知財研フォーラム
知財研フォーラム 2011 Winter Vol.84
2011年2月発行
在庫なし
Contents | |
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巻頭言 |
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花﨑 浩二(はなさき こうじ)〔塩野義製薬株式会社 執行役員・医薬研究本部長〕 | |
【特集】特許適格性 | |
3 | ビジネス方法の特許適格性 |
山神 清和(やまがみ きよかず) 〔首都大学東京 法学系 准教授〕 | |
2010年6月に米国で出された「Bilski最高裁判決」はビジネス方法(ビジネスモデル)の特許適格性に新たな議論を呼び起こすこととなった。本稿では、ソフトウェア関連発明が特許法の保護対象となるか、言い換えると法定主題たり得るかについて日米欧でどのような議論がなされてきたかを紹介しつつ、Bilski事件のように装置限定を含まない純粋ビジネス方法の特許適格性を検討する。 | |
11 | Bilski vs. Kappos 連邦最高裁判決について |
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合衆国連邦最高裁判所は、2010年6月28日、いわゆるビジネス方法に関する発明の特許適格性についてその判断が注目されていたBilski事件に関し判決を下した。本稿では、Bilski最高裁判決の法廷意見、及び同意意見の概要を紹介すると共に、Bilski最高裁判決後のビジネス方法の特許適格性に関する裁判状況について紹介する。 | |
27 | コンピュータ・ソフトウェア関連発明に関する 日・米・欧の審査基準と特許適格性要件に関する考察 |
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2010年、米国では、合衆国最高裁判所が、いわゆるビジネス方法発明とされる発明の特許適格性を争点としたBilski事件に対して判断を下し、欧州では、欧州特許庁(EPO)の拡大審判部が、コンピ ュータ・プログラムに係る発明の特許適格性についての質問に対する意見(G3/08)を公表した。本稿は、これらBilski連邦最高裁判決とEPOの拡大審判部による意見(G3/08)を基礎として、特許適格性要件に関して、実務的な観点から、日・米・欧の各特許庁におけるコンピュータ・ソフトウェア関連発明に関する審査基準及び関連する審決・判決を俯瞰し、各国審査基準の今後の傾向について考察すると共に、特許適格性要件の本質について、制度論の観点から特許制度の正当化根拠を踏まえての考察を試みたものである。 | |
43 | 欧米におけるソフトウェア及びビジネス関連発明についての近年の動向 |
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2010年にコンピュータ関連発明とビジネス方法発明の特許性に関して2つの重要な判決が出された。欧州特許庁(EPO)の拡大審判部がアリソン・ブリムローEPO前長官から付託されたコンピュータ起動プログラムに関する質問について判断を下す一方で、米国最高裁判所は控訴審で提起された商品取引におけるリスクヘッジというビジネス方法に関する同様の問題について判示した。 | |
【寄稿】 | |
49 | 意匠制度を巡る諸問題について |
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「ブランド戦略の時代」「デジタル化社会」を迎え、我が国の意匠制度は大きな曲がり角を迎えているといえるのではないか。「関連意匠制度」や「画面デザインの保護」について、先人は、様々な創意工夫を重ねてきたが、ここで今一度、これらの制度が、こうした時代の大きな流れを正面からうけとめ、デザインの開発実態を充分踏まえた制度設計になっているかについて冷静に検証してみる必要がある。 | |
56 | 遺伝資源と伝統的知識に関する新たな枠組みと知財制度 - CBD-COP10の成果と課題- |
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生物多様性条約(CBD)の第10回締約国会議(COP10)において、名古屋議定書が採択された。名古屋議定書では開発途上国が長年求めてきた資源利用国における遵守措置が規定されたものの、先進国の主張を反映した部分も多く、実際の企業活動等に与える影響はかなり限定された。本稿では、名古屋議定書の構造及び主要規定について概説し、その意義と今後の課題を整理する。 | |
【連載】 | |
65 | アジアにおける知的財産への取り組み③ ベトナム-知的財産権制度の更なる活用に向けて |
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ドイモイ政策のもとで高度経済成長が続くベトナムは、 知的財産の分野についても積極的な取り組みを続けている。しかしながら、統一後のベトナムにとって本格的な知的財産権制度の経験は20年余りにすぎず、国内からの特許出願の数がきわめて少ないこと、依然として地域によっては知的財産権制度の普及が進んでいないこと等、取り組むべき課題が多く残されている。 これらの対応にあたって、わが国に期待しているものは少なくない。 | |
76 | 判例研究③ インターネットショッピングモールの運営者の商標権侵害等の責任 |
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本判決は、インターネットショッピングモールの出店者が他人の商標権を侵害する商品等を販売した行為について、インターネットショッピングモールの運営者の商標権侵害及び不正競争防止法違反の責任を否定したものである。本判決の結論は妥当であるが、商標権について著作権と同様にいわゆるカラオケ法理を適用した点は妥当でない。商標権については特許権と同様に、カラオケ法理の適用も、幇助者に対する差止請求も、いずれも否定すべきである。本稿では、本判決を題材に、商標法における侵害主体論について特許法及び著作権法における侵害主体論と対比しつつ検討する。 | |
88 | 中国の法改正・判例紹介② 中華人民共和国税関事務担保条例 |
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93 第67回ワシントン便り | |
中槇 利明(なかまき としあき) 〔(財)知的財産研究所 ワシントン事務所 所長〕 | |
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