランド育成に関する現行制度と比較・検討し、日本における地域ブランドを育成する最適な制度設計について、主に商標法の在り方という側面から検討することを目的とする。

1万字程度の要約については、こちらをご覧下さい。(510KB)

▲このページの先頭へ 

17. 特許制度を補完する望ましい特許買取り制度の研究
稲見裕介
(一財)知的財産研究所 平成24年度特別研究員

 特許制度は、発明者に排他独占権を与えるため、競争を阻害し、社会的に非効率な状態を生む。それにもかかわらず特許制度が維持されている理由の一つとして、技術革新の創出が挙げられる。特許制度によって発明者が保護されることを 明確にすることで、研究開発投資を促進させたいという狙いがある。しかし、特許制度が生む社会的に非効率な状態を放置しておくことは望ましいことではない。そこで 本研究では、特許制度を補完する仕組みを考え、特許制度が生む非効率の解消を試みたい。具体的には、特許買取りの仕組みを提案する。そして、どのような場合に、特許買取りの仕組みがあること によって、社会的に非効率な状態が改善されるか明らかにする。また、特許買取りの仕組みと企業の研究開発投資行動との関係についても議論する。

1万字程度の要約については、こちらをご覧下さい。(3,480KB)

▲このページの先頭へ 

18. 知的財産担保の準拠法に関する調査・研究
佐藤育己
(一財)知的財産研究所 平成24年度特別研究員

 この研究は、今日の国際私法上ブランクとなっている知財担保をめぐる準拠法の問題について、2010年に国連国際商取引法委員会が公表したいわゆるIPサプリメントを素材として、一考察を試みるものである。同サプリメントは、知財担保の渉外的側面に関する規律の在り方について、現行の知財法制が基盤としている属地主義への連結に疑義を呈した上で、動産・債権担保の第三者に対する効力の準拠法として近時急速に支持を拡大している米国法由来の債務者所在地法の中に解決を見いだそうとしている。この研究では、サプリメントで示された抵触法ルールを、我が国への導入の是非という政策的観点から考察する。これにより、効率的方法で知財ファイナンスを促進する上で不可欠となる国際的な法制度を探求する。

1万字程度の要約については、こちらをご覧下さい。(390KB)

▲このページの先頭へ 

19. 多様化する間接侵害に対応する解決法理の構築に向けた一考察
露木美幸
(一財)知的財産研究所 平成24年度特別研究員

 複数主体の特許権侵害においては、複数主体の各人が責任主体となり得るのかということが最大の課題である。たしかに、従来から、このような複数主体の関与する特許権侵害の問題に関して、間接侵害アプローチ(特許法101条適用)、共同侵害アプローチ、道具理論アプローチ、均等論アプローチ、管理支配論アプローチなどが存在する。しかし、どのアプローチであっても、各人を責任主体として構築するには、いまだ問題のある解決方法である。そこで、本稿では、これらの従来から存在するアプローチに加えて、民法の世界において醸成された、完全性利益(生命・健康・財産)に対する危殆化行為(行動の種類や態様に応じて他人の権利を危険にさらす行為)を行った者に対し、一定の責任を付与する法理-わが国の民法における不作為不法行為の法理(損害回避義務違反の法理、安全配慮義務の法理)及びドイツ民法によるVerkehrspflicht(社会生活上の義務)の法理-を特許権侵害に応用した「危険回避義務違反アプローチ」を適用することによる解決を提案する。本法理の適用により、複数主体の各人が責任主体となり得ることから、従来の法理では救済しきれなかった、複数主体による特許権侵害における特許権者の救済を実現することが可能となる。

1万字程度の要約については、こちらをご覧下さい。(330KB)

▲このページの先頭へ 

20. 国際社会における近代日本の産業財産権政策 -パリ条約加盟と日清・日露戦争-
靏岡聡史
(一財)知的財産研究所 平成24年度特別研究員

 明治27(1894)年7月、日本は、いわゆる不平等条約の改正の結果、パリ条約に加盟することになり、いよいよ国際社会の一員となることになった。しかし、その後、日本は、産業財産権分野において、どのような過程をたどったのであろうか。実は、これ以降、日本と欧米諸国との間で、産業財産権に関する問題が多発し、日本はこの対応に追われることになったのである。
 この研究では、日本のパリ条約加盟決定から日清・日露戦争を経て、その国際的立場を大きく変化させた日本と、欧米諸国(とりわけ英国、独国)との間で、産業財産権に関して、どのような問題が生じ、どのようにして外交交渉を通じて問題解決 が図られようとしていたのかについて、日英独の史料に基づいて分析し、国際社会において、日本がどのように国益追求と国際協調との制度調和・制度整備を図ろうとしていたのかについて明らかにする。

1万字程度の要約については、こちらをご覧下さい。(300KB)

▲このページの先頭へ 

21. 進歩性要件による特許の「質」のコントロールの意義と手法
前田健
(一財)知的財産研究所 平成24年度在外研究員

 進歩性要件(非自明性要件)は特許の質を決定するもっとも重要な要件である。本報告は、米国における非自明性要件に関する議論を、特許の質のコントロールという観点から概観し、日本法に対する示唆を導こうとするものである。本報告は、非自明性要件をめぐる議論を、実体的な判断基準に関する議論と手続的な制度の整備に関する議論との二つの視点から複眼的に検討している。実体的な判断は、米国の非自明性判断が最近の最高裁判決以来変化しており、最近の知財高裁が進歩性判断の傾向を変化させている日本と近接してきている。手続面では、米国は法改正により多様な制度を用意し多様なニーズに応えつつ特許の質を確保しようと努力しているのに対し、日本は 万能な無効審判を用意することにより問題を抑えるという方策をとっている。手続面については日米の差は大きいが、それぞれが得失を有することに留意すべきである。

1万字程度の要約については、こちらをご覧下さい。(341KB)

▲このページの先頭へ 

22. 産業の発展に寄与する効率的な特許審査プロセスの在り方に関する研究
山内勇
(一財)知的財産研究所 平成24年度在外研究員

 この研究では、我が国における特許審査プロセスに関連する制度改正や国際的な審査協力が、出願人の権利化行動や審査効率に与える影響を実証的に分析した。
近年、発明は複雑化・高度化しつつあり、また、出願人の早期権利化ニーズも高まってきている。分析結果によれば、これら発明の複雑化や早期権利化ニーズの上昇は、出願人と審査官とのコミュニケーションの必要性を高め、審査期間を長期化させる効果があることが分かった。そうした中、早期審査制度は、早期権利化を実現する政策ツールとして重要であり、また、質の高い発明に制度が利用されていることも明らかとなった。他方で、審査請求期間の短縮は、権利確定を早めたものの、出願人による発明の見極めを困難にすることで、特許の質を低下させた可能性が示された。こうした特許の質の低下を緩和する手段として、料金体系が有効に機能していることも、本研究の分析から明らかとなった。さらに、本研究では、審査効率を向上させる上で、他国特許庁のサーチ結果を利用することも効果が大きいことが示された。

1万字程度の要約については、こちらをご覧下さい。(266KB)

▲このページの先頭へ