特許庁委託 産業財産権制度調和に係る共同研究調査事業
平成30年度招へい研究者 研究成果報告会
一般財団法人知的財産研究教育財団、知的財産研究所では、特許庁から委託を受け、我が国企業が海外各国において活動しやすい産業財産権制度の導入を促すため、主に日本を含む複数国間において産業財産権制度に関する制度調和を進める上で抱える中期的に必要な課題に関し、日本の産業財産権制度に対して深い理解を有する研究者が調査・共同研究を実施し、得られた研究成果及び研究者のネットワークを活用して産業財産権制度に関する制度調和を推進することを目的とした事業を推進しています。その一環として、外国から研究者を招へいし、主に日本を含む複数国間において産業財産権に関する制度調和が必要となる課題について研究する機会を提供しています。
この度、2人の中国の研究者が2月末に招へい期間を終えて帰国する予定です。そこで、研究成果の発表及び参加者との意見交換を行う場を設けるために、研究成果報告会を下記のとおり開催いたしますので、御案内申し上げます。
日時
平成31年2月25日(月)14:00-17:40
(13:30受付開始。これ以前には入場できない場合があります。)
会場
TKPガーデンシティ御茶ノ水
https://www.kashikaigishitsu.net/facilitys/gc-ochanomizu/access/
【住所】
〒101-0062
東京都千代田区神田駿河台3丁目11-1
三井住友海上駿河台新館2階 カンファレンスルーム2C
【アクセス】
JR御茶ノ水駅 聖橋出口 徒歩4分
東京メトロ千代田線 新御茶ノ水駅 B3b出口 直結
都営新宿線 小川町駅 B3b出口 直結
東京メトロ丸ノ内線 淡路町駅 B3b出口 直結
参加費
無料
定員
60名(先着順)
プログラム
13:30 | 受付開始 |
14:00 | 開会・主催者挨拶 |
14:05-15:25 | “Harmonization of Border Measures Concerning Goods in Transit in East Asia and Modification of Relevant Provisions in Japanese Industrial Property Laws” 『東アジアにおけるトランジット貨物に関する水際措置の調和と日本の産業財産権法における関連規定の改正』 Song, Hongsong(ソン・ホンソン)招へい研究者 (※研究者の発表は英語で行い、日本語の逐次通訳が付く予定です。) |
15:25-15:45 | 質疑応答 |
15:45-16:00 | 休憩 |
16:00-17:20 | “Research on Trademark Usage in OEM” 『OEMにおける商標の使用に関する調査研究』 Xiao, Zhiyuan(ショウ・シエン)招へい研究者 (※研究者の発表は中国語で行い、日本語の逐次通訳が付く予定です。) |
17:20-17:40 | 質疑応答 |
17:40 | 閉会 |
概要・略歴
Harmonization of Border Measures Concerning Goods in Transit in East Asia and Modification of Relevant Provisions in Japanese Industrial Property Laws” 『東アジアにおけるトランジット貨物に関する水際措置の調和と日本の産業財産権法における関連規定の改正』 Song, Hongsong(ソン・ホンソン)招へい研究者 |
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【概要】 In order to provide substantive basis for border measures concerning goods in transit, it is necessary for Japan to adjust relevant provisions in industrial property laws and entitle the proprietor of industrial property to prevent infringing goods in transit from being brought into Japan. When dealing with goods in transit, the new approach must take into account the legal status of goods in transit in the country of destination, only allows the right holder to refuse the release of the infringing goods in transit when the right holder also has right to prohibit importation of such goods into the country of destination. Based on such approach, the harmonization of border measures concerning goods in transit may reconcile the interests of the trade partners in the region of east Asia. |
(仮訳) 日本がトランジット貨物への水際措置の実体的根拠規定を整備するためには、産業財産権法の関連規定を調整し、侵害トランジット貨物が日本に持ち込まれるのを防ぐ権利を産業財産権の所有者に与える必要がある。この新しいアプローチによりトランジット貨物を扱う場合には、仕向国におけるトランジット貨物の法的地位を考慮に入れ、当該物品が仕向国に輸入されることを禁じる権利が権利者にもある場合にのみ、侵害トランジット貨物の解放を拒否することを権利者に認めなければならない。このようなアプローチに基づき、トランジット貨物への水際措置の制度調和により、東アジア地域の貿易相手国間の利益を調整できる。 |
【略歴】 中国鉱業大学及び中国政法大学卒業。中国社会科学院で修士(法学)、クイーンズランド大学でPh.D.(法学)を取得。煙台大学法学部准教授、クイーンズランド大学客員研究員、山東省IPアカデミー所長を経て、煙台大学教授。 |
【招へい期間】 平成30年9月26日~平成31年2月28日(予定) |
Research on Trademark Usage in OEM” 『OEMにおける商標の使用に関する調査研究』 Xiao, Zhiyuan(ショウ・シエン)招へい研究者 |
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【概要】 The topic is on trademark regime especially in the context of international trade. Generally, the function of trademark regime has two sides. One is for private right protection, another one is for competition order. Most trademark laws stipulate that the holder of trademark right shall have an exclusive right to use the registered trademark in connection with the designated goods or designated services within the territory. But it will be a little different if the usage of the trademark is in international trade, especially in OEM. OEM(Original Equipment Manufacturer)is a phenomenon of international trade. If a foreign enterprise uses a trademark only for OEM purpose in China, such as affix its trademark to goods or packages of goods, local courts of China tend to consider the action constitutes trademark usage. The trademark infringement litigation would be set forth if the trademark registered in China by local enterprise other than by the foreign one. The Supreme Court of China is inclined to suggest that OEM use of a mark would not constitute trademark infringement. But we need pay more attention to rules that whether OEM usage of a trademark is used for the purpose of unfair competition or not. The issues would be more complex in Japan and China from the cross-discipline of trademark law and competition law. The trademark terms guideline of OEM would be helpful for related industry. |
(仮訳) 商標制度、特に国際貿易という面における商標制度についてとりあげる。商標制度の機能には一般に二つの側面がある。一つは私権保護を目的とするものであり、もう一つは競争秩序を目的とするものである。大半の国々の商標法では、商標権者が、指定商品又は指定役務についてその地域内で登録商標を使う排他的権利を有すると規定する。しかし、商標が国際貿易、特にOEMで使われる場合にはやや話が違ってくる。OEM(相手先ブランド製造)は国際貿易に見られる現象である。外国企業が中国においてOEM目的でのみ商標を使う場合、例えば商品又は商品の包装に商標を付する場合、中国の地方裁判所は、その行為が商標の使用を構成するとみなす傾向にある。その外国企業以外の現地企業がその商標を中国で登録していた場合には商標権侵害訴訟が発生する。中国の最高人民法院は、商標のOEM使用が商標権侵害を構成しないとする考え方に傾いている。しかし、OEMにおける商標使用が不正競争目的で行われていないかどうかを判定するためのルールにこれまでよりも注意を払う必要がある。日本と中国では、商標法分野と競争法分野との交錯から、この問題がさらに複雑になっていると考えられる。OEMの商標用語ガイドラインは関連業界にとって有益であろう。 |
【略歴】 中南財経政法大学卒業、同大学大学院で修士(民法、商法)、中国人民大学大学院でPh.D.(民法、商法)を取得。湖北文理学院ロースクール講師を経て、現在は中南財経政法大学ロースクール准教授・副学長。2007年に北海道大学大学院COEセンター研究員として来日。 |
【招へい期間】 平成30年12月10日~平成31年2月23日(予定) |