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目次PDF | 本号では、「我が国の食文化・食産業の海外展開と知的財産」と題した特集を組んでおります。ご存じのように、安倍政権により“第三の矢”「日本再興戦略 Japan is Back」が発表され、重要施策の一つとして、我が国の食文化、食産業のグローバル展開が掲げられております。 具体的には、「日本食材と世界の料理界とのコラボレーションの促進や、日本食の普及を行う人財育成等を通じ、日本食材の活用を推進(Made FROM Japan)」、「ビジネス環境の整備、人財育成、知的財産の侵害対策、出資による支援等を通じて、日本の「食文化・食産業」を海外展開(Made BY Japan)」、等が示されております。 この度発行いたします「知財研フォーラム」第95号(秋号)では、積極的な知財活動を行いながら日本の「食」事業のグローバル展開をされている企業の方々を中心にご執筆いただき、国内の知財関係者をはじめとする読者が、我が国の食文化・食産業の海外展開に伴う知的財産についての重要性を認識できるような特集となることを企画しました。 |
Contents | |
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巻頭言 |
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亀岡 誠司 (Seiji Kameoka) 〔株式会社神戸製鋼所 技術開発本部 知的財産部長(弁理士・博士(工学))〕 | |
【特集】我が国の食文化・食産業の海外展開と知的財産 | |
4 | 我が国の食文化・食産業の海外展開と知的財産 ― 食品関連産業の現状を踏まえて ― |
鈴木 由紀夫 (Yukio Suzuki) 〔一般財団法人 食品産業センター 海外室長〕 | |
我が国の食産業は、人口の減少をはじめとする要因により国内需要が縮小し供給過剰状態にあり、過当競争から利潤率が低下し厳しい経営環境の中にある。世界的に日本食の人気が高まり食の海外展開を行うに追い風が吹いているといえる今、海外進出に伴うリスクを軽減するため、模倣品等の知的財産問題への取組を強化することが求められている。 | |
11 | 特許庁から見た食品産業の海外展開 (特許・意匠・商標の観点) |
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食品分野における日本から海外への特許出願の傾向について、展開地域別及び技術分野別に紹介する(特許)。我が国の食文化や食産業に関係する意匠出願の状況を紹介し、意匠制度をどのように活用しているかを解説する(意匠)。地域団体商標について、これまでの出願・登録状況を紹介するとともに、活用状況を紹介する(商標)。 |
23 | 食品産業のグローバル展開と知的財産 |
柳生 一史 (Kazufumi Yagyu) 〔味の素株式会社 理事 知的財産部長〕 | |
日本の食品企業の海外展開は活発であって、各社の特徴あるビジネスモデルと知財戦略がそれを支えている。これまでに培ってきた独自技術とブランドへの信頼は、世界中の食の未来に益々期待されており、海外展開と新しいビジネスモデルへの進展が進む中で、より戦略的な知財活動が求められていくであろう。 | |
28 | ブランドにプラスする知的財産の価値の考察 |
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ヤクルトのブランド価値は、広告宣伝の積み重ねだけでなく、製品中の乳酸菌に関する研究開発の成果により築かれたものである。ブランドの模倣対策や希釈化対策を併せて行うことにより、グローバルなブランド価値を向上し、事業の発展に貢献できると考える。 | |
32 | 日本が生んだ世界食―インスタントラーメン― その歴史と知的財産戦略 |
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誰でも、一度は口にしたことがある「インスタントラーメン」。今や、世界食となった20世紀の大発明と言われるインスタントラーメンの歴史と、チキンラーメン・カップヌードルという大ヒット商品を支えた知的財産戦略の意義を学ぶ。 | |
38 | 日本酒の海外展開と知財 |
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江戸の初期に伏見で酒造を始めた月桂冠は明治になり、「防腐剤なしの日本酒」や初の知財商品「コップ付小壜」の開発で販売量を伸ばした。同時にアジアを中心に海外展開を図り、海外の販売比率は33%に達した。戦後「四季醸造蔵」の開発で需要の増大に対応すると共に醸造設備のや吟醸香生産特許等を取得し、日本酒の多様化を促した。アメリカでの生産を平成元年に始め、アメリカでの販売増に伴い、日本で開発した技術を用いて高品質の日本酒の生産を行っている。 | |
42 | 手作りを超えた食の機械をつくる、未完は発明に 繋がるように ― 私の発明の心得と未完は発明に繋ぐ ― |
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私が食品に携わる機械開発・発明を約45年余継続してこられたのも周囲の支えがあったからだと常に感謝している。私はいま尚、「何処にも無いものを探し、日本初、世界初のものづくり」に挑戦している。いつの時代でも、発明工夫~開発が最も重要であるとの信念をもっている。これ迄の私の実体験に基づいて書き留めたものを「発明の心得20ヵ条」にまとめ御紹介し、少しでも皆さまのお役に立てればと思うところである。 | |
【寄稿・連載】 | |
47 | 欧米における医療関連特許の動向 ― Myriad事件を中心に ― |
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米国最高裁は、30年来の実務を覆して、単離DNAは天然物であり特許保護対象ではないと判示した。医療関連特許には、患者の利益との抵触等の生命倫理上の問題もあり、欧州特許条約やフランス法においては、これに対処する規定群を設けている。医療関連技術の進歩に対して、特許法はいかにあるべきか、欧米の事例を通して考える。 | |
60 | 中国の法改正・判例紹介⑫ 不適格な通知に対するネットワークサービスプロバイダーの注意義務 ― 泛亜公司と百度網訊公司、百度在線公司間の著作権紛争上訴事件 ― |
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インターネット業の急速な発展に伴い、インターネットに係る著作権紛争も増加の一途をたどっている。同時に、インターネット環境における著作権紛争には、新たな特徴とさまざまな矛盾が浮き彫りになってきている。たとえば、ネットワークサービスプロバイダーには、ネットユーザーが自社の提供したインターネットサービスを利用して侵害行為を実施した場合、どのような義務が発生するかという問題は、広範な関心を集めている。通常、検索エンジンというものは、ネットユーザーの入力に応じて自動的に検索結果を提供するリンクであり、多くの場合、ネットワークサービスプロバイダーは、他人が自社のインターネットサービスを利用して権利者の情報ネットワーク伝達権を侵害したことを知っているはずであるとは認定されない。しかし、権利者がネットワークサービスプロバイダーに対して具体的に侵害を確定できる情報に関する通知を発信した場合、ネットワークサービスプロバイダーは、当該侵害リンクを削除又は解除しなければならない。 しかしながら、権利者がネットワークサービスプロバイダーに出した通知によって、具体的な情報侵害を確定できない場合、ネットワークサービスプロバイダーは法的責任を負うべきか否かについては、相当の研究価値を有する問題である。最高裁判所は、終審までに5年間かかった本事件の終審判決において、不適格な通知に対するネットワークサービスプロバイダーの注意義務という実務において相当の議論の的となる問題に対して判決を言い渡した。中国の司法実務上、不適格な通知についてのネットワークサービスプロバイダーの注意義務に対する読者の理解を深める一助になれば幸いである。 | |
68 | 判例研究⑪ 中国において製造され、その全品が輸出されるOEM製品に付された他者の登録商標と中国商標法第31条(改正商標法第32条)の 商標使用性 ― 中国最高人民法院(2012)行提字第2号判決 ― |
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中国においては、外国周知商標の冒認出願の問題及び全品輸出されるOEM製品に他人の商標を貼付することの商標使用性については長年議論されてきた。本稿で中心的にとりあげる中国最高人民法院(2012)行提字第2号判決(本判決)は、商標法第31条で保護される商標は中国大陸部において既に使用されていたものに限られ、かつ前記OEM製品での使用は当該中国大陸部での使用に含まれない旨を判示した。 本判決は前記各問題について最高人民法院の見解を一定程度示したものとして重要な意義を有する。本稿では、前記各問題についての従前の議論を俯瞰しつつ、2014年5月1日施行の改正商標法との関係も含めて、本判決を分析する。 | |
76 | 悪意の商標出願 |
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商標登録出願の拒絶事由の1つとして、商標法は公序良俗を害するおそれがある商標を挙げている。国内外で周知となっていない他人の商標が同人に無断で出願された場合、当該事由に該当するか否かについては、判例・学説ともに見解が分かれている。本稿では、商標法の他の規定等との関係を踏まえてこれを検討するとともに、その具体的判断基準についても若干の考察を試みるものである。 | |
88 第78回ワシントン便り | |
諸岡 健一 (Kenichi Morooka) 〔(一財)知的財産研究所 ワシントン事務所 所長〕 | |
92 知財研NEWS |