特許庁委託 産業財産権制度調和に係る共同研究調査事業
2024年度招へい研究者 研究成果報告会
知財研では、特許庁委託事業「産業財産権制度調和に係る共同研究調査事業」の一環として、外国から研究者を招へいし、産業財産権に関する制度調和が必要となる課題について研究する機会を提供しています。このたび、ドイツの研究者が約1か月半の招へい期間を終えて帰国する予定です。そこで、研究成果の発表及び参加者との意見交換を行う場を設けるために、研究成果報告会を下記のとおり開催いたしますので、御案内申し上げます。
開催概要
日 時 | 2025年2月17日(月)10:00ー11:45 |
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テーマ | “Improving Freedom to Operate and Balance of Innovation Incentives in Precision Biotechnology” 『高精度バイオテクノロジー(Precision Biotechnology)分野におけるFreedom to Operate(FTO)とイノベーションを奨励するためのインセンティブ間における均衡の改善』 (※発表は英語で行い、日本語の逐次通訳が付きます。) |
報告者 | Daria KIM(ダリア・キム) 招へい研究者 |
会 場 | Zoomによるオンライン報告会 |
定 員 | 60名(先着順) |
参加費 | 無料 |
プログラム
10:00 | 開会・主催者挨拶 |
10:05-11:25 | “Improving Freedom to Operate and Balance of Innovation Incentives in Precision Biotechnology” |
11:25-11:45 | 質疑応答 |
11:45 | 閉会 |
報告概要
The presentation will share preliminary findings from an ongoing study on freedom to operate within the framework of patents for precision biotechnology. Japan has emerged as one of the first countries to authorise the commercial sale of food products developed using CRISPR/Cas technology. This makes Japan a significant case for analysing how the complexities of the patent landscape surrounding this transformative technology, often characterised as a ‘patent thicket’ or ‘patent jungle’, can be overcome. The study examines how factors commonly considered as preconditions for patent licensing failures – particularly uncertainty over the ownership of foundational technologies, the proliferation of overlapping patent claims, and issues related to license stacking – play out in the Japanese context. By drawing parallels to the approach under the European patent system, the analysis highlights differences that may help mitigate technology underutilisation, both in terms of patentability standards and the exercise of patent rights. Through an investigation of commercialised genome-edited products and the broader biotechnology landscape in Japan, the study draws implications on the need to improve freedom to operate and identifies potential pathways under patent law as a critical legal determinant of innovation in precision biotechnology. |
(仮訳) この報告では、高精度バイオテクノロジーに関する特許の枠組内におけるFreedom to Operate(FTO)に関してこれまでに得られた研究成果を共有する。 日本は、CRISPR/Cas技術を利用して開発された食品の商用化を最初に承認した国の一つであるが、変革期にある本技術を取り巻き、「特許の藪(patent thicket)」又は「特許の密林(patent jungle)」としばしば形容される複雑に入り組んだ特許環境の課題解決を検討するに当たり、日本の事例は重要である。 本研究では、特許ライセンスの障害と考えられる要因、特に基盤技術の所有権をめぐる不確実性、特許請求の範囲が重複する特許の蔓延、そしてライセンスの累積によるロイヤルティ・スタッキングをめぐる日本の状況について分析する。 ここでは、特許性の判断基準と特許権の権利行使の両面から見た技術の過少利用の問題の軽減の一助とするため、欧州特許制度のもとでのアプローチの例を取り上げて比較することで、日本の制度との差異を明らかにする。これらから、日本において商品化されたゲノム編集製品及びバイオテクノロジーを取り巻く日本の状況全般について検討し、Freedom to Operate(FTO)の改善の必要性を探るとともに、高精度バイオテクノロジー分野でイノベーションを生み出すために重要な法的決定要因となる特許制度における今後の道筋を明らかにする。 |
略歴
Daria KIM(ダリア・キム)氏
ドイツ マックス・プランク・イノベーション競争研究所上席研究員
【招へい期間】2025年1月6日~2025年2月18日
申込
参加申込フォームに必要事項を入力の上、送信して下さい。
【申込締切り】2025年2月14日(金)12時
【参加URLと配布資料の送付】2月14日(予定)
【問合せ先】
一般財団法人知的財産研究教育財団 森田、石本
〒101-0054 東京都千代田区神田錦町三丁目11番地 精興竹橋共同ビル5階
Tel:03-5281-5674 Fax:03-5281-5676
E-mail:fellow24s@fdn-ip.or.jp