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平成26年度調査研究の概要

【特許庁産業財産権制度問題調査研究等】 

特許・実用新案審査基準の理解を深める参考資料としての裁判例に関する調査研究

 特許・実用新案審査基準(以下、審査基準)には、審査実務に関する基本的な考え方を深く理解する上で有用な裁判例が多数掲載されているが、知的財産高等裁判所の設立以降の裁判例の蓄積にも十分対応できていない。
 また、審査基準で示された審査実務の運用に係る観点に特化して裁判例を収集し、判決の射程や判示事項を分析した裁判例集はほとんどないと考えられる。
 本調査研究では、審査基準に付随して提示することが適切な裁判例を抽出し、その判決の射程及び判示事項を分析し、さらに、判示事項等に基づく裁判例の分類まで行った。また、審査基準の補助的な資料としての活用を可能とするべく、最終的な成果物に含まれる裁判例集の作成過程に弁護士が関与することにより、裁判例の取捨選択における公平性及び適正性を担保した。上記から審査基準の見直しを進める際の基礎資料とすることを目的として、本調査研究を行った。

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画像デザインの開発手法の実態に関する調査研究

 近年、急速なIT化・デジタル化の進展やメディアの多様化等を背景に、画像デザインの重要性が従来よりも飛躍的に増している中で、画像デザインの開発手法は激しく変化していることが想定される。

 報告書「創造的なデザインの権利保護による我が国企業の国際展開支援について」では、意匠制度を支える運用面のインフラ整備の検討として、画像デザインに関する審査基準をより明確に示し、クリアランスの要否検討等を行う上で必要な情報を特許庁が提供すべきと指摘された。特に、創作非容易性の判断はいわゆる当業者を基準として行われることから、意匠審査基準における画像デザインの創作非容易性の判断基準をより明確にするため、画像デザインの開発実態を明らかにする必要がある。

 そこで、最新の画像デザインの開発手法等を調査し、実態に即したより明確な意匠審査基準の改訂を検討するための基礎的情報の収集を目的として、本調査研究を行った。

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出願公開制度に関する調査研究

 出願公開制度が我が国において昭和45年に導入されてから40年以上が経過し、出願審査請求から一次審査通知(FA)までの期間の大幅な短縮や、市場のグローバル化に伴う新興国の知財面における台頭等、知的財産制度をめぐる我が国の環境は変化してきている。

 また、企業等では、開発技術の秘匿化による競争力維持戦略や、公報等を経由した技術情報拡散による模倣等の懸念も上がっている。

 これらを鑑み、我が国企業等が厳しい競争下にある中で、我が国が引き続き産業競争力を維持し続けるため、出願公開制度が産業の発達への寄与を目的とする特許法において果たす役割という観点から、本制度の意義について整理する必要が生じてきている。

 そこで、我が国及び諸外国の出願公開制度及びそれに関連する制度等について調査し、有識者による議論を通して、現在の我が国の出願公開制度の意義について整理するための資料を作成することを目的とし、本調査研究を行った。

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イノベーションを推進するための顕彰制度等の実態に関する調査研究

 我が国におけるイノベーションを推進するためには、技術者等のモチベーションを向上させることが必要であり、そのためのインセンティブの一つとして顕彰制度が重要な役割を果たす。

 現在、我が国においては、主催者(国・地方自治体、財団、新聞社等)による顕彰制度や、企業等における顕彰制度が存在しているが、技術者等のインセンティブの確保と企業等のイノベーションの強化を共に実現すべく、各種顕彰制度等の見直しが必要であると考えられている。

 このような背景のもと、本調査研究では、公開情報調査により顕彰制度の概要を調査した上で、国内アンケート調査により主催者及び企業等の顕彰制度の基礎情報を調査し、国内ヒアリング調査及び海外ヒアリング調査により主催者及び企業等における顕彰制度の実態を調査した。最後に、これらの調査結果を基にして有識者ヒアリングも実施し、今後の顕彰制度の在り方の検討に資する基礎資料を取りまとめた。

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医薬品等の特許権の存続期間の延長登録制度及びその運用の在り方に関する調査研究

 我が国には延長登録の出願により特許権の存続期間を延長することができる延長登録制度があり、特許・実用新案審査基準に基づいて特許権の存続期間の延長登録出願の審査が行われてきた。

 平成26年5月30日に知的財産高等裁判所の大合議で示された判決では、現行の審査基準における条文解釈についての見解が出され、同判決は確定していないものの、現行の延長登録制度の運用の在り方が問われている状況となっている。また、延長の理由となる、安全性の確保等を目的とする法律の規定による政府の許認可は、ビジネスのグローバル化や技術の複雑化・高度化等に対応して変化し続けていること、及び、新規医薬品開発競争の激化、新剤型や新用法・用量の医薬品開発の拡大、再生医療製品の出現などを鑑みると、現行の制度・運用に対する我が国ユーザーの評価や、各国における同様の制度及びその運用状況や実態の調査等、今後の延長登録制度及びその運用の在り方を検討するに資する基礎資料を収集することが必要となっている。

 そこで、特許権の存続期間の延長制度の在り方を検討するための基礎的情報の収集を目的として、本調査研究を行った。

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特許権等の紛争解決の実態に関する調査研究

 我が国における特許権、実用新案権及び意匠権(以下「特許権等」という。)の紛争解決の実態として、特許権侵害訴訟を含む知的財産訴訟数が諸外国に比べ非常に少なく、特許権侵害訴訟での特許権者の判決における勝訴率が諸外国と比較して低いとのデータがある。こうした状況が、我が国の知的財産制度を活用しづらくしているのではないかとの意見がある。

 我が国企業における特許権等の紛争解決の実態については様々な考察がなされているが、特に、当事者において訴訟に至らず対処された場合や、訴訟を経て和解となった場合の実態については、必ずしもその全体像が明らかになっているわけではない。

 そこで、我が国企業等における特許権等の紛争発生時の対応から解決に至るまでの全体的な流れを調査し、特許権等の紛争がどのように解決されているかについて実態を明らかにし、我が国の特許権等の紛争解決の在り方を検討するための基礎資料とするために、本調査研究を行った。

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標準関連文書の特許審査利用に関する調査研究

 技術標準を策定するプロセスでは、策定された規格の他、採択に付される規格案、標準化の参加者により提出される規格提案文書(寄書)など様々な技術文書(これらの文章の総称として、以下、「標準関連文書」という。)が提出されている。これらを、特許審査の先行技術文献として適切に審査に利用することは、特許審査の質の維持、向上に資するものと考えられる。しかし、多くの標準関連文書は、公然知られたもの(公知)であるか、頒布された刊行物(文献公知)であるかなどの公知性の判断が容易でない。

 本調査研究では、特許審査における標準関連文書の利用に関する提言を得ること、審査資料としての今後の整備方針に関する指針を得ることを目的とした。具体的には、国内外の標準化機関の文書管理ポリシーや、海外知財庁における標準関連文書の取扱いに関する情報等を収集し、有識者委員会における議論を通じて、特許審査における標準関連文書の利用に関する検討を行った。

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各国知的財産関連法令TRIPS協定整合性分析調査『国際知財制度研究会』

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【特許庁委託 知的財産国際権利化戦略推進事業】

平成26年度知的財産国際権利化戦略推進事業

 平成26年度知的財産国際権利化戦略推進事業・分野横断委員会では、事業活動、研究開発活動をグローバル展開している企業における知的財産管理について調査した。国内外の企業35社(日本企業17社、外国企業18社)に対してヒアリングを実施した。知財権の帰属先について、28社が海外R&D拠点で生まれた全ての知財権を本社(又は一つの拠点)に帰属させる「集約型」であった。その理由として「本社に集約しポートフォリオで管理する方が効率的」「グループ内で知財を利用する際に集約型の方が容易」「重複出願が防止できる」等の意見があった。次に知財権の管理(出願・権利化、活用等に関する意思決定)体制について、14社が海外R&D拠点で多くの知財を創出し、かつ本社が知財管理に関して強い権限を持つ「統括型」であった。多くの「統括型」企業では①本社が効率的に情報収集する仕組み、②本社における領域横断的な意思決定体制、を構築している。

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【特許庁委託 産業財産権研究推進事業】

医薬品特許クレーム調和の実証研究
ベンジャミン・ピウェイ・リュウ
平成26年度招へい研究者
ジョンマーシャルロースクール助教

 特許保護は、今日、どの程度調和されているのか。ハーモナイゼーション・プロセスには長い歴史があり、こうした論争に医薬品特許保護が中心的な役割を果たしてきたにもかかわらず、我々は、主要な複数の特許庁が付与した特許の間の異同の度合いを測る実証研究の不足に直面しており、医薬品特許という対象に関する研究は存在しない。本実証研究では、手始めに、同一の医薬品発明に対して、米国特許商標庁(USPTO)、日本の特許庁(JPO)、及び中国の国家知識産権局(SIPO)の発行した特許を比較することにより、このギャップを埋める。したがって、本研究は、三大医薬品市場であるにとどまらず、三大特許庁を擁する三国間における制度調和の事実上の度合いを調べた最初の研究である。制度調和に向けた努力を続けてきたにもかかわらず、驚くべきことに、USPTOとJPOの間にかなりの違いが存在する。これとは対照的に、JPOが認める特許とクレームの数がSIPOより若干多いものの、制度調和に向けてそれほど努力してこなかったにもかかわらず、両国の結果は概して等しい。このことは、制度調和に向けた現在の取り組みにおいて、時には差異の程度を過大評価している場合がある一方、重大な相違に寄与する条件を見落としている場合もあることを示唆している。

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立体形状:知的財産と競争政策上の課題 -日本の商標保護制度に関する比較法的意見
アポストロス・クロノポラス
平成26年度招へい研究者
ロンドン大学クィーンメアリー商事法研究センター研究助手

 立体的標識を商標法上保護可能な対象と認識することにより、幅広い範囲で法的な疑義が生じた。

 このような法律上の問題の一部については、保護のしきい値を調整することで対処できる。保護要件を引き上げれば、製品形状に排他的権利を付与することで、消費者が製品の商業上の出所をその意匠に基づき確認でき、したがって競争の促進による大きな利益が生まれるよう確実を期することができる。立体商標に基づいた事業戦略について取引者に保護を与える可能性という観点では、保護のしきい値を引き下げることも理にかなっている。また、商標権のこのような拡張により、差別化された製品との競争の活性化に伴う利益がもたらされる場合、保護のしきい値を引き下げた方が消費者の利益になる。

 しかしながら、商標法は主に機能性の法理により、商標保護がもたらす競争制限的な効果に関する懸念に対処している。

 機能性の法理に関して、実用新案や意匠登録を付与する基盤となる政策に反したり、競争に悪影響を及ぼしたりなどの理由で製品形状の商標保護が全面的に否定されねばならないのは、いかなる場合かを明らかにすることがこの研究の最終的な目標である。

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ネットワーク関連特許の共同侵害に関する研究 -韓国・日本・米国の判例及び理論の比較を中心として
チョン・ソンテ
平成26年度招へい研究者
韓国知識財産研究所IP法研究チームリーダー
 

 特許権の侵害は、単一の当事者がクレームのすべての権利を実施して初めて侵害が成立する。しかし、複数主体による特許権の侵害は、複数の者がクレームの権利の一部を実施するに過ぎないので、直接侵害はあっても直接侵害を特定することができないという問題が発生する。したがって、複数主体の特許権の侵害は、既存の特許法上の間接侵害や一般的な不法行為責任に規律するのは難しい限界を持っている。ところが最近、日本とアメリカを中心に、複数主体による特許権の侵害事件が発生している。複数主体による方法の発明の分散実施を通じた特許権の侵害をそのまま放置することは、特許権の保護を弱体化させ、特許法の存在意義を無力化させる。つまり、特許権を取得しても執行することができない無用の権利を特許権者が保有することになる。したがって、本論文では、複数主体による特許権の侵害に対する認定方法論を考察するために、日本とアメリカの最近の判決及び学説などの比較検討を行った。これにより、複数主体による特許権の侵害を認めることができる解釈論ないしは方法論を模索した。特に著作権の間接侵害に関連した法理(支配・管理及び利益の要件)を特許法でも適用することが妥当であるとの結論を導き出した。

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Myriad判決後:バイオテクノロジー特許の実務に関する比較研究
ウ・チャイン
平成26年度招へい研究者
台湾知的財産局(TIPO)上席審査官

 特許制度の本質は、イノベーションの保護と産業発展の促進にある。ヒトの遺伝子コード解読プロジェクトが始まって以来、米国や日本、ヨーロッパの特許庁は、DNA配列が特許され得るかについて、数多く議論を行ってきた。特許庁の大部分は、DNAに対する審査判断実務において類似の基準を採用しているが、2013年に米国の最高裁にてMyriad事件の判決が下され、自然界から単離されたDNAは自然産物であり、特許適格性のある主題ではないとの判断が示されたことは、特許実務に重大な変化をもたらした。USPTOは、2014年の3月と12月の2回にわたって審査基準の改訂を行い、この改訂案は世界中に大きな議論を巻き起こした。本論は、米国のMyriad事件が物のクレームの審査実務に与えた影響を議論し、ヨーロッパ、日本、台湾における特許適格性の判断基準に関する分析を行い、特許制度と公共衛生のバランスを図るために構築し得る代替メカニズムについての提言を行うものである。

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特許権侵害の判決規則に関する日中比較研究
チャン・シャオジン
平成26年度招へい研究者
北京知識財産権法院審判第二庭庭長

 中華人民共和国の最高人民法院により、2009年に「特許権侵害紛争案件の審理における法適用についての若干の問題点の解釈」が発表された。これは、中国の裁判官による特許権侵害事件の審理に関する重要なガイドラインであるが、特定の類型の事件をめぐっては、特許侵害の判断になお意見の相違がある。日本の法制度は、同じく大陸法系に属する中国と類似している。日本では2005年に知的財産高等裁判所が設置されたが、中国では2014年11月と12月に三つの知識産権法院が設置されたばかりである。本稿では、中国と日本の特許権侵害の判断ルール及び知的財産裁判所の運用制度を比較研究し、両国の判断ルール、関連する判例、そして知的財産裁判所の運用制度の全体像をまず把握する。次に、両国の司法制度の類似点と相違点を検討する。上記の基礎的な検討をもとに、文言解釈に基づく侵害、均等論、間接侵害、公衆開示論、出願経過禁反言の原則等の判断ルールのメリットとデメリットを検討する。最後に、本稿では、特許権者の権利保護と公衆の利益のバランスを図るため、日本の経験を中国の司法実務と知識産権法院の運用制度に取り入れる可能性について検討することとする。

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外国法鑑定制度に見る知的財産権訴訟の在り方
草間裕子
(一財)知的財産研究所 平成26年度特別研究員

 我が国における国際的な知的財産紛争は、その解決に際して調査の困難な外国法の適用を伴うことがありながらも、裁判所における効果的な外国法調査手法の乏しさゆえに、当事者がその内容を証明するという実務慣行が採られてきた。そこにおいては、規範として適用されるべき外国法内容が片務性を帯びることが懸念される。このような我が国の裁判所の国際訴訟における慣行は、日本企業の権利者であっても予め外国での訴訟提起を念頭に置かざるを得ない状況を招く一要因になっていたとも考えられる。

 本研究は、こうした現状への打開策の一案として国際私法のアプローチから我が国の外国法鑑定制度の利用可能性を捉え、諸外国の外国法鑑定制度が我が国の国際的な知的財産紛争の解決に与え得る影響を考察する。そのことによって、長期的な観点から日本企業による我が国の裁判所の積極的な利用を企図するものである。

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特許制度の戦略的利用と研究開発促進効果に関する研究
鈴木貴晶
(一財)知的財産研究所 平成26年度特別研究員

 特許制度の目的は、発明を保護しその利用を促進することで、発明を奨励し、もって産業の発達に寄与することである。したがって、特許制度の設計に際し、利潤最大化を図る企業が戦略的に制度を使うことによって生じ得る負の影響(自社の研究開発誘因を高めるのではなくむしろ競合他社の研究開発誘因を阻害するなど)を避けることが重要である。この研究の目的は、企業の戦略的な知的財産保護活動(特許化か秘匿か等)における意思決定のメカニズムを分析し、そのような企業の戦略的行動とその結果市場にもたらされるイノベーション・パフォーマンスとの関係について理論的な分析を行うことで、産業の発展に寄与する特許制度の在り方についての課題を抽出することである。

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特許制度の変更は価格競争を緩和し、企業の研究開発を促したのか? -1998年から2013年の制度変更が自動車メーカーに与えた影響-
谷口みゆき
(一財)知的財産研究所 平成26度特別研究員

 この研究では、日本の自動車産業において、1998年から2013年の日本の特許制度の変更が、価格競争の緩和や企業の研究開発の促進に繋がったのかどうかを、計量分析によって検証した。最近15年間、企業の研究開発行動に影響し得る特許制度の変更が、日本では1998年、1999年、2003年にあったが、ドイツではなかった。このため、日本の特許制度の変更が日本企業の研究開発行動に与えた影響を、ドイツと比較しながら分析した。分析の結果、2003年の特許関係料金の引き下げが、出願1件あたりの被引用件数を減少させたことを見出した。また2003年以降、出願1件あたりの企業収益が増加したことを見出した。これは、特許による技術の保護が強化される中、値段が高くても燃費の良い車の需要が高まり、技術が収益に繋がりやすくなったためだと考えられる。市場の価格競争度を測定したところ、価格競争が年々緩和されていることを確認した。

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欧州単一効特許及び欧州特許に関する民商事事件の国際裁判管轄
山口敦子
(一財)知的財産研究所 平成26年度特別研究員

 EUでは現在、統一特許保護制度(欧州単一効特許と統一特許裁判所(UPC))を創設するために、いわゆる「パテント・パッケージ」に基づき、準備が進められている。UPC協定(パテント・パッケージの一つ)によると、UPCは、欧州単一効特許と欧州特許に関する訴訟のみを専属的に扱い、我が国の企業や個人もこれを利用することができる。そこで、我が国では未だ注目されていないUPCの国際裁判管轄ルールをまずは明らかにする。

 次に、UPCが下した判決の我が国での承認・執行について考察する。例えばUPCが我が国の企業に対して欧州単一効特許侵害に基づく損害賠償金の支払いを命じる判決を下し、その判決の執行が我が国の裁判所に求められた際、それは執行され得るのか。これに関して、現在のところ、我が国の裁判所は、UPCに似た裁判所が下した判決を執行するよう求められたことがないため、我が国の法が定める外国判決の承認・執行要件をどのように解釈すべきか、明らかでない。そこで、上記考察を行う。

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発明該当性に関する比較法的考察 -方法の発明を中心として-
吉田悦子
(一財)知的財産研究所 平成26年度特別研究員

 産業と科学技術の発展によって発明も多様化している。例えば、情報化によるコンピュータ技術を利用したビジネス方法の発明や、バイオテクノロジーの進展に伴う遺伝子スクリーニング方法などの医療関連発明が挙げられる。その結果、米国では、ビジネス方法発明の特許適格性の問題を契機に、特許適格性をめぐる訴訟が増加し、活発に議論がされている。欧州でも、欧州特許庁(以下、EPO)と加盟国との間での判断手法の相違をめぐり、その整合性を確認したEPO拡大審判部への付託など、調和の道を探る取組みが行われている。これらの背景から方法の発明の保護対象の在り方について、改めて、詳細な検討をする段階にあると考えられる。

 本研究は、米国での特許適格性の問題を題材として、欧米の審判決の変遷と従来展開されていた議論を踏まえ、日米欧の発明該当性(特許適格性)に関する比較法的考察を行う。特に方法の発明においては、コンピュータ・ソフトウエア分野やビジネス方法における発明該当性(特許適格性)の問題が顕著であることから、それらの問題を中心に取り扱う。まず、ここ数年の間に多くの判決が下され、大きな議論となっている米国判例動向について、すなわち、特許適格性の非法定主題とされ、保護対象から除外されてきた①自然法則、②自然現象及び③抽象的アイデアとこれまでの判決との関係に着目し、米国における判断手法の変遷について検討する。EPO、ドイツ、英国、我が国においてもこれまでの審判決とその判断手法の変遷、それらに関連する議論について検討する。

 以上の一連の検討を踏まえ、比較法の観点から特許適格性の役割について考察し、国際的な制度調和に向けた取り組みの一助となることを目指すものである。

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医薬品アクセス及び地理的表示をめぐるEUのFTA政策について
西村もも子
(一財)知的財産研究所 平成26年度在外研究員

 近年、欧州連合(EU)は、対外通商政策の軸足を多国間交渉から二国間交渉に移し、自由貿易協定(FTA/EPA)の締結に積極的になっている。このようなEUの近年の自由貿易協定には、TRIPs協定の基準を超える新たな知的財産権の保護規定を盛り込んでいる場合が増えており、米国の同協定と同様に注目を集めている。一般的には、このEUの方針転換の背景は、世界貿易機関(WTO)における交渉の停滞という観点だけから語られることが多い。これに対して本研究では、EU域内の政治関係がEUのFTA政策、さらにはその中の知的財産権政策にどのような影響を与えているのかという点を明らかにする。具体的には、医薬品アクセスと地理的表示という二つのトピックに焦点を当てて、EU域内における過去十数年間の医療政策および農業政策の変化が、EUのFTAにおける新たな知的財産権規定にどのように結びついているのか、その道筋を解き明かす。

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途上国の知的財産制度の整備状況と日本企業の海外活動に関する研究
大西宏一郎
(一財)知的財産研究所 平成26年度在外研究員

 WTOやTPP等の貿易交渉において、知的財産制度の整備・強化は先進国が途上国に求めている重要課題の一つである。それにもかかわらず、途上国での知的財産制度の整備・強化がそもそも先進国側企業の収益に結びついているのかはこれまで十分に明らかにされていない。本稿では、日本企業の海外現地法人の生産関数を推計することにより、現地の特許制度の整備・強化が企業の収益性向上に結びついているのかを実証的に分析した。分析結果では、まず中国を除く途上国での特許権の強化は、日本企業が現地で被る模倣被害を減少させる効果を持つことが明らかとなった。また途上国では特に電気機械産業において、当該国の特許権の強化、企業の特許出願件数の増加はともに現地法人の収益性の向上に寄与していることが明らかとなった。これらの結果は、途上国に権利強化を求める先進国の政策は十分にその目的を達成していることを示唆していると言えよう。

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