日中共同研究事業 平成30年度 第一回会議(深セン)
平成30年6月23日~25日、知的財産研究所は、「平成30年度知的財産保護包括協力推進事業」(特許庁委託)の一環として、本事業の共同研究機関のうちの1つである中南財経政法大学知識産権研究センターの協力を得て、中国の深センにおいて第一回の会議を開催しました。
ワークショップ(6月23日)
日中両国における不正競争防止法によるデータ保護及びビジネスモデルの特許性に関するテーマを扱い、ワークショップを開催し、両国の学識経験者や実務家による講演がなされ、これを踏まえて活発な意見交換が行われました。不正競争防止法によるデータ保護に関しては、日本側からは平成30年の不正競争防止法の改正経緯やこれを踏まえた論点整理がなされ、中国側からは実務的な観点から特にインターネットに係るビジネス展開におけるデータに係る様々な課題について説明されました。ビジネスモデルの特許性に関するテーマについては、日本側からは実務的な観点からビジネス関連発明の動向や課題等について紹介され、中国側からは諸外国の経験を踏まえて中国におけるビジネスモデルに係る最新の動向や課題について紹介されました。さらに、本事業の共同研究者及びその他の有識者を交えて、これらの発表を踏まえた質疑応答及び討議を通じて、日中の知財関係者間で相互理解を深めることができました。
研究者会議(6月24日)
日中共同研究に係る第一回目の研究者会議が開催されました。今回の会議では、日中の研究者により、自ら担当する研究テーマに関する見解が発表され、意見交換が行われ、本年度の研究の意識共有が図られました。
次回は、9月に、場所を東京に移し、第二回会議を開催する予定となっています。この会議に出席した現地の研究機関からは、今回の会議について、知的財産領域の問題点の中でも最先端の課題について日中両国の知財関係者のより深い理解が得られ、両国の関連研究領域の意識合わせやその主な成果は日中両国の知的財産領域の政策立案において大きな影響をもたらすものであるとご高評をいただきました。
企業訪問及び意見交換(6月25日)
深セン市は、中国において経済活動が最も活発な地域の1つであり、そこには中国国内の多くの有力企業が本社を構えています。日中共同研究の第一回の会議を機に、日中共同研究者はテンセント社(騰訊)やDJI社(大疆創新科技)等の現地の企業を訪問し、実務における知的財産の活用状況等に関する見学を行い、企業の知財担当者と意見交換を行い、生の情報を得る等の貴重な体験をすることができました。