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平成27年度調査研究の概要

【特許庁産業財産権制度問題調査研究等】 

用途発明の特許権の効力範囲を踏まえた食品の保護の在り方に関する調査研究

 現行の特許・実用新案審査基準では、公知の食品の新たな属性を発見したとしても、通常、公知の食品と区別できるような新たな用途を提供することはないとしており、食品については用途発明としての新規性を認めていない。しかしながら、食品について用途発明としての新規性を認め、食品の新たな属性を発見しようとする先行企業に対して研究開発のインセンティブを高めることが重要との指摘がある。また、今般、食品の新たな機能性表示制度が開始され、他社が届出(先行開発した他社の論文を引用しての届出も可能である)によって機能性表示を行った場合、先行企業は他社との差別化を図ることが困難になる可能性があり、食品の用途に対する特許権による保護が一層重要になるとの指摘もある。
 そこで、本調査研究では、用途発明の特許権の効力範囲を踏まえた食品の保護の在り方に関する調査・研究を行うことで、食品について用途発明としての新規性を認めることとする審査基準改訂を行うか否かを検討する際の基礎資料を作成することを目的とする。

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知財訴訟における諸問題に関する法制度面からの調査研究

 我が国の知財訴訟に関する制度は、迅速性、予見可能性及び経済性等の点で、多くの実務家から高く評価がされている一方で、一部の有識者・実務家からは、証拠収集手続についてその困難性を指摘する声や、訴訟において損害賠償額の認定が十分でなく、権利者の救済が図られていないなどの意見も聞かれている。
 今般、知財訴訟に関する重要性の高まりから、「知的財産推進計画2015」の重点3本柱の一つとして、「知財紛争処理システムの活性化」が掲げられ、特に①知財訴訟における証拠収集がより適切に行われるための方策、②ビジネスの実態を反映した損害賠償額の実現に向けた方策、③権利の付与から紛争処理プロセスを通じた権利の安定性を向上させるための方策、の論点については今年度さらに検討が行われる予定となっている。
 そこで、知財訴訟に関する諸問題について法制度面から検討を行うことで、制度の利便性を向上し、円滑な企業活動に資するとともに、国際的な制度比較においても、我が国における知的財産権の権利行使や紛争解決に関する制度を魅力あるものとするべく、調査研究を行った。

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知財紛争処理システムの活性化に資する特許制度・運用 に関する調査研究

 我が国知的財産紛争における証拠収集及び損害賠償額認定の適正化に向けた検討の必要性については、2015年6月19日に知的財産戦略本部において決定された「知的財産推進計画2015」にも記載されているところ、これらの検討には、国際的な動向把握に加え、我が国における証拠収集手続や損害の額の推定規定等の利用実態を把握することが必要である。そのためには、諸外国の知財紛争における証拠収集・損害賠償額認定に関する制度及びその利用実態・評価に関する調査に加え、判決文には表れない、我が国知財紛争における訴え提起前の証拠収集、証拠保全、具体的態様の明示義務、文書提出命令及び秘密保持命令等や、損害額の推定規定等の各制度及びその利用実態・評価について把握することも必要である。
 そこで、本調査研究では、国内外の証拠収集及び損害賠償額認定に関する制度及びその利用実態を調査し、知財紛争処理システムの活性化に向けた検討の場における基礎資料とすることを目的とした。

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日米間の新規性を中心とした内外乖離に関する調査研究

 日本国特許庁は、数年前から、JPOが特許可能と判断した審査結果に基づいて米国特許商標庁に特許審査ハイウェイ(Patent Prosecution Highway:PPH) 申請された出願であって、かつ、USPTOがファーストアクション で新規性を否定した出願を対象として、両特許庁間の判断の乖離要因を分析する取組を行っており 、その中で両特許庁間の運用の相違に起因すると思われる事例が多数見つかっている。
 そこで、本調査研究では、新規性を中心とした両特許庁間の運用の相違について、調査対象出願を詳細に調査することで把握し、それをJPOの審査官に周知することによって、米国での権利取得も視野に入れた日本国ユーザーに対して、より有益なサーチ結果の提供を可能とし、併せて、USPTOで特許査定に至るための対応策も把握し、それを日本国ユーザーに提供することで、USPTOからの権利化に否定的なオフィスアクションを事前に、または、事後であっても簡易に回避可能とすることも目的とする。

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プロダクト・バイ・プロセス・クレームの審査の取扱い に関する調査研究

 平成27年6月5日のプロダクト・バイ・プロセス・クレームに関する最高裁判決は、発明の「要旨認定」及び「技術的範囲確定」において、PBPクレームを「真正」と「不真正」で物同一説と製法限定説に解釈を分けるという知的財産高等裁判所の判断を破棄し、「物同一説」を統一的に採用し、「PBPクレームに該当する場合(以下「場合」)」において、発明の明確性要件に適合するといえるのは、出願時において物をその構造又は特性により直接特定することに「不可能・非実際的事情(以下「事情」)」が存在するときに限られると判示した。特許庁は、改訂した「審査基準」及び「審査ハンドブック」においてこの判決を考慮した、今後「審査ハンドブック」において、「場合」及び「事情」の判断事例を充実させていくとしている。この調査研究では、「場合」及び「事情」について、公開情報調査、海外質問票調査及び有識者による検討によって、我が国及び諸外国(欧州特許庁、英国及びドイツ)の状況を把握し、その判断に資する具体例、及びその具体例を審査ハンドブックに掲載するか否かを検討する際の基礎資料を作成した。

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我が国の知的財産制度が経済に果たす役割に関する調査

 知的財産制度が企業等の知的財産活動やイノベーション活動に与える影響を実証的に分析する試みが各国においてなされてきている。特に近年では、世界的に、エビデンスに基づく政策立案が求められるようになってきており、それに対応する形で、米国や欧州等では、知的財産庁にチーフエコノミスト職を設置し、知的財産制度の科学的な研究を推進している。こうした中、本調査では、特許データベース、経済産業省『企業活動基本調査』、特許庁『知的財産活動調査』、及び総務省『科学技術研究調査』等のデータベースを駆使して、企業パフォーマンスと知的財産権の貢献及びライセンスとの関係性、知的財産政策の変更がライフサイエンス分野の企業に与える影響、IPCと産業分類とのコンコーダンス、知的財産制度が経済へ与える影響、知的財産活動調査データを用いた調査に関する6つの実証分析を行った。さらに、実証研究の基盤となる知的財産活動調査の調査項目についての整理に関する検討も行った。

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平成27年度各国知的財産関連法令TRIPS協定整合性分析調査

【特許庁委託 産業財産権研究推進事業】

境界線:個別化医療診断の特許適格性の範囲
ケヴィン・エマーソン・コリンズ
平成27年度招へい研究者
ワシントン大学(セントルイス)ロースクール教授

 相関性に基づく医療診断は、患者の観測可能な属性(例えば、遺伝子の変異)と、患者に関する医学的に有用な事実(例えば、薬剤を代謝する能力がないこと)との間の未知の相関性の発見により可能となった診断技術である。相関性に基づく医療診断は、個別化医療(personalized medicine)又は精密医療(precision medicine)の発展に不可欠であるため、こうした診断法は、商業的に重要であり、しかも社会的に価値がある。
 日本では、今日、相関性に基づく医療診断の多くが特許保護を受けている。しかし、相関性に基づく医療診断の多くに特許適格性が認められている理由は明確に述べられておらず、したがって、相関性に基づく医療診断について、特許適格なものと不適格なものとの明確な線引きが曖昧なままとなっている。本報告書では、相関性に基づく医療診断の特許適格性の限界を提示し、ひいては相関性に基づく医療診断について、特許適格なものと不適格なものとを分ける境界線を引く場所に関するいくつかの理論を示している。具体的に言えば、本報告書では、産業上の利用可能性の要件による診断法の除外と、法定の発明要件に基づいた自然法則と精神活動の両方の除外とにより、相関性に基づく医療診断の特許適格性に加えられている制限に着目している。

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FRAND条件が引き起こすホールドアップ問題
リ・ヤン
平成27年度招へい研究者
深圳大学法学院教授

 FRAND確約のあるSEP(標準必須特許)のロイヤルティの計算及び決定については多くのアプローチが提起されているが、パテントホールドアップのリスクが著しく誇張され、差止めの利用の制限や排除が過度に強調されているので、FRANDロイヤルティを決定するための科学的かつ統一した基準が存在しない中にあっては、実質的に公正なFRANDロイヤルティにはほど遠いばかりでなく、FRANDホールドアップがSEP保有者SEP保有者を困惑させる深刻な問題となっている。FRANDホールドアップを軽減し、阻止し、さらには排除しさえする一方で、FRANDロイヤルティを決定するためには、手続的正義に向けたFRAND志向が恐らく良い選択肢であろう。手続的正義に向けたFRAND志向の中核にあるのは、「通知及び反対申立て通知」のルール一式を設計し、SEP保有者とSEP実施者が誠意をもってロイヤルティを交渉すること、及び、当事者が交渉を通じてFRANDロイヤルティを決定することを促すことである。交渉が失敗に終わった場合には、独立した第三者(裁判所、仲裁機関)が通知及び反対申立て通知のルールに依拠して、差止めが必要か否か、FRANDロイヤルティがどれほどかを決定することもできる。

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戦略的特許の新たな代理変数と日米の特許データへのその適用
ヘンリ・デ・ベルサンス
平成27年度招へい研究者
マックス・プランク・イノベーション競争研究所 博士課程研究員

 本稿では、新しく企業の戦略的特許の代理変数を開発し、それを日本の知的財産研究所の特許データセットと米国の全米経済研究所(NBER)の特許データセットに適用する。具体的には、データ中の特許クラスタリング(Rivette and Kline (2000))を事後に特定する。当初の結果は、文献におけるこれまでの研究結果と一致するものであり、日本において、戦略的特許権取得が、米国における以上に重要な課題であることを示している。筆者は、本研究の分析、特に特許ポートフォリオの規模のコントロールをめぐる問題点を認識している。こうした欠点は、さらなる研究の焦点となるものの、本稿では、戦略的特許権取得の本格的な代理変数の持つ可能性を既に提示している。これは、規制機関や特許庁の政策立案者にとって非常に役立つものとなり得る。

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EUと日本における商標的使用の法理
マーティン・フソヴェック
平成27年度招へい研究者
マックス・プランク・イノベーション競争研究所 博士課程研究員

 市場において商標法の規制が及ぶ範囲は、技術の新しい発展に対して常に吟味されている。今日では、商標から生じる権利は、多くの場合、単なる商品やサービスの不当表示を越えて、数多くの活動をカバーしている。市場の透明性を確保することは、もはや商標法の唯一の目的ではない。この比較研究では、商標的使用の法理に対するヨーロッパと日本のアプローチを対比する。この法理は、商標法が、混同や不当な利益について考慮する以前の段階における標識の特定の使用を規制する権利を拡張するかどうかを決定するものである。これらの国における法律の発展は、元来の商標保護の在り方(日本では今も残っている)から徐々に脱却して、より高度ではあるがより優れているとは必ずしも言えない保護の在り方(EUにおける保護制度)へと向かっていることを例示している。

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特許の強制実施権-日本とインドの実務の比較分析
V.C. ヴィヴェカナンダン
平成27年度招へい研究者
ナルザー法科大学インド人材開発省教授

 TRIPS協定は、様々な知的財産の分野について世界貿易機関の加盟国間に基本的、普遍的かつ共通する基準をもたらした。それでも、実際には、国家間、また先進国の立場と世界の残りの国々の立場との間にはかなりの違いがある。強制実施権(CL)設定の裁定とそれが特許制度に与える影響も問題の一つである。アジアの文脈では、日本とインドのそれぞれの法令に公共の利益に基づいた強制実施権規定が存在する。インドは、医薬品分野において、2012年に初めて強制実施権を裁定し、インドの市民団体や学界の間には、価格と国民によるアクセスの問題に対処するための効果的な手段としてCLを利用することへの幅広い支持が存在する。対照的に、日本は、これまでCLを設定する裁定をしたことがない。日本は、自国のプロパテント制度の解釈を2013年の「日本再興戦略」に反映させ、また、日本の内閣は、知的財産権の世界的な取得及び効果的な利用に重点が置かれた「知的財産政策に関する基本方針」を承認した。本研究は、アジアにおけるこの二か国の強制実施権へのアプローチの違いについて調べ、そうしたアプローチの理由と論理を世界と共有することを目指している。

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進歩性/非自明性基準の比較分析とその事例研究-解決すべき課題を中心として
シュウ・シ・ハオ
平成27年度招へい研究者
台湾知的財産局(TIPO)特許審査官

 発明(invention)特許の概念の起源は16世紀に遡るが、特許の進歩性の判断基準に関しては政策、法令、判断手法等により各国間で顕著な違いがある。そこで、本研究では欧州特許庁、アメリカ合衆国特許商標庁、日本国特許庁、台湾特許庁の進歩性の判断基準について研究分析を行っている。考慮した要素には、進歩性の定義及び適用法、先行技術の範囲、当業者のレベル、進歩性の判断手法等が含まれている。また、「課題解決」を目的とした課題の解決手段の探求を異なる引用発明の組合せの動機として、クレームされた発明の全体と先行技術との相違点が当業者にとって自明である(又は容易になされる)か否かを論理付けることは、確実に論理上受け入れ易い進歩性の論理付けモデルであるので、本研究では更に、「課題解決(problem to be solved)」の観点から、加えて代表的な事例を検討して、各庁の処理手法について分析を行っている。
 各庁とも発明の進歩性の有無を判断する際には先行技術に基づいて当業者の観点から、クレームされた発明の全体が自明であるか否かの論理付けを行わなければならず、「課題解決」の重要性を強調しているが、進歩性の論理付けの手法は、客観的な技術的課題によって先行技術を組み合わせて進歩性を判断するEPOを主とした「課題解決アプローチ」と、先行技術を組み合わせる理由(動機付け)を広範な観点から論理付けて進歩性を判断するUSPTO、JPO、TIPO等が含まれる「広範論理付け法(general rationale articulation)」とに区分されることが研究の結果わかった。また、「課題解決」の観点から見ると、上述の判断手法は主に「課題の設定手法」、「課題解決手段の考慮要件」、「課題及び解決手段の技術的性質」等の三点で異なっており、しかも、これらの違いがあるのは「当業者のレベル」と論理上かなり相関性があることがわかった。したがって、今後「課題解決」の点から進歩性の判断基準の国際的調和を行うことを考えた場合、この三点から着手するとともに、当業者のレベル等の整合性を図り、簡単な方から複雑な方へ探究を進めて、共通認識が得られ易い進歩性の判断の処理手法に発展させることを提案する。

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ソフトウェア特許の日本と韓国における保護の状況についての比較研究
ユ・ジヘ
平成27年度招へい研究者
韓国・国立江原大学校講師

 発明(invention)特許の概念の起源は16世紀に遡るが、特許の進歩性の判断基準に関しては政策、法令、判断手法等により各国間で顕著な違いがある。そこで、本研究では欧州特許庁、アメリカ合衆国特許商標庁、日本国特許庁、台湾特許庁の進歩性の判断基準について研究分析を行っている。考慮した要素には、進歩性の定義及び適用法、先行技術の範囲、当業者のレベル、進歩性の判断手法等が含まれている。また、「課題解決」を目的とした課題の解決手段の探求を異なる引用発明の組合せの動機として、クレームされた発明の全体と先行技術との相違点が当業者にとって自明である(又は容易になされる)か否かを論理付けることは、確実に論理上受け入れ易い進歩性の論理付けモデルであるので、本研究では更に、「課題解決(problem to be solved)」の観点から、加えて代表的な事例を検討して、各庁の処理手法について分析を行っている。
 各庁とも発明の進歩性の有無を判断する際には先行技術に基づいて当業者の観点から、クレームされた発明の全体が自明であるか否かの論理付けを行わなければならず、「課題解決」の重要性を強調しているが、進歩性の論理付けの手法は、客観的な技術的課題によって先行技術を組み合わせて進歩性を判断するEPOを主とした「課題解決アプローチ」と、先行技術を組み合わせる理由(動機付け)を広範な観点から論理付けて進歩性を判断するUSPTO、JPO、TIPO等が含まれる「広範論理付け法(general rationale articulation)」とに区分されることが研究の結果わかった。また、「課題解決」の観点から見ると、上述の判断手法は主に「課題の設定手法」、「課題解決手段の考慮要件」、「課題及び解決手段の技術的性質」等の三点で異なっており、しかも、これらの違いがあるのは「当業者のレベル」と論理上かなり相関性があることがわかった。したがって、今後「課題解決」の点から進歩性の判断基準の国際的調和を行うことを考えた場合、この三点から着手するとともに、当業者のレベル等の整合性を図り、簡単な方から複雑な方へ探究を進めて、共通認識が得られ易い進歩性の判断の処理手法に発展させることを提案する。

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中国企業の株主構成と知財戦略-特許データを用いた実証分析
袁 媛
(一財)知的財産研究所 平成27年度特別研究員

 本研究の目的は中国の工業企業データベースと特許データベースを用い、株主構成が企業のイノベーション活動に与える影響を実証分析することである。特に国有株主の役割に焦点を当てる。

 分析の結果は以下のとおりである。まず、中央国有企業と地方国有企業が新商品を産み出す傾向にあるが、中央国有企業のみ特許出願と登録の傾向が見られた。また、民営化によるイノベーションへの効果については、一般国内企業に民営化された企業では特許出願や登録数が減少し、新商品を産み出す傾向が見られたが、外国企業に民営化された企業については、有意な効果が見られなかった。さらに、外国企業からの競争圧力の高い企業、輸出企業、負債の少ない企業、市場シェアの大きい企業、資産規模の大きい企業、及び創業が古い企業は特許出願や登録、新商品を産み出す傾向にあることが分かった。

 本研究の分析結果は、現在中国において、最先端のイノベーションは主に国主導の大手国有企業が担い、市場ニーズに合わせた新商品の開発は主に民営企業が中心になっていることを示唆している。

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職務発明制度の経済分析-研究開発インセンティブと対価請求訴訟による経済損失の観点から
村本 顕理
(一財)知的財産研究所 平成27年度特別研究員

 本研究では、職務発明制度が経済パフォーマンスに与える影響について経済理論(主に所有権理論)に基づき分析する。所有権理論は、特許権を含む財産権一般が(例えば、研究開発等への)インセンティブへ与える影響を議論する理論である。従業者等と使用者等の間の利益調整を図り研究開発活動を促進することが職務発明制度の趣旨であるが、本研究では、発明の利益額の予測困難性や訴訟による経済損失の大きさ等に応じて、職務発明制度により利益調整やインセンティブへ与えられる影響が異なることを示唆する理論モデルを提示する。さらに、相当の対価請求訴訟の判例を調査し、対価算定の特徴について事例分析を行う。また、理論分析と事例分析の結果に基づいて、研究開発が行われる産業ごとに職務発明制度が与えるインパクトが異なる可能性があることを示す。最後に、職務発明制度の望ましい在り方について議論を行う。

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特許権の早期安定化とイノベーション : 情報提供制度と異議申立制度に関する実証研究
中村 健太
(一財)知的財産研究所 平成27年度在外研究員

 不安定な特許は、特許制度がイノベーションを促進する効果を阻害する可能性がある。我が国における特許異議申立制度の復活や、2011年の米国特許法の改正は、特許性の判断に第三者の関与を認め、審査の質の向上や簡便な方法で審査過誤の是正を目指している。他方で、審査の質を高めることの社会的費用を強調し、特許性の判断を無効訴訟等に委ねるべきとする見解も存在する。したがって、情報提供制度や異議申立制度が早期の権利安定化に貢献し、イノベーションを促進するかどうかは、制度の在り方を考える上で、極めて重要な実証的課題である。本研究では、異議申立によって特許権の安定性が早期に明確化されることは、当該権利者および第三者に対して対称的な影響、すなわち、両者のイノベーションを促進する効果を持つことを示した。また、異議申立によって瑕疵のある特許が早期に取り消されることは、第三者によるイノベーションの促進に貢献していることも明らかになった。

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国際的特許技術のライセンシング促進のための国内法・国際法上の制度及び関連政策の整備に関する研究-電気通信分野、バイオ分野、環境分野におけるライセンシング実務の事例を中心に
長越 柚季
(一財)知的財産研究所 平成27年度在外研究員

 国際的特許技術のライセンシングに関する法制度には、国際的な枠組みと、国内法的な枠組みが存在する。国際的には、TRIPS協定及び未完に終わった「Draft ToT Code」というライセンシングの促進及び規制のための条約がある。国内的には、途上国の多くに国際技術移転のライセンシングに関する詳細な規定があり、先進国にも、主に競争法の観点からライセンシングに関する規定が存在している。他方で、実務においては、途上国への特許技術の輸出によって収益を得ることが 先進国において積極的に行われるようになりつつあり、これを適切に規制しながらもより一層促進するための国際的に調和した法制度が必要である。本研究は、このようなライセンシングに関わる法制度及び関連諸政策を、ライセンシングの事例から分析し、今後の制度設計の在り方に関する提言を行うものである。

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欧州統一特許制度に関する研究:国際私法の観点から
山口 敦子
(一財)知的財産研究所 平成27年度在外研究員

 欧州では、現在、統一特許保護を確立するために、2012年12月に合意に達した、いわゆる「パテント・パッケージ」に基づき、統一特許(European patent with unitary effect)及び統一特許裁判所(Unified Patent Court, UPC)の創設準備を進めている。これらは我が国の企業や個人も利用することができ、その利用に当たっては、欧州においても、我が国においても、国際私法が関係する。しかしながら、UPCで適用される国際私法、及び、統一特許に関する訴えやUPCが下した判決が我が国の国際私法でどのように扱われるかということについて、未だ十分に明らかにされていない。そこで、この研究では、近い将来に運用が開始される統一特許保護の下で関係する国際私法分野のルールを考察する。具体的には、UPCの国際裁判管轄・権限に関するルール、及び、準拠法ルールを考察し、その上で、我が国の裁判所に提起される統一特許に関する訴えの国際裁判管轄、準拠法、及び、UPC判決の我が国での承認・執行について検討する。

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