特許庁委託 産業財産権制度調和に係る共同研究調査事業
2019年度招へい研究者 研究成果報告会

知財研では、特許庁委託事業「産業財産権制度調和に係る共同研究調査事業」の一環として、外国から研究者を招へいし、産業財産権に関する制度調和が必要となる課題について研究する機会を提供しています。このたび、英国及び韓国の研究者が招へい期間を終えて帰国する予定です。そこで、研究成果の発表及び参加者との意見交換を行う場を設けるために、研究成果報告会を下記のとおり開催いたしますので、御案内申し上げます。

開催概要

日 時 2020年2月21日(金)14:00-17:40 (13:30受付開始)
題 目 ①“Institutional Identity in Intellectual Property: Comparative Perspectives on the Importance of Soft Law in Japan’s IP High Court”
『知的財産における制度的なアイデンティティ:比較法制度という観点から日本の知的財産高等裁判所においてソフトローが果たした役割の重要性』
(※発表は英語で行い、日本語の逐次通訳が付く予定です。)
②“Harmonization of the Korea-Japan Systems in Chemical and Pharmaceutical Patents”
『化学及び医薬品特許に関する韓国と日本の制度調和』
(※発表は韓国語で行い、日本語の逐次通訳が付く予定です。)
報告者 ① David TILT (デイヴィッド・ティルト) 招へい研究者
② JO, Jaeshin (ゾ・ゼシン) 招へい研究者
会 場 TKPガーデンシティ御茶ノ水 カンファレンスルーム2C
定 員 60名(先着順)
参加費 無料

プログラム

13:30 受付開始
14:00-14:05 開会・主催者挨拶
14:05-15:25 ①“Institutional Identity in Intellectual Property: Comparative Perspectives on the Importance of Soft Law in Japan’s IP High Court”
15:25-15:45 質疑応答
15:45-16:00 休憩
16:00-17:20 ②“Harmonization of the Korea-Japan Systems in Chemical and Pharmaceutical Patents”
17:20-17:40 質疑応答
17:40 閉会

報告概要

①“Institutional Identity in Intellectual Property: Comparative Perspectives on the Importance of Soft Law in Japan’s IP High Court”

The IP High Court in Japan reflects the global trend towards specialisation in legal fora - while the rise of constitutional courts is more prominent in the international context, intellectual property is increasingly the subject of specialised dispute settlement processes. Rather than focusing on the impact of the specialised court per se, the degree of harmonisation brought by TRIPs means that the dynamic of the supporting institutions (and their soft law impact) becomes a much more central issue in advancing harmonisation internationally.
(仮訳)
日本の知的財産高等裁判所(「知財高裁」)は、裁判所の専門化に向かう世界的な動向の反映である。国際的な状況に目を向けると、憲法裁判所の台頭の方が顕著ではあるものの、知的財産は、専門化された紛争解決過程の主題となることがますます増えている。TRIPS協定のもたらす制度調和の範囲を考慮すると、制度調和を国際的に前進させる上では、専門裁判所それ自体の及ぼす影響に焦点を当てるよりも、むしろこれを支援する諸制度(周辺制度)のダイナミズム(及びそのソフトローとしての影響)に重点を置くことがはるかに重要な課題となる。

②“Harmonization of the Korea-Japan Systems in Chemical and Pharmaceutical Patents”

In this study, the Korean and Japanese patent systems are compared for the following five items.
  • A. Concerning the extension of the patent right period for pharmaceuticals;
  • B. When the patent claim is entered as a manufacturing method (PBP claim), the patent right shall be recognized or not
  • C. Harmonization of Examination of Poisonous Inventions, etc.
  • D. Harmonization of Medical Practices
  • E. Harmonization of Limitations on Effects of Patents on the invention of a medicine
(仮訳)
本研究では、次の5項目につき、韓国と日本の特許制度を比較する。
  • A. 医薬の特許権期間の延長に関して
  • B. 特許のクレームが製造方法(PBPクレーム)によって限定されている場合、特許権を認めるべきか否か
  • C. 有毒な発明等の審査の調和
  • D. 医療行為の調和
  • E. 医薬品の発明に関する特許の効力の制限の調和

略歴

① David TILT (デイヴィッド・ティルト)氏

英国・Sunderland出身。英国Durham大学でLL.B.、九州大学でLL.Mの学位取得。現在はハンガリー・ブダペストのCentral European大学にS.J.D候補生(国際ビジネス法)として在籍中。

【招へい期間】2019年9月4日~2020年2月28日

②JO, Jaeshin (ゾ・ゼシン)氏

韓国・全羅南道出身。韓国Inha大学で学士(電気工学)及び修士(電気工学)、大阪大学で博士(電気電子工学)の学位取得。韓国教育省、特許庁、特許裁判所などを経て、2012年からChonnam国立大学で知的財産法の教授を務める。

【招へい期間】2019年12月23日~2020年2月26日


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