特許庁委託 産業財産権制度調和に係る共同研究調査事業
2024年度招へい研究者 研究成果報告会

知財研では、特許庁委託事業「産業財産権制度調和に係る共同研究調査事業」の一環として、外国から研究者を招へいし、産業財産権に関する制度調和が必要となる課題について研究する機会を提供しています。このたび、ドイツの研究者が約1か月の招へい期間を終えて帰国する予定です。そこで、研究成果の発表及び参加者との意見交換を行う場を設けるために、研究成果報告会を下記のとおり開催いたしますので、御案内申し上げます。

開催概要

日 時 2024年8月21日(水)10:05ー11:50
テーマ “A Comparative Study on Bolar Exemption”
『Bolar免除に関する比較研究』
(※発表は英語で行い、日本語の逐次通訳が付きます。)
報告者 Laura VALTERE(ラウラ・ヴァルテレ) 招へい研究者
会 場 Zoomによるオンライン報告会
定 員 60名(先着順)
参加費 無料

プログラム

10:05 開会・主催者挨拶
10:10-11:30 “A Comparative Study on Bolar Exemption”
11:30-11:50 質疑応答
11:50 閉会

報告概要

The grant of a patent confers upon the patentee exclusive rights over the patented invention. These rights include the right to make, use, offer for sale, sell or import the patented subject matter. However, there are also exceptions to the rights conferred by a patent. Such exceptions permit a third party to use the patented subject matter without the permission of the patent holder. The exceptions serve to maintain balance between the rights of a patent holder and the interests of other parties. The Bolar exemption represents one such balancing tool. The Bolar exemption intends to facilitate timely market access of generic drugs by allowing generic manufacturers to conduct the necessary trials with the drug in order to obtain marketing authorisation while the patent is still in force.
The availability and accessibility of generic medicines contribute to the sustainability of public healthcare systems, both in terms of geographical availability and price competition. This is particularly pertinent in the context of ageing European and Japanese societies, which also place a significant burden on public healthcare costs.
This contribution investigates the functioning of the European and Japanese Bolar exemptions and their future perspectives. Given the European Union's intention to amend its current Bolar exemption and the Japanese generic industry's steady growth, this investigation is particularly timely.
(仮訳)
 特許権が付与されることにより、特許権者には特許発明に対する独占権が与えられる。この独占権には、特許された対象の製造、使用、販売の申出、販売又は輸入に対する権利がある。しかしながら、特許により与えられる権利には例外もある。この例外の場合には、第三者には特許権者の許可を得ずに特許された対象を実施することが許される。例外は、特許権者の権利と他の関係者の利益の均衡を図るためのものである。ボーラー免除は、そのような均衡を図る手段の一つである。ボーラー免除は、後発医薬品(ジェネリック医薬品)のメーカーに対し、特許が有効な間に後発医薬品の販売許可を取得するために必要な試験を行うことを認めることにより、後発医薬品の適時の市場へのアクセスを促そうとするものである。
後発医薬品が利用可能であり、これにアクセスしやすければ、地理的な利用可能性と価格競争の両方の観点から公的医療制度が持続可能になる。このことは特に、高齢化が進み、公的医療費が重くのしかかっている欧州や日本の社会にとって重要となる。
本研究は、欧州や日本においてボーラー免除がどのように機能しているかと、その今後の見通しについて調査する。欧州連合では現行のボーラー免除条項を改正しようとしていること、そして日本の後発医薬品産業が着実な成長を遂げていることを踏まえると、本調査は非常にタイムリーなものといえる。

略歴

Laura VALTERE(ラウラ・ヴァルテレ)氏

ドイツ マックス・プランク・イノベーション競争研究所博士課程修了

【招へい期間】2024年7月23日~2024年8月24日

申込

参加申込フォームに必要事項を入力の上、送信して下さい。

【申込締切り】2024年8月20日(火)12時
【参加URLと配布資料の送付】8月20日にお送りいたします。

【問合せ先】
 一般財団法人知的財産研究教育財団 森田、石本
 〒101-0054 東京都千代田区神田錦町三丁目11番地 精興竹橋共同ビル5階
 Tel:03-5281-5674  Fax:03-5281-5676
 E-mail:fellow24s@fdn-ip.or.jp


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