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平成25年度調査研究の概要

【特許庁産業財産権制度問題調査研究等】 

特許請求の範囲に係る課金制度と記載要件の在り方に関する調査研究

 経済のグローバル化に伴い、同一発明を複数国へ特許出願するケースが増えている。しかし、特許請求の範囲の記載要件は国ごとに異なるため、ユーザーは、各国ごとの要件に応じた異なる請求項を作成する必要があると考えられ、特許請求の範囲に係る課金制度も国ごとに異なるため、ユーザーが費用的に許容できる請求項の数も国ごとに異なり得る。結果として、グローバルに特許を取得するための手続が煩雑化し、コストが増大している可能性が高い。
 本調査研究は、特許請求の範囲に係る記載要件・課金制度の国際調和に対するユーザーのニーズを把握するとともに、諸外国の制度を調査し、どのように国際調和を進めていくべきかを検討するための基礎資料を作成することを目的として行った。具体的には、国内企業・大学・特許事務所等に対するアンケート調査及びヒアリング調査、海外知的財産庁と海外企業等に対するヒアリング調査を実施し、これらの調査結果を基に調査研究委員会で検討を行った。

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企業等における特許法35条の制度運用に係る課題及びその解決方法に関する調査研究

 職務発明制度は、平成16年に特許法第35条が改正され、使用者にとって対価額の予測可能性を高めるとともに、従業者の発明評価に対する納得感を高める法制度とされた。

 しかしながら、法改正後も「相当の対価」請求権が依然として経営上のリスクとなっているという、特許法第35条の再改正を主張する声がある。他方、法改正後の裁判例がいまだ見出されず、当面の間は状況を見守るべきといった、職務発明制度の見直しについて否定的な意見も存在するなど、その必要性について意見が分かれている。

 このような背景のもと、本調査研究では、海外情報拠点調査、企業向けのアンケート調査を実施することにより、国内外の職務発明制度の運用の実態を明らかにした。また、委員会において、これらの収集された情報について検討を加えるとともに、各委員からも、知的財産権法、労働法、民法、企業における知財実務、研究者の処遇や意識などの観点から、職務発明の在り方の検討に資する様々な指摘や参考情報を得た。

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権利行使態様の多様化を踏まえた特許権の効力の在り方に関する調査研究

 オープンイノベーションの進展、特許権者の多様化、経済のグローバル化等、特許を取り巻く環境が大きく変化している今日にあって、イノベーションの促進を阻害することのないよう必要に応じ、差止請求権の行使を制限すべきとの声がある。具体的には、いわゆるパテントトロールによる差止請求権の行使、製品に対する寄与度の低い特許に基づく差止請求権の行使、標準必須特許に基づく差止請求権の行使である。近年、米国においてeBay判決の影響を受けて差止めを認めない判決の増加し、国内では標準規格必須特許に基づく差止請求に関する司法の場での判断がでるなど、国内外において差止請求権に関する司法の判断が動いている。

 そこで、国内の最新情報を収集するとともに、我が国と関係の深い諸外国の差止請求権に関連した法制度や裁判例、国際的な議論の状況等について調査を行い、主に差止請求権の制限の在り方を検討するための基礎資料作成をするべく本調査研究を行った。

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特許登録令等における補正等をはじめとした手続制度の在り方に関する調査研究

 特許権は、排他的な支配権であり、その権利の変動等については第三者の不測の損害を未然に防止するため、登録制度を採用して、公示している。登録について規定している特許登録令は、制定以来抜本的な改正はなされておらず、手続の補正については規定がない。これについて、ユーザーからは、補正制度導入の要望があり、また、制定時に参考とした不動産登記法においては、一部の手続について補正が導入されている。

 さらに、我が国においては、特許法条約(PLT:Patent Law Treaty)への加盟を視野に検討が進められており、この特許法条約規則では、一部の申請手続における手続不備についての補正等を一定期間許容することが求められている。

 そこで、現行の我が国産業財産権登録制度において補正ができないことの問題点、実態、ユーザーニーズの把握、さらには、不動産登記法、及び外国の産業財産権登録制度における補正等の手続を調査分析することで、特許登録令における補正制度導入に係る検討の基礎資料を作成すべく本調査研究を行った。

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独占的ライセンス制度の在り方に関する調査研究

 現行法下、特許権等の産業財産権においては、ライセンシーを単一主体に限定する独占的なライセンスの形態として、専用実施権(専用使用権)及び独占的通常実施権(独占的通常使用権)がある。このうち、法定の専用実施権(専用使用権)は、登録が効力発生要件であるが、平成20年法改正により「対価の額」等が登録事項から除かれた。

 しかし、その利用率が低く、専用実施権(特許)の登録数は年間300件前後に留まっている。また、平成23年法改正により、通常実施権に当然対抗制度が導入されたが、独占的通常実施権について、ライセンシーは、第三者に対して当該特許権の独占的実施を主張することができず、無権原で実施している侵害者に対してさえ、直接侵害行為の差止めを求めることができないという不都合がある。

 そこで、現行法下における独占的なライセンスに関する制度の問題点を解消する新たな制度創設の必要性を検討するための基礎資料作成をするべく本調査研究を行った。

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侵害訴訟等における特許の安定性に資する特許制度・運用に関する調査研究

 我が国産業の競争力強化のため、特許権の紛争処理機能について、知的財産紛争解決システム全体が適切に機能しているかどうか検証し、より魅力ある制度となるように取り組みを進めることが2013年10月7日閣議決定「知的財産政策に関する基本方針」で、大きな目標として掲げられている。そして、世界最先端の知財システムを実現するためには、裾野を拡げる(中小企業・ベンチャーに対する重点的な支援)、イノベーションの促進(技術・研究開発を資産として活かす戦略的な支援)、グローバルにも強い(国内外に通用する安定した権利の設定)という観点からのシステムの改善が重要である。

 一方で、我が国においては、特許権侵害訴訟の件数が少なく、侵害訴訟での特許権者の勝訴率が欧米に比べて低い。この原因の一つとして、キルビー最高裁判決、特許法第104条の3(2005年4月1日施行)により、侵害訴訟において無効の抗弁が認められるようになり、侵害訴訟における特許権者の負担が増大していることが挙げられている。また、この結果として、特許権者が権利活用を十分に行えなくなり、それが企業の特許出願への意欲を減退させ、イノベーションの促進を阻害しているおそれがある。

 本調査研究では、侵害訴訟等における特許の安定性に資する特許制度・運用に関する、我が国ユーザーの具体的なニーズの確認、諸外国における類似の制度の調査を行い、我が国の特許権侵害訴訟における特許権の安定性の判断制度の在り方について検討を行った。

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各国知的財産関連法令TRIPS協定整合性分析調査『国際知財制度研究会』

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我が国における技術革新の加速化に向けた産業財産権の出願行動等に関する分析調査

 知的財産制度はイノベーション活動を支える最も重要な制度インフラの一つであり、イノベーション促進のためにその不断の改善努力が要請されている。また、特許データなど知的財産活動に関するデータは企業等の研究開発活動やイノベーション活動を分析する上で不可欠なデータとなっている。

 本分析調査では、これまで蓄積してきた研究の成果を取り入れつつ、特許データベースや特許庁が実施する「知的財産活動調査」等を駆使して、我が国における、発明の単一性要件の変更の影響や新規性喪失の例外規定の影響、特許査定率上昇と拒絶理由との関係、意匠制度と商標制度の相互補完関係、主要国における特許文献の技術分野別の分布状況、東アジア地域における審判関連情報に関する6つの実証分析を行った。さらに、実証研究の基盤となる知的財産活動調査のサンプリング手法に関する検討や、海外における知的財産制度の実証研究に関する動向調査も行った。

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【特許庁委託 知的財産国際権利化戦略推進事業】

平成25年度知的財産国際権利化戦略推進事業

 経済のグローバル化や新興国市場の拡大等を背景に、我が国企業のグローバル展開も進展している中で、自社事業防御のために数多く権利化するような従来型の知財マネジメントのみでは企業の競争力の維持が困難となってきている。   一方、グローバル市場における有力企業は、他社からの知財導入、市場拡大のための標準規格策定、事業起点からの産業財産権以外の知的財産等も駆使した差別化や参入障壁構築等、様々な知財マネジメントを行っており、今後の我が国企業の知財マネジメントの高度化が企業の競争力強化のために果たす役割はますます重要であり、それらを調査分析することは、企業の国際競争力強化のために不可欠な環境にある。

 本稿は、上記の環境の中、グローバル知財戦略に関して、技術分野毎に、企業学界、法曹界等の有識者により構成された委員会の中で、調査分析、検討を行った結果の概要をまとめたものである。

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【特許庁委託 産業財産権研究推進事業】

FRAND宣言に基づくライセンス供与 -技術標準に対する日本のアプローチと世界的な新たな傾向の比較-
キャロル・マリンズ・ヘイズ
平成25年度招へい研究者
イリノイ大学法学部研究員

 標準化団体は、しばしば特許技術をライセンス供与する際には、公平、合理的かつ非差別的(FRAND)条件を遵守することを加入者に義務づけている。FRAND宣言は、契約だとみなされる場合がある。しかし、標準の実施者を利するような宣言の行使には、一般に実施者を契約に基づく第三受益者だと認めることが必要になるが、多くの国は第三受益者に契約を執行する完全な権利を与えることにちゅうちょすると考えられる。FRAND宣言の回避を試みることは、反競争的とみなされることがあるが、どのような場合にそのような行為が起訴し得るほど十分に競争制限的とされるのかは、法域によって異なる。標準による公共の利益と、ホールド・アップによってこの利益が損なわれうる可能性とから、特許権が濫用されているか否かをどのように決定するのかという問題が提起される。

 技術標準が地球的に有効なものとなっているので、私の研究では、これらの問題を日本の法律の適用に注目しつつ、国際的な視点から検討する。このテーマに関する様々な視点を得るために、日本において、関連する分野で実務を行っている産業界の専門家へのインタビューも実施した。

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知的財産法の調和が各国の国際私法規則の多様性にもたらす良い影響
ペトロ・コシィーク
平成25年度招へい研究者
ウスチー・ナド・ラベム地方裁判所判事

 知的財産は法律の一分野であり、これについて定める国際条約も多い。中でも重要なのがTRIPS協定である。この条約に従い、各締約国は、他の締約国の国民を少なくとも自国民以上に扱わなければならない。

 現在、一定の国際的側面を有する特許権侵害が急増している。いわゆる「特許戦争」と呼ばれるようなケースが世界中でますます一般化している。これらの紛争を規律する法律は、通常、当事者が選択するか、又はローマⅠ規則及びローマⅡ規則として知られるEU規則に従って決定される。

 本稿の狙いは、単一特許裁判所を準備するために直接役立つ問題に焦点を当てつつ、日本、EPO加盟諸国及び欧州連合の、国際的側面を備えた特許判決を比較することにある。本稿では、国際的側面を有する法執行の分析に焦点を当てる。知的財産事件の結果に大きな影響を与え得る準拠法の選択ルールを分析する。また、極めてよく引用される日本の知的財産判決も分析する。本稿の一部では、日本における国際的要素を備えた権利の消尽の問題に焦点を当て、この問題を欧州連合における判決及び理論と比較する。本稿において、知的財産法のハーモナイゼーションが、民事及び商事に関する国際裁判管轄及び外国判決承認執行に関する国際条約のハーグ国際私法会議検討プロジェクト(最近の成果には、新法に関する具体的な提案が含まれている)に対する各国の多様な国内国際私法に積極的な影響を及ぼす点について指摘しておきたい。

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バイオインフォマティクスと特許性の問題
ラメッシュ・ビクラム・カルキィ
平成25年度招へい研究者
カナダ・ウェスタンオンタリオ大学ポスドク研究員
 
 

 バイオインフォマティクスは、バイオテクノロジーの重要な分野である。バイオインフォマティクスの進歩により、従来の実験室ベースのバイオテクノロジーがコンピュータベースの科学へと変容した。バイオインフォマティクスによって、従来の実験室ベースのバイオテクノロジーの範囲をはるかに超えた新しい発明をもたらすことが可能である。バイオインフォマティクスは、バイオテクノロジー分野に多くの重要な変化をもたらした。それは、重要な発明の領域であり、人間の健康や生命等に直接影響を与えるものである。本研究では、バイオインフォマティクス材料の特許に関連する問題を取り上げる。異なる国では異なるアプローチを取っている。多くの国では、まだこの課題に取り組んですらいない。バイオインフォマティクス分野の研究、投資、開発が更に進むか否かは、特許による保護を受けることができるかどうかにかかっている。本研究では、バイオインフォマティクス材料、すなわち、生物学的配列、配列データベース、ソフトウェアの特許性の側面を批判的に検討する。日本、米国、欧州(EU)、カナダ、オーストラリアの関連する特許法や運用について調査し、バイオインフォマティクスの発明がこれらの法域において特許により保護されているかどうか、法域間でのバイオインフォマティクス材料の特許性の側面の類似点や相違点、オープンソース政策との相互関係、及びそれらの制度調和の問題について分析する。

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知的財産権訴訟における国際裁判管轄再考 -新たな裁判例解釈の下での予測可能性の確保-
草間裕子
(一財)知的財産研究所 平成25年度特別研究員

 この研究では、多様化する外国知的財産権の侵害訴訟を我が国の裁判所で審理できるかといういわゆる国際裁判管轄の問題を対象とし、特には外国対応特許権侵害における我が国の訴訟可能性を、判例の分析を通して再考する。裁判例の分析については、まず第一に、知的財産権訴訟とそれ以外の財産関係訴訟における裁判例の判断の特徴を示し、その理由につき検討を行う。その上で、第二に、国際裁判管轄の判断と準拠法との関係に着目し、審理に外国法が適用されることの影響について紛争解決に係る当事者の予測可能性という観点から、比較法的な考察を加える。また、外国法の適用については、裁判所が担う外国法調査の手法につき、諸外国の制度設計を参照することで、同時に我が国における外国法調査制度の在り方を探求する。

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国際倒産処理手続における知的財産ライセンスの扱いに関する調査・研究
佐藤育己
(一財)知的財産研究所 平成25年度特別研究員

 我が国では平成23年改正特許法において通常実施権の当然対抗制度が導入された。この制度により、特許の譲渡や特許権者の倒産といった局面でのライセンシの保護が強化され、ライセンス契約を軸に展開される経済活動のための安定的基盤が整備された。そしてこの基盤の上で、オープンイノベーションの加速的な進展が期待される。ところが、現行の知的財産法制は属地主義を前提に成立している。そのため、例えばライセンスの対象に外国特許が含まれる場合や契約当事者の一方が外国会社である場合のように渉外性を伴う事案では、当然対抗制度の射程がどこまで及ぶのかという問題が生起する。つまり特許ライセンスの保護は、契約の準拠法、対象となる特許、当事者の国籍等に左右され、その組合せ如何で結論が異なり得る。このような問題意識に基づいて、この研究では国際倒産の局面に焦点を当て、通常実施権が保護を受ける形態と程度を明らかにし、そうした保護から派生し得る影響を考察する。

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特許が産業に与える経済効果の計量分析 -日本の自動車産業を例に-
谷口みゆき
(一財)知的財産研究所 平成25年度特別研究員

 この研究は、日本企業の特許は事業収益に貢献していないのではないかという議論に、経済学の視点から一考察を投じるものである。特に、ハイブリッド自動車に使用されるエコ関連技術での特許に焦点を当て、特許が自動車産業に与える経済効果を検証した。自動車には要素技術が多いため、ひとつの企業が製品に関わる全ての特許を保有することは難しく、特許の収益性は低いと想定できる。しかし、エコ関連技術での特許は、一部の日本企業が独占的に保有しているため、日本の事業収益に貢献しうると想定できる。分析の結果、電気モーター技術での国際出願は、自動車の生産コストの抑制に繋がるが、現状では電気モーターを動力とする自動車の普及率は低く、自動車産業の収益には貢献していないことを見出した。排ガス規制が厳しい日本やドイツの新車市場をみても、ハイブリッド自動車のシェアは小さく、ハイブリッド自動車の制御技術に関する特許は、自動車メーカーの新車販売台数の増加には貢献していないことを見出した。

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近代日本の産業財産権と条約改正 -外交と内政-
靏岡聡史
(一財)知的財産研究所 平成25年度特別研究員

 我が国は、明治32(1899)年、パリ条約・ベルヌ条約に加盟することになったが、この過程について、近年、主に外交面から明らかにされつつある。

 しかし、依然として、この過程において、日本や欧米諸国は、産業財産権に関して、互いにどのような国内問題を抱えていたのかという内政問題については、余り明らかにされてこなかった。

 そこで、この研究では、明治32(1899)年の日本のパリ条約・ベルヌ条約への加盟に至る過程において、日本と欧米諸国―とりわけ、条約改正交渉において主導的な役割を果たした英国と独国―との間に産業財産権をめぐって、どのような問題が生じていたのか、外交と内政の両面から明らかにし、近代日本の産業財産権について検証することを目的とする。

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知的財産制度と企業の研究開発 -人材移動に伴う技術流出の実証分析-
藤原綾乃
(一財)知的財産研究所 平成24年度特別研究員

 本研究は、人材の移動に着目し、人材移動に伴う技術流出対策に適した知的財産制度につき、政策的インプリケーションを得ることを目的とする研究である。 具体的には、日本企業から新興国企業へと移動した人材に着目し、どのような特性を持つ研究者が韓国・中国等のアジア企業へと移動する傾向があるのかについて、キャリアや研究分野、ネットワーク指標等の観点から分析を行った。さらに、日本企業からアジア企業へと移動した研究者の中で、どのような特性を持つ研究者がアジア企業のイノベーションに貢献したのかという点を分析するため、パネルデータを用いた分析を行った。分析の結果、移動した日本人研究者は、移動しなかった研究者と比較して優秀な傾向があり、かつ情報の集積する地位にある人が多いことが明らかになった。また、若手で特定分野に特化した研究経験を持つ研究者はアジア企業において、量で測ったイノベーションに貢献した一方、ベテランで幅広い技術分野の経験を有する研究者は質で測ったイノベーションに貢献してきたことが明らかになった。

 これらの結果から、韓国・台湾等の新興国企業は、日本企業出身者に対して、大企業はその情報集積性を期待し、中規模企業は技術・知識を期待して、自社に必要な日本人人材を戦略的に採用しているのではないかと推測することかできる。日本企業の有する重要な技術を守るという観点からは、優秀な人材の流出を防ぐため、報奨制度等の発明者インセンティブに対する対策・制度改革が求められる。また、今後、特許化だけではなく、秘匿化という知財戦略も企業にとって重要な意味を帯びてくるという観点からは、営業秘密等を保護するための政策の充実が期待される。

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産業財産権の移転・ライセンスに関する契約の準拠法
山口 敦子
(一財)知的財産研究所 平成25年度特別研究員

 我が国の「法の適用に関する通則法」(以下、通則法)7条以下にある法律行為の準拠法ルールは、産業財産権の移転・ライセンスに関する契約(債権行為)にも適用される。このうち、当事者による準拠法選択がない場合のルール、特に、特徴的給付の理論に基づく8条2項を、産業財産権に関する契約の観点からどのように解釈するのかということについて、判決や議論がいまだ十分に蓄積されておらず、明らかでない。そこで、国際的な取引の安全を確保するために、上記ルールの解釈を明らかにする。その方法として、まずは、通則法と同様、特徴的給付の理論に基づく準拠法ルールを有するローマ条約とローマⅠ規則の下での議論を考察する。このほか、立法論も視野に入れて、四つの研究グループがそれぞれ作成した、知的財産(権)に関する国際私法原則及び立法提案の比較考察も行う。これらの考察を踏まえて、我が国の上記準拠法ルールについて、私見を述べる。

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進歩性要件の機能から見た裁判例の整理と実証分析
前田健
(一財)知的財産研究所 平成25年度在外研究員

 進歩性要件は最も重要な特許要件の1つである。本研究ではまず、我が国では十分研究されてこなかった進歩性要件の機能を明らかにし、実務的に用いられている判断規範を理論的に再整理した。本研究の分析によれば、進歩性要件は、発明の創作の技術的困難性を測ることで、開発費用が低く保護費用の高い発明を振るい落とし創作のインセンティブが必要な発明のみを保護するよう作用している。実務における進歩性の判断でも、その発明を既存の発明から作ろうと試みることが十分にあり得たといえるか、そこに成功の合理的期待があったかの2点が問題にされていると整理することが可能である。さらに本研究は、近年の知財高裁の裁判例の動向について統計的な分析を行い、米国との比較考察も行った。そこで、近年進歩性要件の認められやすさが劇的に変化したことと、その原因が判決の論理づけがより綿密になったたことにあることを明らかにした。この変化は米国の近年の裁判例の変化と興味深い対称を示している。

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EUと先進諸国とのFTAにおける知的財産戦略とその政治過程
西村もも子
(一財)知的財産研究所 平成25年度在外研究員

 近年、世界貿易機関(WTO)における多国間交渉が停滞する中で、各国は貿易交渉の軸足を自由貿易協定(FTA/EPA)に移しつつある。その中で、それまでは多国間制度の構築を優先させてきた欧州連合(EU)までもが、2000年代後半以降、FTAの締結に積極的になっており、韓国やシンガポールといったアジアの成長市場のみならず、カナダ、米国、日本といった主要先進国とのFTA締結に向けて交渉を進めている。これに合わせて、EUのFTAにおける知的財産権に関する規定内容も、従来のような相手国の発展度に合わせた緩やかなものから、地理的表示の保護範囲の拡大や保護品目の追加、医薬品提出データの保護期間の延長、 エンフォースメントの強化など、TRIPs協定の保護基準を上回るものとなっている。なぜ、EUは近年、他の先進諸国とのFTAを通して、知的財産権の国際的な保護強化に積極的になっているのだろうか。この研究では、EUのFTAにおける知的財産権の保護政策の変化とその政治的要因を分析する。

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