知財研フォーラム

フォーラム83号

知財研フォーラム 2010 Autumn Vol.83

2010年11月発行
在庫なし

Contents
巻頭言
やました たかし(やました たかし)〔中国電力株式会社 取締役社長〕
【特集】デジタルネット時代における著作物の利用
3 ISPの責任に関する問題点
  山本 隆司(やまもと たかし) 〔インフォテック法律事務所 弁護士〕
 ISPのサービスが違法行為に利用されることは不可避である。 ISPが違法行為を助長する場合に責任を負うのは当然である。そうでなければ、ISPに本来責任を負わせる必要はないが、制度の立て方によっては、ISPに本来無用の責任(侵害判断のリスクと、紛争に当事者として巻き込まれるリスク)を負わせることになる。他方、ISPのサービスが違法行為に利用されるという不可避的リスクを、技術的に除去低減する制度が求められる。
10 ウェブアーカイブに記録された先端技術情報の公知性について
 
小尾 美希(おび みき)
〔元知的財産研究所 研究員(凸版印刷株式会社 法務本部 知的財産部)〕
 知的財産研究所では2009年度に特許庁からの委託を受け、「ウェブアーカイブに記録された先端技術情報の公知性等に関する調査研究」を実施した。本稿では、本調査研究の概要を紹介するとともに、本調査研究結果を基に、インターネット上の公開情報の利用についての考察を試みる。
【寄稿】
18 無効審判の確定審決の第三者効の在り方について
 
小林 徹(こばやし とおる)〔特許庁知的財産研究官〕
 これまで実害があまりないこともあり、裁判を受ける権利との関係で違憲論もありながら世界的にも稀な規定として存続してきた特許法第167条(確定審決の登録後、 同一の事実及び同一の証拠に基づく審判の請求を禁止)については、現在、産業構造審議会知的財産政策部会特許制度小委員会において、第三者効の必要性、第三者に対する手続保障などについての掘り下げた検討を行った結果、改正する方向で議論が進んでいる。
【連載】
25 アジアにおける知的財産への取り組み②
インド-12億の頭脳が生み出す知的財産
 
鈴木 伸一郎(すずき しんいちろう)
〔前(社)発明協会 アジア太平洋工業所有権センター長/東京農工大学大学院 技術経営研究科客員教授〕
 近年のインド経済の発展は、わが国産業界にとって馴染みの薄かったインドの知的財産権制度についても、その重要性を増している。本稿では、インドの知的財産権制度とその実務的運用について、背景となった社会的・経済的側面から考察する。
35 判例研究②
旧著作権法時代に制作された映画の著作権存続期間
 
山内 貴博(やまうち たかひろ)〔長島・大野・常松法律事務所 弁護士・弁理士〕
東崎 賢治(とうさき けんじ)〔長島・大野・常松法律事務所 弁護士〕
田村 吉央(たむら よしひさ)〔長島・大野・常松法律事務所 弁護士〕
 本判決は、旧著作権法時代の映画を複製したDVDの輸入・販売の差止め等を認容する一方で、被告が旧著作権法下の著作者、ひいては著作権の存続期間に関する法律解釈を誤った点に過失はないとして、損害賠償請求を棄却した珍しい事例である。旧著作権法時代の映画の著作者に関する判例法理形成の過渡期の事件という特殊事情が背景にあり、旧著作権法時代に制作された映画の利用は、今後も相当慎重に行うべきである。
47 韓国の法改正・判例紹介②
判例評釈:コーヒーショップでのBGM再生の著作権問題
 
金 容甲〔金・張法律事務所 弁護士(韓国)〕
53 著作権と文学者-12
イェイツとアイルランド文芸復興運動にとっての国際著作権
  園田 暁子(そのだ あきこ) 〔中京大学 国際教養学部 准教授〕
   57 第66回ワシントン便り
  中槇 利明(なかまき としあき) 〔(財)知的財産研究所 ワシントン事務所 所長〕
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